【防災士が解説】地政学リスクとは?「遠い国の出来事」が暮らしの防災に直結する理由

地政学リスクは、ニュースの中の言葉に見えますが、実は私たちの生活防災に直結します。戦争や紛争、海上交通の混乱、資源供給の不安定化、制裁やサイバー攻撃などが起きると、燃料・電気・食料・物流・医薬品といった“当たり前の供給”が揺らぎます。災害がなくても生活が不安定になる時代だからこそ、地政学リスクを「備蓄や家計の話」として整理しておくことが重要です。


■① 地政学リスクとは何か

地政学リスクとは、国や地域の地理的条件、政治・軍事・外交の対立、資源や輸送路の争いなどによって、国際社会や経済、暮らしに悪影響が及ぶリスクのことです。災害のように目に見える破壊ではなく、供給の途切れや価格上昇、情報混乱として現れることが多いのが特徴です。


■② 何が起きると生活に影響が出るのか

地政学リスクが高まると、次のような形で暮らしに影響します。
・燃料価格の上昇(ガソリン、灯油、電気代)
・物流遅延(部品不足、食品・日用品の欠品)
・輸入品の価格上昇(小麦、飼料、医薬品原料など)
・サイバー攻撃による障害(決済、通信、行政サービス)
つまり「災害がなくても生活の不安が増える」状態になります。


■③ 防災で見るべきポイントは“供給の途切れ”と“情報混乱”

防災の観点で重要なのは、地政学リスクが
・モノが届かない
・値段が跳ねる
・情報が錯綜する
という形で現れやすいことです。台風や地震のように地域限定ではなく、広い範囲にじわじわ影響するため、気づいた時には生活が苦しくなることがあります。


■④ 家庭の備えは「買い占め」ではなく「平時の底上げ」

地政学リスクでありがちなのが、ニュースを見て一気に買う→品薄を加速する、という流れです。現実的な備えは、買い占めではなく平時の底上げです。
・主食を少し多めに回す(米、麺、缶詰)
・日用品を1〜2週間だけ厚くする(トイレットペーパー、洗剤)
・燃料に依存する季節は灯油・カセットガスを計画的に
「毎週少しずつ」が一番強い備えです。


■⑤ 被災地派遣(LO)で感じた“供給が止まると、人は一気に弱る”

被災地派遣(LO)の現場では、必要な物が届かないだけで、生活の負荷が跳ね上がる現実を見ました。水、食料、燃料、医薬品、情報。供給が途切れると、体力より先に心が削れます。地政学リスクは災害ではありませんが、“供給が揺らぐ”という意味では共通点が多いです。だからこそ、備えは「生き延びる」より「生活を崩さない」に寄せるのが合理的です。


■⑥ 企業・自治体でも重要な“BCP視点”が家庭にも必要

企業は地政学リスクをBCP(事業継続)として捉えます。家庭でも考え方は同じです。
・電気が止まる想定(充電、照明、調理)
・物流が遅れる想定(備蓄、代替品)
・値上がりの想定(家計の緩衝材)
家庭のBCPは、難しいことではなく「代替を用意する」だけです。


■⑦ よくある誤解(不安の増幅を避ける)

誤解①「世界が不安定=すぐに日本が危険」
→リスクは段階的に出ます。まずは供給と価格の揺れとして現れます。

誤解②「備える=大量に買う」
→平時の回し方を変える方が、費用も混乱も少ないです。

誤解③「どうせ個人では無理」
→個人でできるのは“生活を崩さない設計”です。これは十分に効きます。


■⑧ 今日できる最小の一歩

・主食を1週間分だけ多めに回す
・モバイルバッテリーの充電習慣を作る
・家計の“緩衝材”として小さな現金を用意する
この3つは、災害にも地政学リスクにも共通で効く備えです。


■まとめ|地政学リスクは「供給の揺れ」として生活に直撃する。家庭は平時の底上げで強くなる

地政学リスクは、国際的な対立や輸送路の混乱などによって、燃料・食料・物流・情報が不安定になるリスクです。災害がなくても生活が揺らぐため、防災の視点では「供給の途切れ」と「情報混乱」を前提に、買い占めではなく平時の底上げ(ローリングストック・代替手段・家計の緩衝材)で備えるのが合理的です。

結論:
地政学リスクへの備えは、“生存”ではなく“生活を崩さない設計”。毎週少しずつの底上げが最強です。
防災士として、被災地派遣(LO)で供給が止まると生活が一気に弱る現実を見ました。だからこそ、平時から小さく備えを回し、判断を軽くすることが、最も現実的な防災になります。

出典:https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/

コメント

タイトルとURLをコピーしました