【防災士が解説】夏の地震で避難所の避難服は何を基準に選ぶ?暑さ・清潔・安心を両立する判断基準

夏に地震が起きて避難所生活になると、服装は「何を着ても同じ」ではありません。暑さをしのぎたい、でも肌は守りたい。汗はかく、でも洗濯はしにくい。夜は冷えることもある。つまり、避難所で着る服は、普段の外出着とも、家の部屋着とも少し違う考え方が必要です。

だからこそ大切なのは、「おしゃれな服」でも「防災専用品」でもなく、避難生活を崩しにくい服を持つことです。この記事では、夏の地震で避難所にいる時の避難服を、家庭で判断しやすい形で整理して解説します。

■① 最初に考えるべきことは「涼しい服」ではなく「続けて着られる服」

結論から言うと、最初に考えるべきことは、その服が涼しいかどうかだけではなく、避難所で続けて着られるかです。

夏の避難所では、昼の暑さ、夜の汗冷え、虫、床に座る不快感、着替え不足、におい、洗濯のしにくさが重なります。つまり、「一瞬涼しい服」より、「暑さを逃がしながら、肌を守り、清潔を保ちやすい服」の方が現実的です。

元消防職員として感じるのは、被災地でしんどくなるのは物が足りないことだけではなく、服装が生活に合っていないことでもあるという点です。だから、避難服は“見た目”より“持ちこたえやすさ”で選ぶ方が失敗しにくいです。

■② 避難服の基本は何か

基本は、通気性がよく、乾きやすく、重ね着で調整できる服です。

たとえば、吸汗速乾のTシャツ、薄手の長袖、動きやすい長ズボン、靴下、帽子。この組み合わせはかなり現実的です。半袖一枚だけだと、日差し、虫、冷房、夜の冷え、床の接触でしんどくなることがあります。

私なら、夏の避難服は「薄くて軽い」より「調整できて守れる」を優先します。被災地でも、昼と夜で必要な服装が少し変わることは珍しくありませんでした。

■③ なぜ長袖や長ズボンを入れた方がいいのか

暑いのに長袖や長ズボンと聞くと重たく感じるかもしれませんが、避難所ではかなり意味があります。

理由は、日差し、虫、床の汚れ、冷房、夜の冷えをまとめて受けにくくできるからです。もちろん厚手である必要はありません。むしろ、薄手で風を通す物の方が現実的です。

つまり、夏の避難服では「肌を全部出した方が楽」とは限りません。私なら、半袖を基本にしつつ、薄手の羽織りと長ズボンを足せる形にしておきます。

■④ 避難服は防災専用品を買うべきなのか

必ずしもそうではありません。

避難服としては、防災専用品を新たに買う必要はありません。むしろ、普段から着ているスウェットや部屋着をローリングストックとして用意しておく方が現実的です。例えば、ユニクロやGUのスウェットは、動きやすく、体温調整もしやすいため、避難所生活との相性が良い服装の一例と言えます。

元消防職員としては、避難服は「特別な服」より「普段から着慣れていて、いざという時にも使える服」の方が実用的だと感じます。被災地でも、慣れない装備より、いつもの服の延長の方が落ち着きやすいことがありました。

■⑤ 着替えはどのくらい必要か

夏の避難服では、一回は汗を切り替えられる前提がかなり大切です。

全部を何組も持つ必要はありませんが、下着、Tシャツ、靴下は最低でも一組は別であるとかなり違います。余裕があればもう一組あると安心です。ズボンや羽織りは毎回全部替えなくても、肌に近い物を替えるだけでかなり楽になります。

私なら、避難服の予備は「上下フルセット」より「下着・Tシャツ・靴下優先」で考えます。その方が荷物も重くなりすぎません。

■⑥ 避難服で避けたい服はあるのか

あります。避けたいのは、乾きにくい、動きにくい、体温調整しにくい服です。

たとえば、汗をため込みやすい厚手の服、締めつけが強い服、汚れやすい白一色の服、歩きにくい服です。また、見た目重視で我慢が増える服も避けた方がよいです。

避難服は「ちゃんとして見えるか」より「しんどくないか」で選ぶ方が現実的です。被災地でも、避難生活では見た目より“続けて着られること”の方がはるかに重要でした。

■⑦ 子どもや高齢者はどう考えるべきか

子どもや高齢者は、大人以上に体温調整しやすい服が向いています。

子どもは汗をかきやすく、高齢者は暑さにも冷えにも気づきにくいことがあります。だから、脱ぎ着しやすい、肌ざわりがやわらかい、乾きやすい服が現実的です。特に高齢者では、前開きで着替えやすい服の方が避難所で扱いやすいことがあります。

つまり、避難服は「家族全員同じ考え方」でそろえるより、一番弱い立場の人に合わせて整える方が失敗しにくいです。

■⑧ 迷った時の判断基準

迷ったら、次の順番で考えてください。

「暑さを逃がしやすいか」
「日差しや虫、冷えから体を守れるか」
「汗をかいたあとに着替えやすいか」
「普段から着慣れていて、避難生活でも無理がないか」

この4つがそろっていれば、夏の避難服としてはかなり現実的です。防災では、完璧な専用品より「続けて着られる服」の方が強いです。

■まとめ

夏の地震で避難所にいる時の避難服で大切なのは、「涼しいかどうか」だけで決めないことです。通気性、乾きやすさ、体温調整のしやすさ、肌を守れること、着替えやすさ。このあたりを合わせて考えると、かなり崩れにくくなります。避難服は特別な高機能ウェアだけを指すのではなく、普段着の延長で、避難生活に耐えやすい服を選ぶ考え方でも十分成り立ちます。

私なら、夏の避難所の避難服で一番大事なのは「防災っぽい服を持つこと」ではなく「暑さと不快感で崩れない服を持つこと」だと伝えます。被災地でも、服装が合っているだけで、体力も気持ちもかなり持ちやすくなりました。だからこそ、まずは速乾の上着、薄手の羽織り、替えの下着。この3つから先に整えるのがおすすめです。

出典:https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/pdf/nettyuu-saigaiji.pdf(厚生労働省「災害時の熱中症予防」)

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