【防災士が解説】夜の避難で一番危険な行動は何か?暗い時間帯に命を落とさない判断基準

夜の避難で一番危険なのは、「見えていないのに急いで移動すること」です。内閣府の「避難情報に関するガイドライン」では、夜間や暴風時の立退き避難は危険を伴うとされ、避難先への移動そのものが危険な場合には、近傍の堅固な建物への移動や屋内安全確保など、その時点でより安全な行動を選ぶ考え方が示されています。気象庁も、夜間から翌日早朝に大雨警報へ切り替わる可能性が高い場合、高齢者等は危険な場所からの避難が必要となる警戒レベル3相当だと案内しており、夜になってから慌てて動くのではなく、暗くなる前の判断が重要だと読み取れます。内閣府「避難情報に関するガイドライン」 気象庁「防災気象情報と警戒レベルとの対応について」

つまり、夜の避難で大切なのは、「とにかく避難所へ向かうこと」ではなく、今の場所より本当に安全な場所へ、無事に移動できるかを先に考えることです。被災地派遣でも感じたのは、夜は昼と違って、冠水の深さ、道路の段差、崩れかけた斜面、切れた電線、流れてくる物が見えにくく、同じ道でも危険が一気に増えるということです。私は、夜の避難判断では、まず移動そのものの危険、次に今いる場所の危険、最後に最も安全な避難方法、この順で考えるのが現実的だと考えます。

■① まず結論として、夜の避難で一番危険な行動は何か

結論から言うと、一番危険なのは、暗さの中で状況確認をせずに外へ出て、いつもの感覚で移動することです。

夜は、昼なら見えた危険がかなり見えにくくなります。道路の冠水、側溝、用水路、崩れかけた土、飛来物、倒木、停電による信号停止など、命に関わる危険が増えます。内閣府のガイドラインでも、夜間や暴風時の立退き避難は危険を伴うと明記されており、移動自体が危険になる条件では、別の安全確保行動を考える必要があります。内閣府「避難情報に関するガイドライン」

私は、夜の避難で一番危ないのは「避難しないこと」だけでなく、「危険な移動を避難だと思ってしてしまうこと」だと感じます。

■② なぜ夜は昼より危険が大きくなるのか

理由は、見えないことと、焦りやすいことが重なるからです。

夜は、浸水している道路と普通の道路の境目が分かりにくくなりますし、停電で明かりがないと避難経路そのものが見えなくなります。さらに、雨や風が強いと音も聞き取りにくく、周囲の異変に気づくのも遅れます。気象庁が夜間から翌日早朝の大雨警報切替の可能性に言及して、高齢者等には警戒レベル3相当として早めの避難を促しているのも、夜の避難が危険だからです。気象庁「防災気象情報と警戒レベルとの対応について」

元消防職員としても、夜は「いつもの道だから大丈夫」という感覚が通用しにくいと感じます。同じ道でも、昼と夜では危険の種類が変わります。

■③ まず避けたいのはどんな避難行動か

まず避けたいのは、車や徒歩で遠い避難所へ無理に向かう行動です。

内閣府のガイドラインでは、指定緊急避難場所等への立退き避難がかえって危険な場合には、近傍の堅固な建物への移動や、上階への移動など、状況に応じた安全確保行動をとる考え方が示されています。つまり、夜の避難では「指定避難所へ行く」ことそのものが最優先ではなく、今より危険を減らせる場所へ移ることが本質です。内閣府「避難情報に関するガイドライン」

私は、夜は「遠くの正解」より「近くの安全」を優先する方が現実的だと考えます。

■④ 夜の避難で先に確認すべきことは何か

先に確認すべきなのは、今いる場所が本当に危険かどうかです。

たとえば、
浸水想定区域にいるか、
土砂災害警戒区域にいるか、
川や崖に近いか、
建物の上階へ移動できるか、
近くにより安全な建物があるか、
こうした点です。

内閣府のガイドラインは、「危険な場所にいる人」が避難対象であることを基本にしています。だから、夜に迷った時ほど、「とにかく出る」ではなく「ここにいる方が危険か」を先に考える方が安全です。

■⑤ 夜に外へ出るより安全な行動はあるのか

あります。屋内安全確保や上階移動です。

内閣府のガイドラインでは、立退き避難が危険な場合、上階への移動や高層階にとどまることなどにより、屋内で身の安全を確保できると判断する居住者等に対しては、必ずしも立退き避難を求めないことができると示されています。つまり、夜の避難では、「避難しない」のではなく、「より危険の少ない避難方法へ切り替える」という考え方が大切です。内閣府「避難情報に関するガイドライン」

被災地派遣でも、夜に無理に移動して被害に遭うより、建物の上階で朝を待った方が安全だったケースはありました。私は、夜は「外へ出るかどうか」より「今より安全な場所を選べるか」で考える方が現実的だと思います。

■⑥ どうしても夜に移動しなければならない時は何に気をつけるべきか

どうしても移動するなら、一人で動かず、足元と進行方向を確認しながら、近い安全場所を目指すことが大切です。

夜は、深い水が浅く見えたり、側溝や段差が見えなかったりします。私は、夜間の移動では、
明かりを確保する、
長靴よりも歩きやすく脱げにくい靴を優先する、
杖や棒で足元を探る、
無理に車を使わない、
という判断がかなり重要だと感じます。

元消防職員としても、夜の避難は「速さ」より「転ばないこと、流されないこと」の方が大事です。

■⑦ 高齢者や子どもがいる場合はどう考えるべきか

高齢者や子どもがいる場合は、夜になってから動かないための早めの判断が特に大切です。

気象庁は、夜間から翌日早朝に大雨警報へ切り替わる可能性が高い場合、高齢者等には警戒レベル3相当として危険な場所からの避難が必要としています。これは、高齢者、障がいのある方、乳幼児連れなど、移動に時間がかかる人は、暗くなる前に動く方が安全だからです。気象庁「防災気象情報と警戒レベルとの対応について」

私は、夜の避難の危険を減らす一番の方法は、「夜になる前に動く」ことだと思います。家族の中に移動に時間がかかる人がいるほど、その考え方が大事です。

■⑧ 夜の避難でよくある危険な思い込みは何か

よくある危険な思い込みは、「いつもの道だから行ける」「車なら大丈夫」「みんな動いているから自分も大丈夫」という感覚です。

夜は、昼間の経験がそのまま使えません。しかも、台風や豪雨の夜は、道路状況が短時間で大きく変わります。私は、夜の避難では「いつもの感覚」が一番あてにならないと考えます。だからこそ、普段の経験より、その時の危険情報を優先するべきです。

■⑨ 迷った時の判断基準

迷ったら、次の順番で考えてください。

「今から外へ出ること自体が危険ではないか」
「今いる場所は本当に危険な区域か」
「近くの堅固な建物や上階移動で安全を確保できないか」
「高齢者や子どもがいるなら、もっと早い段階で動けなかったかを次回へ生かせるか」

この4つが整理できれば、夜の避難で一番危険な行動を避ける判断としてはかなり現実的です。防災では、「避難所へ向かうこと」より「命を落とさない行動を選ぶこと」の方が大切です。

■⑩ まとめ

夜の避難で一番危険なのは、暗い中で状況確認をせずに、遠い避難先へ急いで移動することです。内閣府の避難情報に関するガイドラインは、夜間や暴風時の立退き避難には危険が伴うとし、危険な場合には近傍の堅固な建物への移動や屋内安全確保など、その時点でより安全な行動を選ぶ考え方を示しています。気象庁も、夜間から翌朝にかけて危険が高まる場合、高齢者等には早めの避難が必要となる警戒レベル3相当として案内しています。

私なら、夜の避難で一番大事なのは「今すぐ外へ出ること」ではなく「今の場所と移動の危険を比べて、一番危険の少ない行動を選ぶこと」だと伝えます。被災地でも、助かったのは遠くまで避難した人だけではなく、夜の移動の危険を理解して、安全な場所を選べた人たちでした。だからこそ、まずは移動の危険、次に今いる場所の危険、最後に最も安全な避難方法。この順番で整えるのがおすすめです。

出典:https://www.bousai.go.jp/oukyu/hinanjouhou/r3_hinanjouhou_guideline/pdf/hinan_guideline.pdf(内閣府「避難情報に関するガイドライン」)

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