新しく防災担当になった時、
「備蓄庫を見て回ればいいのか」
「数だけ合っていればよいのか」
「水や食料以外に何を見ればいいのか」
と迷う人は少なくありません。
結論から言えば、新人防災の備蓄チェックで最も大切なのは、“あるかどうか”を見ることではなく、“必要な時に、必要な人へ、必要な場所で配れる状態か”を確認することです。
首都直下地震帰宅困難者等対策の事業者向けガイドラインでは、従業員等を施設内に3日間待機させる前提で、水、食料、毛布、簡易トイレ、衛生用品、燃料などを備蓄しておく必要があると示されています。
また、内閣府の事業継続ガイドラインは、BCPや事業継続マネジメントの中で、予算・資源の確保、事前対策の実施、点検、継続的改善の重要性を示しています。
防災士として率直に言えば、新人が備蓄チェックで一番失敗しやすいのは、
在庫表の数字だけ見て安心すること
です。
元消防職員として現場や災害対応を経験して強く感じるのは、災害時に本当に困るのは「備蓄がない」ことだけではなく、
備蓄はあるのに出せない、足りない、偏っている
ことです。
だから新人の備蓄確認は、倉庫見学ではなく、配布準備の確認として考えた方が現実的です。
■① 最初に確認するのは「誰のための備蓄か」
備蓄チェックを始める前に、まず整理したいのは
何人分を想定しているのか
です。
首都直下地震帰宅困難者等対策の事業者向けガイドラインでは、対象となる従業員等を、雇用形態を問わず事業所内で勤務する全従業員とし、3日分の備蓄の目安を示しています。
さらに、外部の帰宅困難者や来訪者のために、10%程度の余裕を持つことも検討するとされています。
つまり新人が最初にやるべきなのは、
・正社員だけか
・委託、派遣、アルバイトも含むか
・来客分を含むか
を確認することです。
防災士として言えば、備蓄量は倉庫の広さで決めるものではなく、
誰を守るか
で決まります。
ここがずれると、その後の数字も全部ずれます。
■② 次に見るべきは「3日分の基準」
備蓄チェックで基本になるのは、
3日分の基準
です。
事業者向けガイドラインでは、3日分の備蓄量の目安として、
・水:1人1日3リットル、計9リットル
・主食:1人1日3食、計9食
・毛布:1人1枚
を示しています。
さらに、簡易トイレ、衛生用品、敷物、携帯ラジオ、懐中電灯、乾電池、救急医療薬品類なども例示しています。
新人の備蓄チェックでは、まず
・人数×3日分で足りているか
・水と食料が偏っていないか
を確認するのが現実的です。
防災士として率直に言えば、倉庫に物が多く見えても、
水が足りない
トイレが足りない
ことは珍しくありません。
最初は「たくさんあるか」ではなく、
基準に対して足りているか
で見る方がいいです。
■③ 水と食料だけで終わらせない
新人がやりがちな失敗の一つが、
水と非常食だけ見て終わること
です。
でも実際には、
・簡易トイレ
・トイレットペーパー
・生理用品
・ウェットティッシュ
・毛布や保温シート
・救急用品
・照明
などがかなり重要です。
特に簡易トイレと衛生用品は、実際の避難や待機環境で大きな差になります。
災害時はトイレ問題が早く出やすく、ここを軽く見ると職場内待機そのものが厳しくなります。
防災士として言えば、備蓄は
食べる物
より
生活を維持する物
まで見た方が現実的です。
元消防職員としても、災害時に人が苦しくなるのは空腹だけではなく、
衛生とトイレ
です。
■④ 賞味期限より先に「取り出せるか」を見る
備蓄チェックというと、賞味期限確認を思い浮かべる人が多いです。
もちろん大事です。
でも新人が先に見るべきなのは、
必要な時に取り出せるか
です。
たとえば、
・倉庫の鍵は誰が持っているか
・夜間でも開けられるか
・担当者不在でも出せるか
・どこに何があるか一目で分かるか
を見ます。
事業者向けガイドラインでも、円滑な配布のために備蓄場所を考慮すること、高層ビルではエレベーター停止に備えて分散配置を考える必要があると示しています。
防災士として率直に言えば、備蓄は
あること
より
出せること
の方が大切です。
元消防職員としても、「倉庫にあるが取り出せない」は現場ではよくある弱点です。
■⑤ 保管場所は「配る場所」から逆算する
備蓄チェックでは、倉庫そのものより
配布導線
を見ることも重要です。
事業者向けガイドラインでは、備蓄品の保管場所について、円滑な配布ができるよう考慮すること、高層ビルでは分散配置も検討することが示されています。
つまり新人が見るべきなのは、
・全量が1か所に集中していないか
・停電時やエレベーター停止時でも届くか
・各階へ配れるか
・避難通路をふさいでいないか
です。
防災士として言えば、備蓄は倉庫の中だけで完結しません。
どこに置くか
は、そのまま
どこまで配れるか
に直結します。
■⑥ 「古い物を捨てる」だけで終わらせない
賞味期限切れや使用期限切れの物が見つかると、
捨てて終わりになりがちです。
でも本当に大事なのは、
なぜ切れていたか
を見ることです。
たとえば、
・点検周期が曖昧
・担当者が決まっていない
・更新予算がない
・在庫表が最新でない
といった問題があります。
内閣府の事業継続ガイドラインは、点検と継続的改善の重要性を示しています。
つまり備蓄チェックも、一回の作業ではなく
更新の仕組み
まで見た方がいいです。
防災士として率直に言えば、新人の備蓄チェックで強いのは、
期限切れを見つけることではなく、
次に切らさない仕組みを見つけること
です。
■⑦ 在庫表は「現物と一致するか」を見る
新人が備蓄チェックをする時は、必ず
在庫表と現物を照らす
方がいいです。
よくあるズレは、
・在庫表にはあるが現物がない
・配布済みだが記録されていない
・期限更新後の数量が修正されていない
・保管場所だけ変わっている
といったものです。
防災士として言えば、備蓄管理で大事なのは
資料のきれいさ
より
現物との一致
です。
元消防職員としても、災害時に頼れるのは紙の数字より、実際にそこにある物です。
■⑧ 新人が最初の1回で確認すべきチェック項目
新人の最初の備蓄チェックなら、次の8項目を押さえるとかなり強いです。
・対象人数は何人か
・3日分の基準に足りているか
・水、食料、トイレ、衛生用品がそろっているか
・期限切れがないか
・在庫表と現物が一致しているか
・夜間でも取り出せるか
・分散配置や配布導線はあるか
・更新担当者と更新時期が決まっているか
防災士として率直に言えば、最初から完璧な棚卸しをしなくても、
この8点
を見ればかなり実務的です。
■⑨ まとめ
新人防災の備蓄チェックで最も大切なのは、“あるかどうか”ではなく、“必要な時に、必要な人へ、必要な場所で配れる状態か”を確認することです。
首都直下地震帰宅困難者等対策の事業者向けガイドラインでは、従業員等を3日間施設内待機させる前提で、水、食料、毛布、簡易トイレ、衛生用品、燃料などの備蓄の考え方が示されています。
内閣府の事業継続ガイドラインも、予算・資源の確保、事前対策の実施、点検、継続的改善の重要性を示しています。
防災士として強く言えるのは、新人の備蓄チェックで一番大切なのは
数量を見ること
ではなく、
運用できる状態かを見ること
だということです。
迷ったら、
・対象人数
・3日分基準
・取り出しやすさ
・更新の仕組み
この4つから確認するのが一番現実的です。

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