【防災士が解説】渇水の備え|浴槽に水をためる「習慣」が家族の生活を守る

渇水(少雨・水不足)は、地震や台風のように派手ではありません。ですが結論から言うと、渇水は「ある日いきなり断水」ではなく、給水制限→水圧低下→断水のように生活がじわじわ壊れる災害です。
だからこそ効くのが、浴槽に水をためる習慣=生活用水の確保です。飲み水を守る前に、トイレ・手洗い・最低限の清潔を守れるかで、家庭のストレスと健康リスクが大きく変わります。


■① 渇水で困るのは「飲み水」より先に「生活用水」

渇水の現実は、まずここに出ます。

  • トイレが流しにくい/流せない
  • 手洗いが減って体調を崩しやすい
  • 洗濯や清掃が回らず、家の衛生が下がる
  • 水圧が弱くなり、シャワーや給湯が不安定になる

飲み水はペットボトル等で確保しやすい一方、生活用水は量が必要です。
浴槽の水は、ここを支えます。


■② 浴槽の水は「飲む水」ではなく「回す水」

浴槽にためる水は基本的にこう考えます。

  • 飲用:備蓄水(ペットボトル等)
  • 生活用水:浴槽の水(トイレ・手洗い・掃除など)

用途を分けると迷いが減り、渇水期のストレスが下がります。


■③ 渇水は“予告がある”から、習慣化が最強

台風や地震と違って、渇水は多くの場合、予兆があります。

  • 雨が少ない期間が続く
  • 取水制限・節水要請が出る
  • 地域の水道局・自治体から発表が出る

だから、渇水は「気づいた人から備えた家庭が強い」災害です。
浴槽の水をイベント対応ではなく、習慣にしておくのが最も現実的です。


■④ どれくらい、いつためる?(続く形が正解)

完璧は要りません。続く形が正解です。

  • 目安:浴槽に「満水」できれば理想、無理なら「半分」でも十分役立つ
  • タイミング:
  • 節水要請が出た日
  • 数週間雨が少ないと感じた週
  • 休日の入浴前に“ついで”でためる

「渇水が心配だから毎日満水」では疲れます。
“ためる日を決める”だけで、生活防災として成立します。


■⑤ 浴槽の水の使い道(優先順位)

渇水期に価値が高い順番はこれです。

1) トイレ(衛生と精神の安定に直結)
2) 手洗い(感染症予防)
3) 簡易清掃(床・汚れ・嘔吐物など)
4) 体拭き・最低限の清潔維持

被災地派遣(LO)で感じたのは、生活が長引くほど「水不足→衛生低下→体調不良→メンタル低下」が連鎖することです。派手な備えより、日常を回す水が強いと何度も思いました。


■⑥ 注意点:安全と衛生(これだけ押さえればOK)

浴槽の水は便利ですが、最低限の注意が必要です。

  • 基本は飲まない(飲用は備蓄水)
  • 子どもがいる家庭は転落防止(ふたを閉める、目を離さない)
  • できれば浴槽を軽く洗ってからためる(清潔維持)
  • 長期保管する前提なら、用途は「トイレ・清掃」中心にする

■⑦ 習慣化のコツ:ルールを“1つ”に絞る

渇水備えは、ルールが多いほど続きません。
おすすめは、次のどれか1つだけ決めることです。

  • 「節水要請が出たら、その日に浴槽半分」
  • 「雨が少ない週は、週1回ためる」
  • 「週末の入浴前に、浴槽に水を残す」

判断を軽くすると、続いて強くなります。


■⑧ 今日できる最小行動:渇水の“合図”を家族で共有する

今日やるなら、これだけで十分です。

  • 家族に一言で共有:「節水要請が出たら浴槽に水」
  • 浴槽のふたを閉める運用を決める
  • 飲用水と生活用水を分ける(家族が迷わない)

渇水は“静かな災害”ですが、準備がある家庭は生活が崩れません。


まとめ

結論:渇水の備えとして浴槽に水をためる習慣は、断水・水圧低下が起きてもトイレ・手洗い・清掃などの「生活用水」を確保でき、衛生悪化とストレスの連鎖を防ぐ。完璧を狙わず、週1回や節水要請時など“ためる合図”を決めて習慣化するのが最も現実的で強い。
備えは「特別」より「続く」が勝ちます。浴槽の水は、続けやすく、効きやすい備えです。


出典

内閣府 防災情報のページ「家庭での備え(断水への備え等)」
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/keigen/sonae/

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