【防災士が解説】災害ボランティア後にイライラしやすい・涙が出やすいときの対処法|「心のブレーキ」のかけ方

災害ボランティアのあと、帰宅してから「少しのことでイライラする」「家族の一言に反応しすぎる」「理由がはっきりしないのに涙が出る」と感じることがあります。こうした反応は、珍しいことではありません。厚生労働省のこころの耳でも、強いストレスのあとは気持ちが不安定になる、イライラする、涙が出る、気分が落ち込むといった変化が起こりうることが示されています。
https://kokoro.mhlw.go.jp/nowhow/nh002/

また、内閣府の避難生活支援リーダー/サポーター研修テキストでも、支援者自身に起こるストレス反応として、イライラ、気分の落ち込み、緊張、不安、涙もろさなどがありうると整理されています。つまり、災害ボランティア後のこうした反応は、「自分が弱いから」ではなく、支援後の心と体にかかった負荷が表に出ているサインとして見た方が現実的です。
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/bousai-vol/pdf/231005_kenshu04.pdf

つまり、災害ボランティア後にイライラしやすい・涙が出やすいときの「心のブレーキ」で大切なのは、感情を無理に消すことではなく、強く出すぎる前に少し速度を落とすことです。この記事では、その現実的なかけ方を整理して解説します。

■① まず結論として、「心のブレーキ」で最優先にすべきことは何か

結論から言うと、最優先にすべきことは、今の反応を“異常”ではなく“サイン”として受け止めることです。

イライラや涙は、出た瞬間に「こんな自分はだめだ」と否定しやすいです。ですが、その否定がさらに苦しさを強めることがあります。厚生労働省のこころの耳でも、ストレス反応が出ること自体は珍しくなく、まず気づくことが大切だとされています。
https://kokoro.mhlw.go.jp/nowhow/nh002/

元消防職員として感じるのは、被災地支援のあとに崩れやすい人は「感情が強い人」ではなく、「感情を出してはいけないと止め続ける人」だという点です。私なら、こういう時は
まず“今かなり疲れている”と認める
次に反応を小さくできる行動を取る
最後に一人で抱え込まない
この順で整えます。

■② なぜ災害ボランティア後にイライラや涙が出やすくなるのか

理由は、現場で抑えていた反応が、帰宅後に遅れて出ることがあるからです。

活動中は、目の前の作業や判断に集中しているため、感情が後回しになりやすいです。ところが帰宅して少し安全な場所に戻ると、心と体が張り詰めた状態からゆるみ始め、その反動としてイライラや涙が出ることがあります。

被災地経験でも、現場では平静に見えていた人が、帰宅後に急に不安定になることは珍しくありませんでした。だから、「家に帰ったのに落ち着かない」のはおかしなことではなく、むしろ支援後の自然な反応として知っておく方が現実的です。

■③ 「心のブレーキ」の第一歩は何か

第一歩は、その場を少し切ることです。

イライラが強い時や涙が出そうな時は、そのまま会話やSNS、作業を続けると悪化しやすいです。だから、まず
席を外す
トイレや洗面所へ行く
水を飲む
深呼吸を数回する
といった“数分の切断”を入れる方が現実的です。

私なら、「感情を抑え込む」より、「強く出る場面から一度だけ離れる」を優先します。その方が周囲にも自分にもやさしいです。

■④ イライラしやすい時に一番やってはいけないことは何か

一番避けたいのは、疲れている時にそのまま結論を出すことです。

たとえば、
もう二度と行かない
自分は向いていない
誰も分かってくれない
といった大きな結論は、かなり疲れている時ほど出やすくなります。ですが、その時の判断は、回復後の自分とずれることがあります。

元消防職員としても、支援後の感情が強い時に決めたことは、あとで見直したくなることが多いと感じます。私なら、「今日は結論を出さない日」と決めます。その方が心のブレーキになります。

■⑤ 涙が出やすい時はどう考えればいいのか

涙が出る時は、無理に止めるより、まず安全な場所で少し出してよいと考えた方が現実的です。

泣くこと自体を恥ずかしいこと、弱いこと、と感じる人は多いですが、活動後の反応として涙が出ることはあります。大切なのは、人前で我慢しきれず苦しくなる前に、少し落ち着ける場所へ移ることです。

私なら、涙が出る時は「止める」より「場所を変える」を先に考えます。その方が感情を大きく壊さずに済みます。

■⑥ “心のブレーキ”として今すぐできる具体策は何か

今すぐできることは、次の4つです。

水を飲む
深呼吸をする
肩・首の力を抜く
会話やスマホから一度離れる

厚生労働省のこころの耳でも、ストレスへの対処として、刺激から少し距離を取り、呼吸や体の感覚を整えることが勧められています。
https://kokoro.mhlw.go.jp/nowhow/nh002/

被災地経験でも、強い感情の時ほど「考え方を変える」より「体を少し戻す」方が効果的でした。私は、心のブレーキは“頭で止めるもの”というより“体から減速させるもの”だと考えます。

■⑦ 家族や身近な人にはどう伝えればいいのか

シンプルで大丈夫です。

たとえば、
「今日は少し疲れていてイライラしやすい」
「少し静かにしたい」
「ちょっと一人にしてほしい」
このくらいで十分です。

内閣府の研修テキストでも、支援者自身の疲労や反応を把握し、早めに共有することが大切とされています。つまり、我慢して突然強く出るより、先に短く伝えた方が現実的です。
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/bousai-vol/pdf/231005_kenshu04.pdf

■⑧ こんな時はセルフケアだけで抱え込まない方がいい

次のような状態が続くなら、一人で何とかしようとせず、相談も考えた方が安全です。

イライラや涙が何日も続く
眠れない
家族や職場に強く当たってしまう
日常生活へ戻れない
気分の落ち込みが強い

内閣府の研修テキストでも、支援者に心身の反応が出ている場合は、運営責任者や保健師などに相談し、必要に応じて専門家の力を借りることが示されています。
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/bousai-vol/pdf/231005_kenshu04.pdf

■⑨ 迷った時の判断基準

迷ったら、次の順番で考えてください。

「今のイライラや涙は、疲れや緊張のサインではないか」
「その場を一度切って、水・呼吸・体の緊張を整えられるか」
「強い時に大きな結論を出そうとしていないか」
「長引くなら、一人で抱え込まず誰かにつなげられているか」

この4つが整理できれば、災害ボランティア後にイライラしやすい・涙が出やすい時の「心のブレーキ」のかけ方としてはかなり現実的です。防災では、「感情を消すこと」より「感情で壊れないように少し減速すること」の方が大切です。

■⑩ まとめ

災害ボランティア後にイライラしやすい・涙が出やすいときの「心のブレーキ」で大切なのは、その反応を異常と決めつけず、疲れや緊張のサインとして受け止め、その場を一度切って、体から少しずつ落ち着きを戻すことです。厚生労働省のこころの耳では、強いストレスのあとにイライラや涙、不安定さが出ることがあり、ストレス源から距離を取ることが有効だと示されています。内閣府の研修テキストでも、支援者自身のイライラ、気分の落ち込み、涙もろさなどは起こりうる反応として整理されています。

私なら、災害ボランティア後に一番大事なのは「イライラや涙をなくすこと」ではなく「その反応で自分や周りを傷つける前に、少し減速すること」だと伝えます。被災地でも、助かったのは感情を消せた人より、強くなりすぎる前に止まれた人でした。だからこそ、まずはサインと認める、次に場を切る、最後に一人で抱え込まない。この順番で整えるのがおすすめです。

出典:https://kokoro.mhlw.go.jp/nowhow/nh002/(厚生労働省 こころの耳「ストレス軽減ノウハウ」)

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