災害ボランティアのあと、現地を離れても、ニュースや報道、SNSの災害情報が気になって何度も見てしまうことがあります。状況を知りたい気持ちや、まだ何かできることがあるのではないかという思いは自然です。ですが、情報を追い続けることで、心が休まらず、活動後の疲れや緊張が長引くことがあります。厚生労働省の「こころの耳」では、ストレスが強い時にはストレスの原因から少し距離を取ることが有効な対処の一つだと案内されています。
https://kokoro.mhlw.go.jp/nowhow/nh002/
また、日本赤十字社の災害ボランティア向け冊子でも、不調になったら早めに活動をやめる勇気を持つこと、仲間とよく話し合い、一人で抱えこまないことが大切とされています。つまり、災害ボランティア後の情報との付き合い方で大切なのは、「たくさん知ること」ではなく、必要な情報だけを取り、心が削られすぎない量に調整することです。
https://www.jrc.or.jp/volunteer-and-youth/volunteer/pdf/20221114-1696e14484023a1dabbe760d96763b37245f95ac.pdf
つまり、災害ボランティア後に報道やニュースを見すぎず、心の情報量を調整する方法で大切なのは、情報を断つことではなく、自分が耐えられる量と時間に“枠”をつけることです。この記事では、その現実的な判断基準を整理して解説します。
■① まず結論として、情報量の調整で最優先にすべきことは何か
結論から言うと、最優先にすべきことは、「知っておきたい」と「見続けてしまう」を分けて考えることです。
災害ボランティアのあとにニュースを見てしまうのは、関心があるからであり、責任感があるからでもあります。ですが、必要な確認を超えて何度も追い続けると、現場の記憶が何度も刺激され、心が休まりにくくなります。だから、最初に必要なのは「見るか・見ないか」の二択ではなく、どこまでなら必要な情報で、どこからが見すぎかを分けることです。
元消防職員として感じるのは、被災地支援のあとに苦しくなりやすい人は「情報に無関心な人」ではなく、「責任感から情報を追い続けてしまう人」だという点です。私なら、活動後は
まず必要な情報源を絞る
次に見る時間を決める
最後にそれ以外は距離を取る
この順で整えます。
■② なぜニュースを見すぎると心が削られやすいのか
理由は、情報を見るたびに、現場で受けた緊張や感情が繰り返し刺激されることがあるからです。
災害現場に実際に入った人は、報道映像や被災者の声、写真、現場の数字などに対して、一般の視聴者より強く反応しやすいことがあります。厚生労働省のこころの耳が示すように、ストレスの原因から少し距離を取ることは有効なセルフケアの一つです。つまり、災害報道が“必要情報”から“ストレスの再刺激”へ変わることがあると知っておく方が現実的です。
https://kokoro.mhlw.go.jp/nowhow/nh002/
被災地経験でも、帰宅後にニュースを見すぎて眠れなくなったり、気持ちが沈んだりすることは珍しくありませんでした。だから、「たくさん見れば落ち着く」とは限らないと考える方が安全です。
■③ まず決めたい“情報量ルール”とは何か
一番現実的なのは、見る時間と回数を先に決めることです。
たとえば、
朝と夕方に一回ずつだけ確認する
一回10分までにする
寝る前は見ない
といった形です。
ここで大事なのは、「気になるからその都度見る」をやめることです。気になるたびに開くと、心はずっと災害モードから抜けにくくなります。私なら、「必要な時間にだけ見る」という枠を先に作ります。
■④ 情報源はどう絞ればいいのか
情報源は、信頼できる一次情報か、必要最小限の媒体に絞る方が現実的です。
たとえば、自治体、気象庁、信頼できる報道機関などです。逆に、次々と関連投稿が流れてくるSNSだけで追い続けると、必要な情報より感情を揺さぶる情報の方が増えやすくなります。
私は、災害ボランティア後は「情報の量」だけでなく「情報の質」もかなり大事だと考えます。多く見るより、必要なところだけ見る方が心を守りやすいです。
■⑤ どんな時に「見すぎている」と考えた方がいいのか
次のような状態があるなら、見すぎている可能性があります。
ニュースを見たあとにどっと疲れる
現場の場面が何度も浮かぶ
寝る前に見て眠れなくなる
見ていないと不安になる
仕事や家事の手が止まる
SNSで関連投稿を延々と追ってしまう
これらは、「情報収集」より「情報に引っぱられている」状態かもしれません。私なら、「何を知れたか」より「見たあとにどうなったか」で見ます。その方が現実的です。
■⑥ 完全に見ない方がいいのか
そこは人によりますが、完全に断つより、量を調整する方が続けやすいことが多いです。
必要な情報確認までゼロにすると、逆に不安が強くなる人もいます。だから、全部やめるより
回数を減らす
時間を短くする
寝る前は見ない
SNSではなく一次情報を見る
といった調整の方が現実的です。
元消防職員としても、現場とのつながりを完全に切る必要はないと感じます。ただし、“つながり続ける方法”は選んだ方がよいです。私は、「断つ」より「整える」をすすめます。
■⑦ “報道を見ないと申し訳ない”と感じる時はどう考えるか
そう感じる人は少なくありません。ですが、見続けることと支援を大切に思うことは同じではありません。
災害ボランティアに行ったあとほど、「自分だけ日常に戻ってよいのか」「報道から目をそらすのは冷たいのではないか」と感じやすいです。ですが、心が削られたままでは、次の支援も日常生活も持ちにくくなります。
私なら、「見続けることが責任」ではなく、「壊れない形で関心を持ち続けることが責任」と考えます。その方が長く支援につながります。
■⑧ こんな時は“情報調整”だけで抱え込まない方がいい
次のような状態が続くなら、ニュースとの距離だけで何とかしようとせず、誰かにつなげた方が安全です。
眠れない
強い不安や落ち込みが続く
涙が出る
活動の場面が何度も戻る
日常生活へ戻れない
日本赤十字社も、一人で抱えこまないことの大切さを示しています。つまり、情報量を減らすことは大事ですが、それでもつらさが強いなら、仲間、家族、専門相談へ広げる方が現実的です。
https://www.jrc.or.jp/volunteer-and-youth/volunteer/pdf/20221114-1696e14484023a1dabbe760d96763b37245f95ac.pdf
■⑨ 迷った時の判断基準
迷ったら、次の順番で考えてください。
「今見ているのは、本当に必要な情報か」
「見たあとに心が削られすぎていないか」
「時間と回数に枠をつけられているか」
「それでもつらいなら、一人で抱え込まず誰かにつなげられているか」
この4つが整理できれば、災害ボランティア後に報道やニュースを見すぎず、心の情報量を調整する方法としてはかなり現実的です。防災では、「全部知ること」より「壊れない量で関心を持ち続けること」の方が大切です。
■⑩ まとめ
災害ボランティア後に報道やニュースを見すぎず、心の情報量を調整する方法で大切なのは、必要な情報源を絞り、見る時間と回数に枠をつけ、心が削られすぎる前に少し距離を取ることです。厚生労働省のこころの耳では、ストレスが強い時にはストレスの原因から少し距離を取ることが有効とされ、日本赤十字社は不調になったら早めに活動をやめる勇気と、一人で抱えこまないことの大切さを示しています。
私なら、災害ボランティア後に一番大事なのは「全部追い続けること」ではなく「心が壊れない情報量に調整すること」だと伝えます。被災地でも、助かったのは情報をたくさん集めた人より、必要な情報だけを取って自分を守れた人でした。だからこそ、まずは情報源を絞る、次に時間を決める、最後に必要なら距離を取る。この順番で整えるのがおすすめです。
出典:https://kokoro.mhlw.go.jp/nowhow/nh002/(厚生労働省 こころの耳「ストレス軽減ノウハウ」)

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