災害ボランティアのあと、「休んではいるのに気持ちが戻らない」「日常に戻ったはずなのに、どこか重い」と感じることがあります。こういう時に役立ちやすいのが、無理のない範囲で“楽しい習慣”を一つだけ増やすことです。厚生労働省のこころの耳では、セルフケアの一つとして自分に合ったストレス対処法を見つけて実践することが大切とされ、リラクセーションやストレッチ、気分転換などを日常に取り入れることが勧められています。
https://kokoro.mhlw.go.jp/nowhow/nh002/
つまり、災害ボランティア後の「楽しい習慣」は、気楽な息抜きではなく、張りつめた状態から日常へ戻るための“回復の導線”として考える方が現実的です。この記事では、その判断基準を整理して解説します。
■① まず結論として、「楽しい習慣」で最優先にすべきことは何か
結論から言うと、最優先にすべきことは、大きな楽しみを増やすことではなく、小さくて続けやすい楽しみを一つ置くことです。
災害ボランティアのあとに苦しくなりやすい人は、「ちゃんと回復しなきゃ」と考えすぎて、回復そのものを頑張りにしてしまうことがあります。ですが、楽しい習慣は“成果”ではなく“戻るきっかけ”です。だから、特別なことをする必要はありません。
元消防職員として感じるのは、被災地支援のあとに崩れやすい人は「楽しんでいない人」ではなく、「楽しんではいけないと思い込む人」だという点です。私なら、活動後は
まず負担の少ない楽しみを選ぶ
次に短くやる
最後に続けられる形にする
この順で整えます。
■② なぜ「楽しい習慣」が前向きさを保つのに役立つのか
理由は、活動後の心は“終わったのにまだ張っている状態”になりやすいからです。
災害ボランティアのあとには、責任感、無力感、罪悪感、緊張の反動などが残ることがあります。そんな時、何もない時間だけが続くと、頭の中で現場を何度も反すうしやすくなります。そこで、無理のない“楽しい習慣”があると、気持ちを日常側へ少しずつ戻しやすくなります。
被災地経験でも、「完全に忘れること」はできなくても、「少し生活のリズムを戻せた人」の方が、その後の落ち込みを長引かせにくい印象がありました。だから、楽しい習慣は逃避ではなく、回復の一部です。
■③ どんな“楽しい習慣”が現実的なのか
一番現実的なのは、短くて、お金がかかりすぎず、気を張らずにできることです。
たとえば、
好きなお茶やコーヒーをゆっくり飲む
5分だけ散歩する
好きな音楽を1曲聴く
植物を見る・世話をする
短い動画や本を楽しむ
子どもや家族と少し笑う時間を作る
といったことです。
ここで大事なのは、「立派な趣味」にしないことです。私なら、“ごほうび”より“日常に戻る小さな橋”として考えます。
■④ なぜ“一つだけ”がいいのか
理由は、増やしすぎると逆に負担になるからです。
活動後は、体も心もまだ余裕が少ないことがあります。そこで、「運動もしよう」「人とも会おう」「趣味も再開しよう」と一気に増やすと、回復より疲労が勝ちやすいです。だから、まずは一つだけで十分です。
私なら、「もっと元気になったら増やす」でいいと考えます。最初から完璧に戻そうとしない方が、結果として長く続きます。
■⑤ “楽しい習慣”を選ぶ時に気をつけたいことは何か
気をつけたいのは、刺激が強すぎるものを選びすぎないことです。
たとえば、夜遅くまでSNSを見続ける、刺激の強い映像を一気に見る、無理に大勢と会う、といったことは、楽しみのつもりでも疲労につながることがあります。厚生労働省のこころの耳でも、ストレス対処は「自分に合ったもの」を選ぶことが大切とされています。
https://kokoro.mhlw.go.jp/nowhow/nh002/
私なら、「やったあとに少し軽くなるか」を基準にします。終わったあとにどっと疲れるなら、その習慣は今の自分には少し強いのかもしれません。
■⑥ 罪悪感がある時でも、楽しいことをしていいのか
はい。むしろ、罪悪感がある時ほど、小さな楽しみを完全に止めない方が安全です。
災害ボランティアのあとには、「被災者の方が大変なのに、自分が楽しんでいいのか」と感じることがあります。ですが、楽しみを全部止めると、心の回復まで止まりやすくなります。前向きさは、我慢だけでは維持できません。
元消防職員としても、現場のあとに持ち直しやすいのは、罪悪感に飲まれず「日常へ戻る小さな行動」を残せた人でした。私なら、「楽しむ資格があるか」ではなく、「壊れないために必要か」で考えます。
■⑦ 習慣として続けるにはどうすればいいのか
続けるには、時間ときっかけを固定すると楽です。
たとえば、
夕食後にお茶を飲む
朝に5分散歩する
入浴後に好きな音楽を1曲流す
のように、日常の流れにくっつけると続きやすくなります。
私なら、「気が向いたらやる」より、「この流れの中でやる」と決めます。その方が回復の型になりやすいです。
■⑧ こんな時は“楽しい習慣”だけで抱え込まない方がいい
次のような状態が続くなら、楽しい習慣は大切ですが、それだけで抱え込まず相談も考えた方が安全です。
眠れない日が続く
楽しいことをしても全く気持ちが動かない
強い罪悪感や無力感が抜けない
涙が止まらない
日常生活へ戻れない
楽しい習慣は“回復の助け”にはなりますが、つらさが強い時は別の支えも必要です。私なら、「これをやっても苦しい」が続くなら、仲間、家族、専門相談へ広げます。
■⑨ 迷った時の判断基準
迷ったら、次の順番で考えてください。
「今の自分に負担の少ない楽しみか」
「終わったあとに少し軽くなるか」
「一つだけに絞れているか」
「楽しみだけで抱え込まず、必要なら他の支えにつなげられているか」
この4つが整理できれば、災害ボランティア後に「楽しい習慣」を一つ増やして前向きさを保つ方法としてはかなり現実的です。防災では、「我慢を続けること」より「戻るきっかけを切らさないこと」の方が大切です。
■⑩ まとめ
災害ボランティア後は「楽しい習慣」を1つ増やすことで前向きさを保つ、という考え方で大切なのは、小さくて続けやすい楽しみを日常に一つ置き、張りつめた心を少しずつ生活側へ戻していくことです。厚生労働省のこころの耳でも、ストレス対処は自分に合った方法を見つけて実践することが大切とされ、気分転換やリラクセーションが勧められています。
私なら、災害ボランティア後に一番大事なのは「すぐ前向きになること」ではなく「前向きさが戻る小さな習慣を切らさないこと」だと伝えます。被災地でも、助かったのは気合いで戻った人より、日常へ戻る小さな橋を残せた人でした。だからこそ、まずは一つ選ぶ、次に短く続ける、最後に無理なら支えを増やす。この順番で整えるのがおすすめです。
出典:https://kokoro.mhlw.go.jp/nowhow/nh002/(厚生労働省 こころの耳「ストレス軽減ノウハウ」)

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