【防災士が解説】災害時、子どもをどう守る?大人が先に決めておきたい判断基準

災害時に子どもを守るうえで大切なのは、物を多く持つことだけではありません。もちろん備蓄は大切です。ですが実際には、「強い揺れのあと、どう動くか」「避難所でどこまで安心を保てるか」「子どもの不安をどう受け止めるか」で、その後のしんどさはかなり変わります。

子どもは、大人のように不安や恐怖をうまく言葉にできないことがあります。そのため、怖がる、黙る、甘える、怒りっぽくなる、眠れない、食欲が落ちるなど、行動や体のサインとして出やすいことが知られています。文部科学省も、災害や事件・事故のあと、子どもは心の問題が行動や態度の変化、頭痛や腹痛、不眠や食欲不振などの身体症状として現れやすいと示しています。 oai_citation:0‡文部科学省

この記事では、災害時に子どもを守るために、大人が何を優先し、どこを判断基準にすればよいかを、家庭でも実行しやすい形で整理して解説します。

■① 災害時、子どもに最初に必要なのは何か

結論から言うと、最初に必要なのは「説明」より「安全」と「安心」です。

大人は状況を理解しようとして情報を集めたくなりますが、子どもはまず「今ここは大丈夫か」「大人はそばにいるか」を強く見ています。こども家庭庁の災害時のこどもの居場所づくりの手引きでも、災害時には子どもが安心して過ごせる居場所の確保が重要であり、子どもの主体性や安心感を大切にすることが示されています。 oai_citation:1‡金融庁

だから、強い言葉で叱ることや、細かい説明を一気に詰め込むことより、まずは「ここにいるよ」「一緒にいるよ」「今は安全を確保しよう」と伝える方が効果的です。

■② 子どもがいる家庭で先に決めるべきことは何か

先に決めておきたいのは、「誰が子どもを連れて動くか」「どこで合流するか」「連絡が取れないときはどうするか」の3つです。

内閣府の防災教育の資料でも、家庭で避難所の確認や災害時の連絡方法の確認を行うことが、防災教育と家族間のコミュニケーションにつながると示されています。 oai_citation:2‡防災情報ポータル

たとえば、地震のときは学校では先生の指示に従う、自宅近くではまず〇〇公園へ行く、家族が会えないときは災害用伝言ダイヤルや決めた連絡方法を使う。この程度でも決めておくと、いざというときの迷いがかなり減ります。

■③ 子どもに防災をどう教えるべきか

子どもへの防災は、「怖がらせること」ではなく、「動けるようにすること」が大切です。

内閣府は、子ども向け防災啓発コンテンツを学校や家庭で一緒に学び、災害時にいつ、何を持って、どこへ逃げるかを考える機会として活用するよう案内しています。 oai_citation:3‡防災情報ポータル

つまり、防災は知識の暗記より、家の中で一緒に確認することの方が実践的です。非常持ち出し袋を一緒に見る、避難ルートを歩いてみる、地震のときは頭を守ることを繰り返し確認する。こうした積み重ねの方が、本番では役に立ちやすいです。

■④ 子どもの不安はどう表れやすいのか

子どもの不安は、必ずしも「怖い」と言葉で出るとは限りません。

文部科学省は、災害後の子どもの心身の反応として、行動や態度の変化に加え、腹痛、頭痛、眠れない、食欲不振などの身体症状にも注目する必要があると示しています。 oai_citation:4‡文部科学省

たとえば、急に甘える、怒りやすい、黙る、トイレを怖がる、夜に起きる、食べる量が減る、学校や園の話をしたがらない。こうした変化は、わがままというより、災害後のストレス反応として見る方が自然です。

■⑤ 避難所では何を優先すべきか

避難所では、食料や毛布と同じくらい、「子どもが落ち着ける場所」を意識した方がよいです。

こども家庭庁は、災害時のこどもの居場所づくりを推進しており、被災地域や避難先で子どもが安心して過ごせる場の確保を重要な課題として整理しています。 oai_citation:5‡金融庁

被災地派遣の現場でも、子どもは物が少ないことそのものより、「落ち着ける場所がない」「ずっと緊張している」ことで崩れやすい印象がありました。だから、避難所では完璧な環境を求めるより、少しでも安心できる角、いつものおもちゃ1つ、毛布1枚、親のそばなど、“落ち着ける小さな居場所”を作ることがかなり大切です。

■⑥ 子どもへの声かけはどうすればよいか

一番大切なのは、無理に元気づけすぎないことです。

文部科学省の災害後の子どもの心のケア資料では、安全・安心、絆、表現、段階的なチャレンジが回復の鍵になるとされ、防災教育と心のケアをセットで行うことの大切さが示されています。 oai_citation:6‡学校安全情報

そのため、「泣かないで」「もう大丈夫」「しっかりして」と急いで立て直そうとするより、「怖かったね」「びっくりしたね」「今はここにいて大丈夫だよ」と受け止める声かけの方が、子どもは落ち着きやすいです。

■⑦ 大人が見落としやすい危険は何か

見落としやすいのは、「元気に見える子」ほど本当は無理をしていることがある点です。

文部科学省は、危機発生時の健康観察では、直接の観察だけでなく、保護者との話し合いや記録を通して、子どもの変化を丁寧に見ていくことが大切だとしています。 oai_citation:7‡文部科学省

私の現場感覚でも、泣いている子だけがしんどいのではなく、逆に妙に明るい、頑張りすぎる、空気を読みすぎる子の方が、後から疲れが強く出ることがあります。だから、「手がかからないから大丈夫」と決めつけない方が安全です。

■⑧ 迷ったときの判断基準

迷ったら、次の順番で見てください。

「今、安全な場所にいるか」
「そばに安心できる大人がいるか」
「眠れているか、食べられているか」
「いつもと違う変化が続いていないか」

この4つで見ると、子どもへの対応の優先順位が見えやすくなります。子どもを守る防災は、物をそろえることだけではなく、日常の安心をできるだけ残すことでもあります。

■まとめ

災害時に子どもを守るうえで最も大切なのは、「安全」と「安心」を先に確保することです。子どもは大人のように不安を言葉にしにくく、行動や体の症状として表しやすいことが公的資料でも示されています。 oai_citation:8‡文部科学省

また、避難所や被災後の生活では、食料や水だけでなく、子どもが少しでも落ち着ける居場所や、信頼できる大人との関わりが重要です。こども家庭庁も、災害時のこどもの居場所づくりを重要な支援として位置づけています。 oai_citation:9‡金融庁

私なら、子どもの防災で一番大事なのは「正しく教えること」より「安心して動ける状態を作ること」だと考えます。被災地でも、子どもは説明の内容より、大人の表情やそばにいてくれる感覚で落ち着き方がかなり違いました。だからこそ、まず守るべきは命、その次に安心。この順番を大人が崩さないことが大切です。

出典:文部科学省「学校における子供の心のケア-サインを見逃さないために」

コメント

タイトルとURLをコピーしました