【防災士が解説】災害時にSNS情報を信じていい?迷ったときの判断基準

災害が起きたとき、多くの人がまず見るのがSNSです。
テレビより早く現地の状況が流れてきたり、避難所の混雑、道路状況、断水、停電、支援情報などが見つかったりすることもあります。
そのため、災害時のSNSはとても便利です。

ただ一方で、災害時ほど不確かな情報、誤解を招く情報、善意で広まった未確認情報、そして意図的なデマが混ざりやすくなります。
実際に公的機関も、災害時の偽・誤情報は救命・救助や復旧の妨げになり得ると注意を呼びかけています。

つまり結論から言えば、災害時にSNS情報を“そのまま信じる”のは危険ですが、“使ってはいけない”わけでもありません。
大切なのは、信じるか捨てるかではなく、どう見分けて使うかです。

■① まず結論:SNSは「一次確認の入口」であって「最終判断の根拠」ではない

災害時のSNSは、情報収集の入口としては非常に役立ちます。
現地の写真、周辺の声、交通の乱れ、停電の広がりなど、公的発表より早く異変を知るきっかけになることもあります。

ただし、その情報だけで避難行動や安全判断を決めてしまうのは危険です。
なぜなら、投稿者が見間違えている場合もあれば、古い写真や別地域の映像が混ざることもあり、本人に悪意がなくても誤情報は広がるからです。

防災では、SNSは「早く気づくための道具」としては有効です。
でも、「命に関わる最終判断」は、自治体、気象庁、内閣府、警察、消防などの公的情報と照らし合わせて行う。
この順番を崩さないことが大切です。

■② 信じすぎると危ない情報の特徴

災害時に特に注意したいのは、次のような情報です。

「今すぐ逃げないと全員危ない」
「この避難所は閉鎖されたらしい」
「〇〇小学校で物資配布している」
「この地域で外国人の犯罪が増えている」
「この水は有毒だから絶対触るな」
「〇〇川が決壊した」
「この画像が今の現地です」

こうした情報は、一見すると役立ちそうに見えます。
ですが、日時、場所、発信元、確認先が曖昧なまま拡散されると、とても危険です。

特に災害時は、人は不安が強くなるため、「怖い情報」「怒りを煽る情報」「助けたい気持ちを刺激する情報」ほど広がりやすくなります。
だからこそ、感情が大きく動いた投稿ほど、一度立ち止まって確認する必要があります。

■③ まず信頼したいのは「公的機関」と「現地の公式情報」

災害時に最優先で確認したいのは、次のような情報です。

自治体の防災メールや公式サイト
気象庁
国土交通省
警察・消防
電力・水道・鉄道などの公式発表
避難所を開設している自治体公式アカウント

SNSを見ること自体は悪くありません。
ただし、見る順番が大切です。
最初にSNSの噂を見るのではなく、まず公式情報を押さえ、そのあとSNSで補助的に状況を見る方が判断は安定します。

災害時に強い人は、情報量が多い人ではありません。
情報の優先順位が決まっている人です。
これだけで、かなり振り回されにくくなります。

■④ 信じてよいか迷ったときの4つの確認ポイント

SNS情報を見て迷ったときは、次の4つで確認すると整理しやすいです。

1つ目は、発信元が誰かです。
匿名アカウントなのか、自治体なのか、報道機関なのか、現地の公式組織なのか。
まずここを見ます。

2つ目は、いつの情報かです。
災害時は古い投稿が再拡散されやすいです。
昨日の情報、去年の画像、別災害の動画が「今」として流れることもあります。

3つ目は、どこの情報かです。
市町村名、地区名、施設名が曖昧な投稿は要注意です。
「この辺やばい」「近くで決壊」では判断できません。

4つ目は、公的情報と一致しているかです。
避難指示、河川情報、気象警報、ライフライン情報と合っているかを確認します。

この4つのどれかが曖昧なら、その情報は「未確認」として扱う方が安全です。
信じるかどうかを急がず、保留にすることも防災では大切な判断です。

■⑤ 拡散していい情報と、拡散しない方がいい情報

災害時、善意でリポストや共有をしたくなることがあります。
ですが、ここにも注意が必要です。

拡散しやすいのは、
・避難情報
・支援情報
・行方不明情報
・不審者情報
・危険箇所情報
などですが、これらは一つ間違うと混乱を広げやすい情報でもあります。

特に、発信元不明の救助要請、確認できない募金情報、不確実な犯罪情報、画像付きの煽り投稿は、そのまま広げない方が安全です。
「助けたいから拡散する」が、結果として現場の妨げになることもあります。

防災士として言えば、災害時に必要なのは“早い善意”より“確かな善意”です。
共有するなら、まず確認。
これがとても大切です。

■⑥ 現場感覚で言うと、危ないのは「情報の多さ」より「情報への寄りかかり」

被災地派遣やLOとして現場に入ると、情報が多すぎて動けなくなる人がいます。
SNSを何時間も追って、不安だけが強くなる。
どれが正しいかわからず、結局、避難も準備も遅れる。
これは実際に起こりやすいです。

災害時に本当に必要なのは、情報を大量に集めることではありません。
自分の行動に必要な情報だけを取ることです。

たとえば、今知るべきなのは、
避難指示が出ているか
どこへ避難するか
道路は通れるか
家族と連絡が取れるか
停電・断水はどうか
この程度で十分な場面も多いです。

SNSを見続けることで安心するのではなく、SNSを見すぎて判断が遅れることの方が危険です。
必要な情報を取ったら、行動に移す。
この切り替えが大切です。

■⑦ よくある誤解

よくある誤解の一つが、
「拡散されているから本当だろう」
という考え方です。
災害時は、広がっていることと正しいことは別です。
むしろ、強い言い方や刺激の強い内容ほど拡散されやすい傾向があります。

もう一つは、
「現地の人の投稿だから確実だろう」
という考え方です。
現地にいる人の投稿は参考になりますが、その人も全体を見ているわけではありません。
見えた範囲、聞いた範囲、勘違いが混ざることもあります。

さらに、
「公的情報は遅いから役に立たない」
という極端な考え方も危険です。
確かにSNSの方が早い場面はあります。
でも、命に関わる最終判断を支えるのは、やはり確認された公的情報です。
速さと確かさは別物です。

■⑧ まとめ

災害時にSNS情報を信じてよいか迷ったときは、「そのまま信じる」のではなく、「確認して使う」が基本です。
SNSは早く気づくための道具としては有効ですが、避難や安全判断の最終根拠にしてはいけません。

発信元、日時、場所、公的情報との一致。
この4つを確認し、少しでも曖昧なら保留にする。
そして、共有するときは善意より確認を優先する。
これが、災害時に混乱へ巻き込まれにくい使い方です。

元消防職員としての感覚でも、災害時に命を守る人は、たくさん知っている人ではありません。
確かな情報で、早く決められる人です。
SNSは便利です。
でも、寄りかかりすぎない。
その距離感が、防災ではとても大切です。

出典:内閣府広報防災「災害時におけるインターネット上の偽・誤情報について」

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