【防災士が解説】疲労が抜けない災害ボランティアは危険信号か|身体症状から読み解くストレス度の判断基準

災害ボランティアから帰ってきたあと、
「何日たっても疲れが抜けない」
「寝ても回復した感じがしない」
「体が重くて、日常に戻るのがつらい」
と感じる人は少なくありません。

結論から言えば、災害ボランティア後の“疲労が抜けない感じ”は、単なる疲れだけでなく、ストレス反応として身体に出ている可能性があります。
消防庁は、惨事ストレスによる身体的反応として、頭痛、不眠、食欲減退、下痢、発汗、頻尿などを挙げています。
また日本赤十字社は、被災者だけでなく救護にあたる援助者もストレスを受け、心身の疲労が生じることを明記しています。 (消防庁「緊急時メンタルサポートチームについて」)

防災士として率直に言えば、支援後の不調は「気持ち」ではなく、先に体に出ることがかなり多いです。
元消防職員として被災地派遣やLO対応を経験すると、現場では動けても、帰ってから一気に倦怠感、食欲低下、睡眠の乱れとして出る人はいます。
だから「疲労が抜けない」は、軽く見ない方がいいです。

■① まず前提として、支援者にも“身体症状”は起こる

災害時のこころのケアというと、被災者向けの話と思われがちです。
でも実際には、支援者やボランティアにもストレス反応は起こります。

消防庁の資料では、惨事ストレスによる反応は
・身体的反応
・精神的反応
・情動的反応
・行動的反応
の4つに整理されており、身体的反応の中に不眠、頭痛、食欲減退などが明記されています。
日本赤十字社も、災害によるストレスを受けるのは被災者だけでなく、援助者も同じだとしています。 (日本赤十字社「こころのケア活動」)

つまり、帰宅後に疲労が長引くのは珍しいことではありません。
まずは「自分だけおかしい」と思いすぎないことが大切です。

■② 疲労が抜けない理由①|活動中の緊張が切れた反動

被災地では、
・安全確認
・時間管理
・周囲への配慮
・慣れない作業
・被災状況への心理的負担
が重なります。

活動中は気が張っているので動けますが、帰ってから一気に反動が来ることがあります。
この時、
「終わったのに、なぜか体がだるい」
「少し休んでも回復しない」
という感覚が出やすいです。

防災士として言えば、これは甘えではなく、非常時モードから平常時へ戻る時の反応としてかなり自然です。
特に、責任感が強い人ほど現場では頑張れてしまうため、あとから崩れやすいです。

■③ 疲労が抜けない理由②|睡眠の質が落ちている

「寝ているのに疲れが取れない」場合は、睡眠の量ではなくが落ちていることがあります。

消防庁の資料では、不眠や悪夢、入眠困難は代表的な反応です。
つまり、
・寝つけない
・夜中に目が覚める
・夢が重い
・浅い眠りが続く
といった状態があれば、疲労はかなり抜けにくくなります。

元消防職員として率直に言えば、支援後の疲労感が長引く人は、かなりの割合で睡眠の質も落ちています。
だから「たくさん寝ればいい」で片づけず、眠りが深いかどうかまで見た方が現実的です。

■④ 疲労が抜けない理由③|食欲低下や自律神経の乱れが重なっている

ストレス反応は、胃腸や食欲にも出やすいです。
消防庁の資料では、食欲減退や下痢も身体的反応として挙げられています。

つまり、
・食欲が落ちる
・胃が重い
・下痢や便秘が続く
・何となく気持ち悪い
という状態があると、体に必要な回復が進みにくくなります。

防災士として見ても、支援後の疲労は
「筋肉の疲れ」
だけでなく、
自律神経の乱れによる全身の疲れとして出ることがかなり多いです。
だから、食事と睡眠の両方が落ちている時は注意が必要です。

■⑤ “危険信号”として見た方がいい身体症状

疲労が抜けない時に、次のような身体症状が重なっているなら、少し慎重に見た方がいいです。

・頭痛が続く
・不眠や悪夢がある
・食欲が落ちている
・胃腸の調子が悪い
・動悸や発汗が増える
・体が重く、日常の動き出しがつらい

消防庁の整理でも、こうした身体的反応は、ストレス反応の代表例です。
つまり「疲れが取れない」という感覚は、実際には複数の身体サインのまとめとして出ていることがあります。

■⑥ どこまでなら“様子見”、どこから“相談”か

ここで大切なのは、「PTSDかどうか」を自分で診断しようとしすぎないことです。
見るべきなのは、生活に影響が出ているかです。

たとえば、
・数日休めば軽くなる
・食事や睡眠を整えると少し戻る
なら、強い疲労の範囲かもしれません。

一方で、
・1〜2週間以上だるさが続く
・仕事や家事に支障がある
・睡眠、食欲、感情の乱れも一緒にある
なら、早めに相談先を持った方がいいです。

日本赤十字社も、早期のこころのケアと、必要時の専門家への橋渡しが重要だとしています。
つまり、「まだ倒れていないから大丈夫」ではなく、回復の流れに乗れているかで見る方が現実的です。

■⑦ 元消防職員として感じる“危ない疲労”の特徴

現場感覚として危ないのは、
「休めば治ると思っているのに、全然戻らない疲労」
です。

特に、
・動き出しに強い重さがある
・人に会うだけで疲れる
・回復感がない
・休んでも罪悪感が強い
という状態は、身体だけでなく心もかなり消耗しています。

被災地派遣や支援活動では、終わってから一気に崩れる人はいます。
だから、疲労が長引く時ほど「もっと頑張る」より、一度立ち止まる判断の方が大切です。

■⑧ 今すぐできる現実的な整え方

疲労が抜けない時は、気合いで元に戻そうとしない方がいいです。

まずやりたいのは、
・睡眠時間と睡眠の質を記録する
・食事を無理なく取る
・水分不足を防ぐ
・軽い散歩程度で体を整える
・災害映像やニュースを見すぎない
・信頼できる人に共有する
ことです。

防災士として言えば、支援後の疲労は「寝るだけ」で戻らないことがあります。
だから、睡眠・食事・刺激の調整・人との共有をセットで整える方が効果的です。

■⑨ まとめ

災害ボランティア後に疲労が抜けない時は、単なる体力不足ではなく、ストレス反応として身体に出ている可能性があります。
消防庁は、惨事ストレス反応の身体的反応として頭痛、不眠、食欲減退などを挙げています。
日本赤十字社も、被災者だけでなく援助者もストレスを受け、心身の疲労が生じることを明記しています。 (消防庁「緊急時メンタルサポートチームについて」)

防災士として強く言えるのは、災害支援後の疲労は、
「まだ頑張れるか」
ではなく、
眠り・食欲・頭痛・だるさが一緒に戻っているか
で見た方がいいということです。
迷ったら、「疲れかな」で流すより、生活に影響しているかを基準にした方が、ずっと現実的です。

出典:日本赤十字社「こころのケア活動」

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