【防災士が解説】離婚後の子の養育見直し(令和8年4月施行) 災害時に子どもを守るために知っておきたい法改正のポイント

令和6年5月、民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)が成立しました。
この改正は、父母の離婚等に直面する子どもの利益を確保するため、養育に関する父母の責務を明確化し、親権・監護、養育費、親子交流、養子縁組、財産分与などの規定を見直すものです。
施行日は令和8年4月1日です。

一見すると「家族法の話」に見えますが、防災の現場では“離婚後の家族関係”が避難・安否確認・医療同意・引き取りで影響する場面が少なくありません。

■①改正の目的:子どもの利益を最優先に

今回の改正の軸は明確です。

・父母の責務の明確化
・親権・監護の在り方の見直し
・養育費や親子交流の実効性確保
・財産分与などの整理

ポイントは「どちらが勝つか」ではなく、「子どもの利益をどう確保するか」です。

■②なぜ防災と関係があるのか

災害時、次のような場面が現実に起きます。

・避難所での子どもの引き取り確認
・医療行為に関する同意
・安否確認時の連絡先の混乱
・親子交流中の被災
・別居親と同居親で情報共有ができない

平時は問題が表面化しなくても、災害は“家族の情報整理不足”を一気に露呈させます。

■③親権・監護の整理は「判断の速さ」に直結する

親権や監護のルールが曖昧だと、災害時に判断が遅れます。

・どちらが医療同意を出せるのか
・どちらが学校から引き取れるのか
・どちらが避難先を決めるのか

私は被災地派遣でLOとして自治体調整に入った際、保護者間の連絡が取れず、学校や医療側が判断に迷う場面を見てきました。
法律の整理は、現場での“迷い”を減らす効果があります。

■④養育費・財産分与の見直しと生活再建

災害後は、生活再建にお金が必要です。
養育費の取り決めが不安定だと、子どもの生活基盤が崩れやすくなります。

防災は「物資」だけではなく「生活の継続力」も含みます。
法制度の安定は、耐災害力(生活が壊れにくい力)を高める土台になります。

■⑤親子交流中の災害リスク

別居親との親子交流中に地震・豪雨・台風が起きるケースもあります。

そのとき大事なのは:

・連絡手段の事前共有
・集合場所の決定
・緊急時の判断優先順位の合意

元消防職員として言えるのは、災害時は“正しさ”より“事前合意”が強いということです。

■⑥家庭でできる「最小の備え」

今日できることは難しくありません。

・子どもの緊急連絡先を双方で共有
・学校・保育所への登録情報を最新化
・医療機関での同意者を確認
・災害時の集合場所を1つ決める

法律が変わっても、家庭内の共有がなければ実効性は弱まります。

■⑦離婚家庭こそ「自律型避難」の設計を

離れて暮らしている場合、即時合流が難しいこともあります。
そのため、子ども自身が動ける“自律型避難”の考え方が重要です。

・最寄りの安全な場所を教える
・大人が来なくても動けるルールを決める
・連絡が取れない前提で行動基準を持たせる

私は被災地で、親を待ち続けて動けなくなった子どもも見ました。
だからこそ、判断基準を事前に渡すことが大切です。

■⑧改正法施行前にやるべきこと

施行は令和8年4月1日です。
それまでにできることは、

・改正内容の確認
・家庭内での役割整理
・緊急時対応の共有

制度を知ることは、防災の一部です。


まとめ

民法等の一部改正(令和8年4月1日施行)は、離婚後等の子の利益を守るため、父母の責務や親権・養育費等を見直す重要な改正です。
防災の現場では、家族関係の整理が「判断の速さ」に直結します。被災地派遣の経験からも、事前の合意と情報共有が、子どもを守る最大の備えになります。法律の改正を“家族の防災設計を見直す機会”として活用してください。

出典:法務省民事局「民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について」

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