【防災士が解説】夏の熱中症から避難中に身を守る扇風機は本当に役立つ?避難所で迷わない判断基準

夏に地震や豪雨で避難する時、扇風機は「あると少し楽な物」くらいに思われがちです。ですが、実際には、避難所で空気を動かせるかどうかはかなり大きいです。熱がこもった体育館や教室では、冷房がなくても、扇風機があるだけで体感が変わることがあります。内閣府が石川県に出した「令和6年能登半島地震における避難所の暑さ対策について」でも、エアコン設置が難しい場合の対応として、扇風機、網戸、氷柱、打ち水などを組み合わせて暑さ対策を行うことが示されています。
https://www.bousai.go.jp/updates/r60101notojishin/pdf/tsuuchi_r60423_ishikawa.pdf

一方で、内閣府・厚生労働省の「災害時の熱中症予防」では、災害時は慣れない環境や疲労で熱中症リスクが高まり、暑さを避け、こまめに水分・塩分をとることが重要とされています。つまり、扇風機は便利でも、それだけで熱中症を防げるわけではありません。
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/pdf/nettyuu-saigaiji.pdf

つまり、夏の避難中の扇風機で大切なのは、「あるかないか」だけでなく、どこで、どう使い、何と組み合わせるかです。この記事では、その判断基準を現実的な順番で整理して解説します。

■① まず結論として、扇風機は本当に必要なのか

結論から言うと、夏の避難所ではかなり役立つが、単独ではなく補助装備として考える方が現実的です。

扇風機の強みは、室温そのものを下げることより、空気を動かして熱や湿気を逃がしやすくすることにあります。人が多い避難所では、空気が止まるだけで体感はかなり悪くなります。だから、送風があるだけでも、汗の蒸発や息苦しさの軽減につながりやすいです。

元消防職員として感じるのは、被災地で本当につらいのは「暑さ」だけでなく「空気が動かないこと」でもあるという点です。私なら、真夏の避難所で扇風機が使えるなら、かなり優先度の高い設備として見ます。

■② 扇風機の一番の役割は何か

一番の役割は、熱をこもらせないことです。

避難所では、人の体温、湿った衣類、呼気、床や壁にたまる熱で、室内の空気が重くなりやすいです。扇風機はその空気を動かし、同じ場所に熱や湿気がたまるのを少し減らせます。内閣府の通知でも、扇風機は避難所の暑さ対策として明確に挙げられています。
https://www.bousai.go.jp/updates/r60101notojishin/pdf/tsuuchi_r60423_ishikawa.pdf

つまり、扇風機は「涼しくする機械」というより、「熱がよどまないようにする機械」と考える方が現実的です。

■③ 扇風機だけで熱中症は防げるのか

そこは注意が必要です。扇風機だけで十分とは言いにくいです。

内閣府・厚生労働省の災害時熱中症予防では、暑さを避けること、こまめな水分・塩分補給、暑さ情報の確認などが基本として示されています。つまり、扇風機があっても、水を飲まない、直射日光が強い、暑い場所に長くいる、疲れが強い、といった条件が重なれば熱中症リスクは残ります。
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/pdf/nettyuu-saigaiji.pdf

被災地でも、「風が当たっているから大丈夫」と思い込み、水分補給が遅れる人はいました。だから、扇風機は主役ではなく、暑さ対策の一部として考える方が安全です。

■④ どこに置くと効果が出やすいのか

効果が出やすいのは、人が密集している所の空気を動かせる位置です。

ただし、単純に人へ直接当て続けるだけでなく、風の通り道を作ることが大事です。窓や出入口との位置関係によって、同じ扇風機でも効き方は変わります。内閣府の通知でも、扇風機は網戸や打ち水などと組み合わせて使うことが示されており、単体で置くだけより「空気の流れ」を作る発想が重要です。
https://www.bousai.go.jp/updates/r60101notojishin/pdf/tsuuchi_r60423_ishikawa.pdf

私なら、扇風機は「人に当てる物」としてだけでなく、「熱のたまり場を崩す物」として置きます。その方が避難所全体のしんどさが減りやすいです。

■⑤ 扇風機を使う時に特に気をつけたいことは何か

気をつけたいのは、扇風機があることで安心しすぎないことです。

風があると涼しく感じるため、体のしんどさを少し見落としやすくなります。ですが、汗が出なくなっている、水分が足りていない、熱がこもった空間に長くいる、といった条件では、風だけでは足りません。私なら、扇風機がある場所でも「水を飲めているか」「顔色が落ちていないか」を一緒に見ます。

元消防職員としては、扇風機の風そのものより、「風があるから大丈夫だろう」という油断の方が危ないと感じます。

■⑥ 高齢者や子どもがいる場合はどう考えるべきか

高齢者や子どもがいる場合は、風が当たることだけでなく、暑さがこもらない位置に寄せることが大切です。

内閣府・厚生労働省の災害時熱中症予防でも、高齢者、こども、障害者の方々は特に注意が必要とされています。これらの人は、暑さや不調を自分で訴えにくいことがあり、周囲が環境を整える方が安全です。
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/pdf/nettyuu-saigaiji.pdf

私なら、一番弱い立場の人を基準にして、風の届く場所、水分が取りやすい場所、出入りで暑くなりにくい場所を優先します。

■⑦ 扇風機がない時はどう考えるべきか

扇風機がないなら、風を起こす工夫と熱を減らす工夫を重ねる方が現実的です。

たとえば、窓の開け方を工夫する、うちわや送風機器を使う、濡れタオルを活用する、直射日光を切る、密集を避ける、といったことです。内閣府の通知でも、暑さ対策は扇風機だけに限らず、網戸、氷柱、打ち水などを組み合わせる考え方が示されています。
https://www.bousai.go.jp/updates/r60101notojishin/pdf/tsuuchi_r60423_ishikawa.pdf

つまり、扇風機がなくても「何もできない」ではありません。私なら、空気を動かすことと熱を減らすことを分けて考えます。

■⑧ 迷った時の判断基準

迷ったら、次の順番で考えてください。

「今いる場所は熱がこもりすぎていないか」
「扇風機で空気を動かせているか」
「水分・塩分補給が後回しになっていないか」
「高齢者や子どもが暑さを我慢していないか」

この4つがそろっていれば、夏の避難中の扇風機活用としてはかなり現実的です。防災では、「風があるか」だけでなく「その風で崩れにくくなっているか」を見る方が大切です。

■⑨ まとめ

夏の熱中症から避難中に身を守る扇風機で大切なのは、空気を動かし、熱と湿気をこもらせないことです。内閣府の「令和6年能登半島地震における避難所の暑さ対策について」では、扇風機を網戸、氷柱、打ち水などと組み合わせて使うことが示されています。内閣府・厚生労働省の「災害時の熱中症予防」でも、暑さを避け、こまめな水分・塩分補給を行うことが基本とされています。
https://www.bousai.go.jp/updates/r60101notojishin/pdf/tsuuchi_r60423_ishikawa.pdf
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/pdf/nettyuu-saigaiji.pdf

私なら、夏の避難所で扇風機に一番期待するのは「冷やすこと」より「熱をためないこと」だと伝えます。被災地でも、風があるだけでかなり持ち方が違いました。だからこそ、まずは空気を動かす、次に水を飲む、最後に一番弱い人を守る。この順番で整えるのがおすすめです。

出典:https://www.bousai.go.jp/updates/r60101notojishin/pdf/tsuuchi_r60423_ishikawa.pdf(内閣府「令和6年能登半島地震における避難所の暑さ対策について」)

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