【元消防職員が解説】消防学校初任科|高校生・大学生の「学生」から消防士になるための心構え

消防学校の初任科は、知識や体力を鍛えるだけの場所ではありません。
結論から言うと、高校生・大学生までの「学生の感覚」を脱いで、“現場で人の命を預かる職業人”の頭に切り替える期間です。
この切り替えができる人ほど、訓練も人間関係も安定し、結果的に伸びます。

私は元消防職員として、初任科を経て現場に出る人たちを見てきました。さらに被災地派遣(LO)で避難所運営や支援に入った経験からも、現場で信頼されるのは「技術が派手な人」より、基本が崩れない人だと痛感しています。初任科で作るべきは、その“崩れない土台”です。


■① まず最初の覚悟:消防は「評価される場」ではなく「信頼を積む場」

高校・大学では、点数や成果で評価されます。
でも消防は、信頼で評価されます。

・約束を守る
・報告する
・安全を優先する
・チームの一員として動く

この積み重ねが、現場であなたを守ります。


■② 学生の感覚を脱ぐ①:「自分の自由」より「チームの安全」

学生生活は、自分の都合で動ける時間が多いです。
消防は逆で、自分の都合よりチームの安全が優先です。

・勝手な判断で動かない
・合図と手順を守る
・迷ったら止まって確認する

この切り替えができると、初任科が一気に楽になります。


■③ 学生の感覚を脱ぐ②:素直さは最強の技能

初任科は、自己流を通す場所ではありません。
消防は一つ一つの動きに理由があり、型が安全を作ります。

・言われた通りに一回やる
・直されたらすぐ直す
・分からないを隠さない

素直さは性格ではなく、事故を減らす技術です。


■④ 学ぶ姿勢:メモより大事なのは「次の行動が変わること」

学ぶ姿勢は、知識量の多さではありません。
同じミスを繰り返さないために、次の一手を変えられるかです。

被災地派遣(LO)では、状況が刻々と変わり、昨日の正解が今日の正解ではない場面が普通にあります。
そのとき頼れるのは、プライドより“更新できる頭”です。初任科でそこを鍛えます。


■⑤ 協調性:消防は徹底したチーム競技

高校・大学の部活でもチームは大事ですが、消防はさらに徹底します。
・合図を揃える
・声を掛け合う
・隊列を乱さない
・危険を共有する

現場では「一人で頑張る人」より「合わせられる人」が強い。
初任科でその感覚を身体に入れると、現場が一気に楽になります。


■⑥ 生活管理は実力:睡眠・食事・回復が崩れると判断が崩れる

学生のころは、多少無理しても何とかなった人が多いです。
でも消防は、無理が事故につながります。

・寝不足で集中が落ちる
・食べられず体力が落ちる
・疲労が抜けずケガが増える

初任科で身につけるべきは、派手な根性より、淡々と整える生活管理です。
被災地でも、生活が崩れた人ほど判断が鈍り、ミスが増える現実を見ました。


■⑦ 報連相は命綱:早めに言える人が一番強い

学生の感覚だと「自分で抱える」が起きやすいです。
でも消防は逆で、早めに言う人ほど事故を減らします。

・遅れそうなら早めに言う
・痛みや違和感は早めに言う
・分からない時点で言う

これができる人は、初任科でも現場でも信頼されます。


■⑧ 心構えの最終形:目標は「強い消防士」より「壊れない消防士」

初任科で目指すべきは、派手な強さではありません。
基本を崩さず、相談でき、チームで動ける「壊れない消防士」です。

私は元消防職員として、そして被災地派遣(LO)で現場を見た立場から言えます。
最後に人を助けるのは、短期の気合いより、長期の安定です。初任科は、その安定を作る場所です。


まとめ

結論:高校生・大学生の「学生」から消防士になる心構えは、「信頼を積む」「自分の自由よりチームの安全」「型を素直に入れる」「学んで行動を変える」「協調して動く」「生活管理で判断を守る」「報連相を早くする」「壊れない自分を作る」。この土台ができれば、技術と体力は後から必ず伸びる。


出典

総務省消防庁「消防学校における教育訓練(消防白書)」
https://www.fdma.go.jp/publication/hakusho/

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