【元消防職員が解説】防災×スマートグラス|救助現場はここまで進化する

防災

「煙で前が見えない」
「無線が混線して指示が遅れる」

災害現場では、“情報の遅れ”が命に直結します。

今、その常識を変えつつあるのがスマートグラス(ARグラス)です。

■救助活動はどう変わるのか

最新のスマートグラスは、

・赤外線カメラ映像の重ね表示
・ドローン映像のリアルタイム共有
・隊員の位置情報表示
・残気時間の視覚表示
・指揮所からの即時指示投影

といった機能を持ちます。

従来は、

「無線で聞く → 頭で整理する → 行動する」

という流れでした。

スマートグラスは、

「視界に直接表示 → そのまま行動」

に変わります。

これは現場の“判断速度”を一段引き上げます。

■煙・暗闇・混乱に強い

火災現場では視界ゼロの状況も珍しくありません。

私は元消防職員として、煙で方向感覚を失う隊員を何度も見ました。
壁伝いに進み、音を頼りに救助するのが現実です。

もし視界に、

・建物構造
・要救助者の位置
・出口方向

が表示されたらどうでしょうか。

迷いが減ります。
迷いが減る=時間短縮。
時間短縮=生存率向上。

これは理論ではなく、現場で体感できる差になります。

■水害・避難誘導での活用

スマートグラスは消防だけの装備ではありません。

水害時には、

・浸水予測のAR表示
・避難所までの安全ルート投影
・通行不能エリアの可視化

が可能になります。

特に高齢者や子どもの誘導では、

「言葉」より「視覚」が強い。

直感的に進む方向が見えることは、パニックを減らします。

これは“心の避難”にもつながります。

■訓練と日常への応用

防災は本番より“平時”が重要です。

スマートグラスは、

・消防訓練での動線確認
・家庭での避難経路投影
・危険箇所の事前可視化

といった用途でも効果を発揮します。

ハンズフリーで情報を確認できるため、
動きながら学習できる。

これは訓練効率を大きく高めます。

■課題もある

現実的な課題は、

・バッテリー持続時間
・高コスト
・装着時の重量
・通信インフラ依存

特に大規模災害では通信断が起こります。

技術は万能ではありません。

だからこそ、
“補助装置”として使う視点が重要です。

■現場で感じる未来

被災地派遣やLO(連絡調整)業務では、
情報共有の遅れが最大のストレスでした。

「今どこまで進んでいるのか分からない」

この不安が判断を鈍らせます。

スマートグラスは、
単なるガジェットではありません。

情報の透明化装置です。

透明化は、迷いを減らします。

■やらなくていい防災

個人が今すぐARグラスを買う必要はありません。

重要なのは、

「防災は情報戦である」

と理解すること。

自治体や消防が導入する未来を前提に、
市民も“情報を活用する防災”へ進む。

それが耐災害力を高めます。

■今日できる最小行動

・自治体の防災アプリを確認する
・ハザードマップを見直す
・家族で避難ルートを共有する

テクノロジーは進化します。

しかし最終的に命を守るのは、
判断と準備です。

スマートグラスは、防災の未来を映す一例。

情報が見える社会は、
命が助かる社会に近づきます。

出典:PR TIMES(AR防災実証事例報道)

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