大規模災害では、まず通信が止まります。
被災地で何度も見てきたのは「情報が遮断された瞬間に、人の判断力が一気に落ちる」という現実です。
近年注目されているのが、衛星通信「スターリンク(Starlink)」ですが、防災で本当に使えるのかは冷静な整理が必要です。
■① 災害時に通信インフラはどう壊れるのか
現場では次の順で通信が失われます。
・停電による基地局停止
・回線混雑による通信制限
・有線回線の断線
特に内陸部・山間部では復旧が遅れ、「数日〜1週間、通信がほぼゼロ」という状況も経験しました。
■② スターリンクとは何かを正しく理解する
スターリンクは低軌道衛星を使った通信です。
・地上回線に依存しない
・アンテナと電源があれば通信可能
・広域災害に強い
被災地派遣時、行政拠点だけ通信が回復しているケースがあり、その多くが衛星通信でした。
■③ 被災地で見た「通信がある場所」の価値
通信が確保できた拠点では、
・避難所配置の判断
・物資要請
・医療連携
が圧倒的に早く進みました。
スターリンクは「全員の通信」ではなく、判断拠点を生かす通信だと感じています。
■④ スターリンクが真価を発揮する場面
防災で有効なのは以下です。
・自治体庁舎
・災害対策本部
・医療拠点
・広域避難所
家庭用としては「万能」ではありませんが、地域・組織防災では極めて有効です。
■⑤ 家庭防災での現実的な位置づけ
正直な現場感覚として、
・一般家庭が常設する必要は低い
・初動72時間は過剰装備になりがち
・停電対策(電源確保)が必須
スターリンクは「家庭の主力」ではなく、地域・企業・学校で共有する備えが現実的です。
■⑥ 電源がなければスターリンクは使えない
重要な盲点です。
・本体消費電力が大きい
・ポータブル電源必須
・長期停電では運用困難
被災地では「通信機器はあるが電源がない」状況を何度も見ました。
■⑦ スターリンク導入で起きやすい誤解
よくある勘違い。
・あれば安心
・誰でもすぐ使える
・災害時に自動で動く
実際は、平時の設営・運用訓練がないと使えない機器です。
■⑧ スターリンクを防災に活かす条件
有効に使うには、
・設置担当を決める
・電源確保計画を立てる
・年1回は接続確認
「備えただけ」で終わらせないことが重要です。
■⑨ やらなくていいスターリンク防災
・家庭で無理に導入する
・通信の主軸に据える
・スマホ代わりに考える
判断を重くする備えは、防災では逆効果になります。
■⑩ 今日できる最小行動
今日できる行動は一つ。
「自治体・学校・職場にスターリンク導入計画があるか確認する」
スターリンクは「命を直接守る道具」ではありません。
しかし、正しい判断を守る通信として、これからの防災に欠かせない存在になりつつあります。

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