「信号が2つに見える」「景色が二重に見える」――。
近年、スマートフォンの長時間使用により「急性内斜視(いわゆるスマホ斜視)」が若者を中心に増加しています。
一見、防災とは関係がないように思えるこの症状ですが、実は“災害時の判断力”に直結する重大な問題です。
被災地派遣やLOとして現場に入った経験からも、「目のトラブル」は避難・運転・情報収集に大きく影響することを実感しています。
■① スマホ斜視とは何か
医学的には「急性後天性内斜視」と呼ばれます。
・黒目が内側に寄る
・遠くを見ると二重に見える(複視)
・片目を閉じると楽になる
スマホを至近距離で長時間見続けることで、目の内直筋が過緊張を起こし、元に戻らなくなる状態です。
特に若年層で増加傾向にあります。
■② 災害時に“視力異常”が危険な理由
災害発生直後は、
・標識や信号の確認
・割れたガラスや障害物の回避
・避難誘導表示の確認
・運転中の状況判断
これらが瞬時に求められます。
物が二重に見える状態では、判断が遅れます。
元消防職員として現場に立った際、視界不良や目の不調で転倒する人を何度も見ました。
「見えること」は安全の前提条件です。
■③ 初期サインを見逃さない
次の症状があれば、眼科受診を検討すべきです。
・遠くを見ると二重に見える
・片目をつぶると楽になる
・鏡を見ると黒目が内側に寄っている
・急に運転が怖くなった
特に「複視」は脳からのSOSです。
放置すると、両眼視機能が低下し、手術が必要になる場合もあります。
■④ 予防の3原則(今日からできる)
① 30cmルール
スマホは30〜40cm離して使う。
② 20-20-20ルール
20分ごとに、約6m先を20秒見る。
③ 寝る前スマホ禁止
暗所でのスマホは負担が大きい。
これは防災対策でもあります。
“目を守ること=判断力を守ること”です。
■⑤ 被災地で見えた「情報弱者」の共通点
被災地派遣・LOとして活動した際、
スマホ依存傾向の強い若者が、
・夜間の停電時に転倒
・避難経路を誤認
・標識を見間違い
といった事例がありました。
平時の生活習慣が、有事に影響します。
■⑥ やらなくていいこと
・市販目薬でごまかし続ける
・「若いから大丈夫」と放置する
・症状が出てもゲームをやめない
これらはリスクを高めます。
■⑦ 今日できる最小行動
- スマホの持ち方を今すぐ見直す
- 20-20-20ルールを今日から実践
- 遠くを見る習慣を作る
たったこれだけで、進行を防げる可能性があります。
■⑧ 結論
スマホ斜視は「目の問題」ではなく「判断力の問題」です。
災害時に必要なのは、
正確に見えること。
素早く判断できること。
安全に移動できること。
目を守る習慣は、命を守る習慣です。
平時の生活習慣を整えることが、最大の防災です。
出典
医療法人創光会くらかず眼科 院長解説記事(2026年2月21日配信)

コメント