【防災士が解説】古い灯油は本当に危険か|使っていいか迷った時の判断基準

寒くなって石油ストーブや石油ファンヒーターを使おうとした時、
「昨シーズンの灯油は使っていいのか」
「見た目は普通だが危ないのか」
「もったいないから使いたいが、本当に大丈夫なのか」
と迷う人は少なくありません。

結論から言えば、古い灯油で最も大切なのは、“見た目が普通かどうか”ではなく、“昨シーズンの持ち越し灯油は使わない”と決めることです。
NITEは、灯油はシーズン中に使い切り、持ち越さないでくださいと明確に注意喚起しています。変質した灯油を使うと、ガム状の物質が芯の先端付近に付着して膨らみ、芯が下がらず消火できなくなるおそれがあると説明しています。さらにNITEの注意喚起資料では、変質灯油が原因と推定される石油ストーブ事故として、発火や消火不良が発生していると示されています。NITEは2023年の注意喚起でも、新しい灯油を使い、昨シーズンの灯油は使わないよう案内しています。 (nite.go.jp)

元消防職員として率直に言えば、古い灯油で一番危ないのは、
「たぶん大丈夫だろう」と一回だけ使ってみること
です。
東日本大震災当時に東京で被災し、その後の被災地派遣やLO対応でも強く感じたのは、暖房器具の事故は「大きな無茶」より、もったいない気持ちからの小さな油断で起こりやすいということです。特に寒い時期は、早く暖を取りたい気持ちが強くなります。だから古い灯油は、使えるか悩むより使わない判断を先にする方が現実的です。

■① 最初に押さえたいのは「古い灯油=変質リスクがある」ということ

古い灯油でまず知っておきたいのは、
時間がたった灯油は変質するおそれがある
ということです。

NITEは、灯油に紫外線が当たるなど保管条件が悪いと成分が変質し、ガム状物質が生成すると説明しています。これが石油ストーブの芯に付着し、正常な燃焼や消火を妨げる原因になります。 (nite.go.jp)

防災士として言えば、古い灯油の問題は
燃えるかどうか
ではなく、
安全に燃えて、きちんと消えるか
です。
元消防職員としても、ここを軽く見るとかなり危険です。

■② 「見た目が透明」「においが普通」でも安心しない方がいい

ここはかなり重要です。

NITEの2014年の注意喚起資料では、従来は色やにおいの変化で変質の程度を判断できると考えられてきたものの、調査結果では外観だけでは判断が難しい事例があることが示されています。つまり、
見た目が普通でも安全とは限らない
ということです。 (nite.go.jp)

防災士として率直に言えば、古い灯油で一番危ないのは
「見た感じは大丈夫そう」
という判断です。
元消防職員としても、見た目で判断しようとすると事故寄りになります。だから、判断基準は見た目ではなく
昨シーズンの持ち越しかどうか
にした方が現実的です。

■③ 変質灯油で起こりやすいのは「消火不良」と「異常燃焼」

NITEは、変質した灯油を使うと
芯が下がらず消火できなくなる
ことがあると説明しています。さらに、変質灯油が原因と推定される事故として、発火1件、消火不良7件が報告されたとしています。 (nite.go.jp)

つまり、古い灯油の危険は
火がつかないこと
より、
火がついた後に正常に止められないこと
です。

防災士として言えば、石油ストーブで一番怖いのは
燃えないこと
ではなく、
消せないこと
です。
元消防職員としても、異常燃焼や消火不良は火災につながるので、古い灯油はかなり慎重に考える方が現実的です。

■④ 使っていいか迷った時の判断は「使わない」が基本

ここは結論に近いところです。

NITEは、
灯油はシーズン中に使い切り、持ち越さない
と繰り返し案内しています。2023年の石油ストーブ注意喚起でも、
新しい灯油を使う。昨シーズンの灯油は使わない
と明記しています。 (nite.go.jp)

つまり、使っていいか迷った時の現実的な判断基準は、
迷う古い灯油は使わない
です。

防災士として率直に言えば、
もったいない
より
火災を出さない
を優先した方がいいです。
元消防職員としても、灯油代を惜しんで事故になる方が、はるかに損失が大きいです。

■⑤ 古い灯油は「少し混ぜれば大丈夫」と考えない方がいい

古い灯油については、
「新しい灯油に少し混ぜれば使えるのでは」
と考える人もいます。

ただ、NITEはそもそも持ち越し灯油を使わないよう注意喚起しており、変質灯油の使用による事故防止を求めています。つまり、公的な注意喚起の方向は
薄めて使う
ではなく
使わない
です。 (nite.go.jp)

防災士として言えば、古い灯油で危ないのは
自己流の工夫
です。
元消防職員としても、「少しなら大丈夫」は事故の入り口になりやすいので避けた方が現実的です。

■⑥ 保管するなら「日の当たらない暗所・ふたを閉める」が基本

NITEは、灯油を保管する場合は、
できるだけ色の濃い容器
ふたをしっかり閉める
日の当たらない暗所
で保管するよう案内しています。 (nite.go.jp)

つまり、変質を遅らせるには、
光、空気、熱
の影響をできるだけ減らすことが大切です。

防災士として率直に言えば、灯油の保管で一番大切なのは
いつまで置いても平気な状態を作ること
ではなく、
シーズン中に使い切る前提で傷みにくく保管すること
です。

■⑦ 被災地経験から見ても「暖を急ぐ時ほど判断が甘くなる」

被災地派遣やLO対応で強く感じたのは、
寒い時ほど
とにかく早く暖まりたい
気持ちが強くなることです。

だから、
・古い灯油でも使いたくなる
・少し様子を見たくなる
・着火後の異常を軽く見てしまう
ということが起きやすいです。

元消防職員として率直に言えば、暖房器具の事故は
寒さへの焦り
が背景にあることも少なくありません。
だからこそ、古い灯油は「使えるか」より「使わない」と先に決めた方が現実的です。

■⑧ まとめ

古い灯油で最も大切なのは、“見た目が普通かどうか”ではなく、“昨シーズンの持ち越し灯油は使わない”と決めることです。
NITEは、灯油はシーズン中に使い切り、持ち越さないでくださいと明確に注意喚起しています。変質した灯油を使うと、ガム状の物質が芯の先端付近に付着して膨らみ、芯が下がらず消火できなくなるおそれがあると説明しています。NITEの注意喚起資料では、変質灯油が原因と推定される石油ストーブ事故として、発火や消火不良が発生していると示されています。 (nite.go.jp)

元消防職員として強く言えるのは、古い灯油で一番大切なのは
もったいない気持ち
ではなく、
火災を起こさない判断
だということです。
迷ったら、
・昨シーズンの灯油は使わない
・見た目で安全判断しない
・新しい灯油を使う
この3つを守るのが一番現実的です。

出典:NITE「石油ストーブ『変質灯油で異常燃焼のおそれ』」

参考:NITE「石油ストーブ 火災を防ぐ5つのチェックポイント」

コメント

タイトルとURLをコピーしました