夏に地震や豪雨で避難する時、「熱中症対策なら塩分をしっかり取るべき」と聞いて、不安になる人は多いと思います。ですが、結論から言うと、塩分だけを意識するのではなく、まず水分を切らさず、そのうえで汗の量に応じて塩分を足すのが現実的です。内閣府・厚生労働省の「災害時の熱中症予防」でも、災害時は慣れない環境や疲労で熱中症リスクが高まり、のどが渇いていなくても、こまめに水分・塩分をとることが大切だと示されています。
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/pdf/nettyuu-saigaiji.pdf
一方で、環境省の熱中症環境保健マニュアルでは、大量の発汗がある場合は水だけでなく、塩分濃度0.1〜0.2%程度の飲料が勧められる一方、糖分の多い飲料の飲み過ぎには注意が必要だとされています。
https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/manual/heatillness_manual_full.pdf
つまり、夏の避難中の塩分補給で大切なのは、「塩を取るか取らないか」の二択ではなく、今どれくらい汗をかいているか、水分が足りているかで判断することです。この記事では、その判断基準を現実的な順番で整理して解説します。
■① まず結論として、塩分補給で最優先にすべきことは何か
結論から言うと、最優先にすべきことは、まず飲めているかを確認し、その次に汗の量を見て塩分を足すことです。
避難中は緊張や移動、受付、家族対応で、飲むこと自体が後回しになりやすいです。そこに「塩分も必要らしい」と情報だけ増えると、逆に何を優先すべきか分かりにくくなります。ですが、熱中症の入り口では、まず体の水分不足が進みます。だから、塩分だけを先に考えるより、「今、水分がちゃんと入っているか」を先に見る方が安全です。
元消防職員として感じるのは、被災地で崩れる人は「塩分が足りない人」だけではなく、そもそも飲めていない人が多いという点です。私なら、夏の避難では
①まず飲めているか
②次に汗を多くかいているか
③そのうえで塩分を足すか
この順で考えます。
■② なぜ水だけでは足りない場面があるのか
理由は、汗と一緒に塩分も失われるからです。
環境省の熱中症環境保健マニュアルでも、大量の発汗がある場合は、水だけでなく塩分濃度0.1〜0.2%程度の飲料が勧められるとされています。つまり、真夏の避難移動、荷物運び、冷房の弱い避難所で長時間過ごす場面では、水だけでは補い方として弱くなることがあります。
被災地派遣の現場でも、水は飲んでいるのに、だるさや足のつり、食欲低下が出る人はいました。だから、「飲んでいるから大丈夫」とは言い切れず、汗の量まで見た方が現実的です。
■③ 逆に、塩分ばかり意識しすぎるのはよくないのか
はい。塩分だけを強く意識しすぎるのも危ういです。
塩分は大切ですが、水分が足りていなければ体は回りません。しかも、環境省のマニュアルでは、スポーツ飲料などには糖分が多い物もあるため、飲み過ぎによる糖分の過剰摂取に注意が必要とされています。つまり、「塩分補給」と言っても、何でも多く飲めばよいわけではありません。
私なら、避難中の塩分補給では「塩を取るぞ」と力むより、「まず飲む、汗が多ければ塩分も足す」くらいで考えます。その方が実際に続けやすいです。
■④ どんな時に塩分補給を意識すべきか
意識したいのは、汗をしっかりかいている時です。
たとえば、炎天下での移動、片付け作業、荷物の持ち運び、冷房が弱い避難所で汗が止まらない時などです。逆に、涼しい部屋で安静にしていて、大量に汗をかいていないなら、まずはこまめな水分補給を土台にした方が現実的です。
元消防職員としては、「塩分補給が必要か」を迷ったら、汗の量で見るのが一番分かりやすいと感じます。服がかなり湿っている、汗が流れる、ふらつくほど消耗している、こうした時は塩分も意識した方が安全です。
■⑤ どんな形で塩分を取ればいいのか
現実的なのは、飲み物や食べやすい物で無理なく取ることです。
スポーツドリンク、経口補水液、塩分を含む飴やタブレット、梅干し、汁気のある食事などは使いやすいです。ただし、塩分だけを単独で取るより、水分と一緒に入る形の方が続けやすく、避難中には実用的です。
被災地でも、「塩タブレットだけなめている」「水だけ大量に飲む」より、少しずつ飲みながら必要に応じて塩分を足せている人の方が安定していました。だから、特別な物がなくても、水分と一緒に取れる形を優先した方がよいです。
■⑥ 高齢者や持病のある人はどう考えるべきか
ここは少し慎重に見る必要があります。
厚生労働省の高齢者向け熱中症対策でも、こまめな水分・塩分補給が勧められる一方で、水分や塩分の摂取量は、かかりつけ医の指示に従うよう案内されています。つまり、高血圧、心臓、腎臓などで制限がある人は、一律に「塩を増やす」で考えない方が安全です。
私なら、この場合は「一般論として塩分補給は大事」でも、その人の普段の指示があるならそちらを優先します。避難中でも、この原則は変えない方がよいです。
■⑦ 塩分補給でやってはいけないことは何か
一番避けたいのは、水を飲まずに塩分だけ意識することです。
もう一つは、「塩分が必要らしい」と言って、甘いスポーツドリンクをずっとだらだら飲み続けることです。避難中は食欲も落ちやすく、口当たりのよい飲み物に偏ることがありますが、それだけで整うとは限りません。
私なら、塩分補給で迷ったら「まず一口飲んでいるか」に戻ります。熱中症対策は、特別な物を足すことより、基本を切らさない方が大切です。
■⑧ 迷った時の判断基準
迷ったら、次の順番で考えてください。
「まず水分をちゃんと取れているか」
「汗をかなりかいているか」
「水だけでは消耗が強そうか」
「高齢者や持病のある人で、個別の注意が必要ではないか」
この4つが整理できれば、夏の避難中の塩分補給としてはかなり現実的です。防災では、「塩分が大事らしい」で止まるより、「今の体の状態で必要か」を見る方が安全です。
■⑨ まとめ
夏の熱中症から避難中に身を守る塩分補給で大切なのは、まず水分を切らさず、そのうえで大量の発汗がある時に塩分も足すことです。内閣府・厚生労働省の「災害時の熱中症予防」では、災害時はのどが渇いていなくてもこまめに水分・塩分をとることが示されています。環境省の熱中症環境保健マニュアルでも、大量の発汗がある場合は水だけでなく塩分濃度0.1〜0.2%程度の飲料が勧められる一方、糖分の取りすぎには注意が必要とされています。
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/pdf/nettyuu-saigaiji.pdf
https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/manual/heatillness_manual_full.pdf
私なら、夏の避難で塩分補給を考える時に一番大事なのは「塩を取ること」そのものではなく、「まず飲めているか、その上で汗に見合っているか」を見ることだと伝えます。被災地でも、基本を崩さない人の方が持ちこたえやすかったです。だからこそ、まずは水分、次に発汗、最後に塩分。この順番で整えるのがおすすめです。

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