お正月の初詣は、家族や友人と歩いて外に出る貴重な機会です。実はこの「歩く・人が集まる・道が混む」という条件は、災害時の避難行動とよく似ています。だからこそ、初詣を“ついで防災”に変えると、負担なく防災力が上がります。準備はほぼ不要。やるのは「歩きながら見るポイント」を決めるだけです。
■① 初詣が防災に向く理由は「歩く距離」と「同じ道を通る習慣」
災害時は車が使えない想定が増えます。初詣のように歩いて移動する日は、避難所までの距離感や所要時間を体で覚えるチャンスです。毎年同じ神社に行く家庭ほど、同じ道を何度も通るので、危ない場所や安全な道が“自分ごと”になりやすいのもメリットです。
■② 今日やるのは「避難所までの道を一度だけ伸ばす」
初詣の帰り道、いつもより5〜10分だけ遠回りして、避難所(または公園・学校)方面を通ってみてください。ポイントは「避難所に入る」ではなく「避難所の入口まで行く」こと。入口を見ておくだけで、いざという時の迷いが激減します。
■③ ハザードマップは“出発前に30秒”だけ見る
詳細に読み込む必要はありません。出発前に家の周辺をざっと見て、
・川が近いか
・低い土地があるか
・崖や斜面があるか
この3点だけ確認します。初詣のルートで「通る場所が危ないのか安全なのか」を意識して歩くのが目的です。
■④ 歩きながら確認するチェックポイント7つ
初詣の移動中に見る場所を固定すると、家族全員が同じ目線になります。
1)古いブロック塀(ひび割れ・傾き)
2)狭い路地(人が滞留しやすい)
3)橋・アンダーパス(増水や冠水の弱点)
4)電柱や看板(倒れ・落下のリスク)
5)用水路・水辺(子どもの転落リスク)
6)坂道・階段(転倒しやすい)
7)広い空き地(緊急退避できる場所)
「危ない所を探す」より、「使える場所を見つける」意識の方が前向きに続きます。
■⑤ 混雑時の“合流ルール”を1つだけ決める
人が多いと、家族がはぐれます。災害時も同じです。ここで決めるのは1つだけ。
・はぐれたら「鳥居の前」など目立つ場所に集合
さらに、スマホが混む・つながらない想定で、
・電話がダメならSMS
・それもダメなら災害用伝言ダイヤル
この順番だけ共有しておくと、焦りが減ります。
■⑥ 子ども・高齢者がいる家庭の“転倒と迷子”対策
正月は寒さと混雑で、転倒が起こりやすいです。
・滑りやすい靴は避ける
・段差は「一段ずつ」声かけ
・子どもは手をつなぐ位置を固定(右手・左手など)
迷子対策は、
・上着のポケットに連絡先メモ
・写真を出発前に1枚撮る(服装記録)
これだけで、万一の対応が速くなります。
■⑦ 被災地派遣・LO・現場で痛感した「近所を知ってる人が強い」
被災地派遣の現場では、同じ地区でも「近所の地形や抜け道を知っている人」が圧倒的に落ち着いて行動できていました。元消防職員としても、災害直後は情報が少なく、結局は自分の足と目で判断する場面が多いと感じます。LOとして受援側に入った際も、地域の人が避難経路や危険箇所を把握していると、誘導や支援の受け入れがスムーズになります。初詣ついでの一歩は、その“地元の強さ”を家庭で作る方法です。
■⑧ 今日できる最小行動|帰宅後に地図へ1つだけメモする
帰宅後にやるのは、たった1つ。
・危ない場所 or 逃げやすい場所を、家族の地図アプリに保存
「ここは避ける」「ここは逃げ込める」を1つ残すだけで、次回から行動が変わります。
■まとめ|初詣は“防災の現地訓練”に変えられる
初詣は、歩く・混む・同じ道を通るという点で、避難行動の練習にぴったりです。出発前にハザードマップを30秒見て、帰りに避難所方面へ少しだけ寄り道し、危ない場所と使える場所を確認する。混雑時の合流ルールを1つ決め、帰宅後に地図へメモする。これだけで、家族の判断が軽くなります。
結論:
初詣の“ついで”に避難経路を歩いて確認すれば、災害時の迷いが確実に減る。
現場経験から言えるのは、災害時に強い家庭は「道を知っている」家庭です。お正月の習慣を、そのまま備えに変えていきましょう。
出典:
参考資料:ハザードマップポータルサイト https://disaportal.gsi.go.jp/

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