災害ボランティアや支援活動のあと、
「支援した側なのに気持ちが落ちる」
「被災者でもあり支援者でもある立場だと、どこで自分を守ればいいのか分からない」
「こうした不調は、気合いではなくプログラムで防げるのか」
と感じる人は少なくありません。
結論から言えば、被災者であり支援者でもある人のうつやPTSD的反応は、放置せず、早い段階で“悪化予防プログラム”につなぐ方がかなり現実的です。
熊本地震後の看護職を対象にした研究では、被災者兼支援者に対して、うつ/PTSR悪化予防介入プログラムを実施して評価しています。
その結果、災害から1年7か月たっても、うつ・PTSD陽性率は高かった一方で、プログラム後にうつ、PTSD陽性率、震災反応に変化が見られたと報告されています。 oai_citation:1‡J-STAGE
防災士として率直に言えば、災害支援後にしんどくなる人は、弱い人ではありません。
むしろ、自分も被災しているのに、周囲を支えようとした人ほど危ないです。
元消防職員として被災地派遣やLO対応を経験すると、「自分のことは後回し」にした人ほど、あとから不眠、無気力、イライラ、集中力低下として出やすいと感じます。
だから、被災者兼支援者に必要なのは根性論ではなく、悪化を止めるための仕組みです。
■① まず前提として、“被災者兼支援者”はかなり負荷が高い立場
災害後の支援を考える時、多くの人は
「被災者」
か
「支援者」
のどちらかで考えがちです。
でも実際には、両方を同時に抱える人がいます。
たとえば、
・自分も被災している医療職
・地域に住みながら支援活動に入る人
・家族や生活基盤に不安を抱えたまま動く人
です。
熊本地震後の研究が扱ったのも、まさにこの立場でした。
つまり、被災しながら支援する人は、一般的な支援者よりさらに複雑な負荷を受けやすいということです。 oai_citation:2‡J-STAGE
防災士として言えば、この立場の人は「助ける側だから頑張らなければ」と思いやすく、自分の不調に気づくのが遅れやすいです。
ここをまず理解しておくのが大切です。
■② 実証データが示しているのは“時間がたてば自然に終わる”とは限らないこと
かなり重要なのはここです。
熊本地震後の研究では、災害から1年7か月経過しても、被災者兼支援者である看護職のうつ・PTSD陽性率は高かったと報告されています。 oai_citation:3‡J-STAGE
これはかなり重い示唆です。
つまり、
「最初の数週間を過ぎたから大丈夫」
「1か月たてば落ち着くはず」
とは言い切れないということです。
防災士として率直に言えば、支援後の不調は、
早く出る人もいれば、
少しずつ沈んでいく人もいます。
だから、時間の経過だけを回復の証拠にしない方がいいです。
■③ プログラムに意味があるのは“我慢”より“介入”の方が変化しやすいから
研究では、被災者兼支援者に対して、うつ/PTSR悪化予防介入プログラムを実施し、その前後で評価しています。
結果として、うつ、PTSD陽性率、震災反応には変化が見られたとされています。 oai_citation:4‡J-STAGE
ここで大切なのは、
「一度の介入で全部治る」
という話ではないことです。
実際、研究では、うつは一時的に改善した一方で、依然として高かったとされています。 oai_citation:5‡J-STAGE
防災士として言えば、これはかなり現実的です。
つまり、
プログラムは魔法ではないが、悪化を止めたり、戻るきっかけを作ったりする力はある
ということです。
ここを理解しておくと、過剰な期待もしすぎず、逆に軽視もしにくくなります。
■④ どんな人が“被災者兼支援者向けプログラム”を必要としやすいか
この種のプログラムが必要になりやすいのは、次のような人です。
・自分も被災しているのに周囲を支えた人
・支援の役割が終わってから一気に無気力になった人
・眠れていないのに動き続けている人
・イライラや涙もろさが増えた人
・仕事や家事では動けるが、気持ちが追いついていない人
防災士として率直に言えば、
「まだ動けるから大丈夫」
はかなり危ない判断です。
被災者兼支援者は責任感で動けてしまう分だけ、外から見るより内側が削れていることがあります。
■⑤ “予防プログラム”で本当に大切なのは、診断名より状態の把握
厚生労働省や災害メンタルヘルス関連の資料でも共通しているのは、特定の診断名だけにこだわらず、睡眠、感情、身体症状、生活機能を広く見ることの重要性です。 oai_citation:6‡厚生労働省
つまり、被災者兼支援者のうつ予防プログラムも、
「うつ病かどうか」
「PTSDかどうか」
だけを見るより、
・眠れているか
・食べられているか
・人と話せているか
・集中できるか
を見ていく方が現実的です。
防災士として言えば、支援後の不調はグラデーションで出ます。
だから予防プログラムも、病名の有無より、
悪化しているか、戻っているか
を見る方が使いやすいです。
■⑥ 実証データから見える“プログラムの中身”の考え方
研究概要だけから、細かな実施内容を断定はできません。
ただ、少なくともこの研究は、健診や継続的な健康づくり・メンタル評価と並行して介入プログラムを実施する考え方を採っています。 oai_citation:7‡厚生労働科学研究成果データベース
ここから現実的に学べるのは、
被災者兼支援者向けの予防プログラムは、
・一回きりの気合い注入
ではなく、
・状態確認
・継続的なフォロー
・必要時の介入
の組み合わせで考えた方がいい、ということです。
元消防職員として率直に言えば、現場後のケアで強いのは、
派手な特効薬より、
少しずつ状態を見て、必要な時に手を入れる仕組み
です。
研究結果も、その方向性をかなり支持していると見ていいです。
■⑦ 実証データから学ぶ“現場で使える予防プログラムの形”
ここから現場向けに落とすなら、次の形がかなり現実的です。
・支援前に、反応が出ることを説明する
・支援後1週間で、睡眠・食欲・感情・集中力を確認する
・1か月後にも再確認する
・不調が残る人を、相談や専門支援につなぐ
・支援者同士で話せる場を作る
研究者らも、こうした悪化予防介入を実施できる人材育成が必要だと結論づけています。 oai_citation:8‡J-STAGE
防災士として言えば、これはかなり本質です。
「よいプログラムがある」だけでは足りず、
それを回せる人や場が必要
だということです。
■⑧ まとめ
被災者兼支援者のうつ予防プログラムは、気休めではなく、実証データでも“悪化を止める方向の変化”が示されている現実的な対策です。
熊本地震後の看護職を対象にした研究では、災害から1年7か月後でも、被災者兼支援者のうつ・PTSD陽性率は高かった一方、うつ/PTSR悪化予防介入プログラム後には、うつ、PTSD陽性率、震災反応に変化が見られたと報告されています。研究者らは、こうしたプログラムを実施できる人材育成が必要だと結論づけています。 oai_citation:9‡J-STAGE
防災士として強く言えるのは、被災者兼支援者の不調は、
「時間がたてば自然に消える」と考えるより、
早く見つけて、悪化を止める仕組みにつなぐ
方がずっと現実的だということです。
迷ったら、まずは
・眠れているか
・食べられているか
・集中できるか
・一人で抱えていないか
を見て、必要なら早めに共有や相談へつなぐ。
それが一番使える予防プログラムの考え方です。

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