「まだ時間はある」
「そのうち備えよう」
そう思っているうちに、1年があっという間に過ぎていませんか?
これは心理学でいうジャネーの法則と深く関係しています。
年齢を重ねるほど、時間の流れを早く感じるという現象です。
しかし、防災の世界ではこの“体感時間の加速”が命取りになることがあります。
■① ジャネーの法則とは何か
ジャネーの法則とは、
「年齢が上がるほど、時間が短く感じられる」
という心理学的法則です。
50歳の1年は、10歳の1年よりも短く感じる。
なぜなら人生全体に占める割合が小さくなるからです。
つまり、
・今年もあっという間だった
・気づけば何もしていない
という感覚は自然なことなのです。
■② 防災と時間感覚のズレ
防災で最も危険なのは
「いつかやろう」
という先送り心理です。
実際の災害は、
人の都合を待ってくれません。
私が被災地派遣(熊本地震・九州北部豪雨)に入った際、
多くの方がこう言いました。
「備蓄は買おうと思っていた」
「家具固定はやろうと思っていた」
“思っていた”が、行動になっていなかった。
これは意志の弱さではありません。
時間を過小評価する心理の影響です。
■③ 人は「まだ間に合う」と思ってしまう
災害リスクは低頻度です。
だから脳はこう判断します。
「今日は起きない」
その判断が365日続くと、
1年が終わります。
そして次の年も同じ判断をします。
ジャネーの法則によって
体感時間は加速していく。
結果、
10年何もしていない
ということが起きます。
■④ 現場で見た“時間の差”
東日本大震災後、
現場で感じたことがあります。
備えていた家庭は、
判断が速い。
備えていなかった家庭は、
迷いが長い。
この「迷いの時間」が、
二次被害につながるケースもありました。
防災とは、
物を揃えること以上に
“迷いを減らすこと”
です。
■⑤ ジャネーの法則に勝つ方法
時間感覚を取り戻す方法はシンプルです。
・期限を決める
・今日1つだけ行動する
・小さく区切る
例:
今日やることは1つだけ
「水を1箱買う」
これでいいのです。
防災は完璧を目指すと続きません。
小さな積み重ねが最大の対策になります。
■まとめ
ジャネーの法則は止められません。
しかし、
行動を小さく刻むことで
時間の加速に流されない自分を作ることはできます。
災害は突然来ます。
「いつかやる」は
「やらない」と同じです。
今日、ひとつ。
それだけで未来は変わります。
■出典
ポール・ジャネ「時間知覚に関する理論」(心理学研究)

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