【防災士が解説】防災×ダンボール|避難所を変えた“紙のインフラ”、その力と限界

災害時の避難所と聞いて、かつては「床に雑魚寝」が当たり前でした。
しかし近年、その常識を大きく変えた存在があります。
それがダンボールです。

一見すると弱く、簡易的に見えるダンボールですが、実は防災現場では
命と尊厳を守る“インフラ”として重要な役割を担っています。


■① なぜダンボールが防災で使われるのか

ダンボールが災害時に重宝される理由は明確です。

・軽くて誰でも扱える
・加工が簡単
・断熱性がある
・全国どこでも調達可能
・大量生産・大量輸送が可能

災害時は「完璧な物」よりも、
すぐ使えて、すぐ配れる物が命を救います。

ダンボールは、その条件をほぼ満たしています。


■② ダンボールベッドが救う“命”

床に直接寝る避難生活は、
・低体温
・エコノミークラス症候群
・腰痛・関節痛
・睡眠不足

を引き起こし、災害関連死の大きな要因になります。

ダンボールベッドは、
・床からの冷えを遮断
・立ち上がりを容易にする
・通気性を確保

といった効果があり、熊本地震、能登半島地震などでも
その有効性が実証されました。

「たかが紙」ではなく、
命を支える構造物なのです。


■③ 間仕切りとしてのダンボール

避難所で深刻なのが「プライバシーの欠如」です。

・着替えができない
・授乳ができない
・人の視線で眠れない

こうしたストレスは、
心身の不調やトラブルにつながります。

ダンボールの間仕切りは、
完全な個室ではなくとも、
心理的な安心感を生み出します。

防災では、
「安全」だけでなく「尊厳」を守る視点が不可欠です。


■④ 感染症対策としての役割

避難所は人が密集するため、
感染症が広がりやすい環境です。

ダンボールは、
・人と人の距離を確保
・飛沫の拡散を抑制
・生活動線を整理

する役割を果たします。

新型コロナウイルス流行以降、
ダンボール間仕切りの重要性は
防災計画の中でも正式に位置づけられるようになりました。


■⑤ ダンボールの“限界”も知る

一方で、ダンボールは万能ではありません。

・水に弱い
・長期使用には向かない
・耐久性に限界がある
・火気に注意が必要

特に、
濡れたダンボールは一気に強度を失う
という点は重要です。

防災では、
「何ができるか」だけでなく
「何ができないか」を知ることも命を守ります。


■⑥ 再利用・衛生面の注意点

ダンボールは再利用しやすい反面、
・汚染
・害虫
・カビ

といったリスクもあります。

出所が不明なもの、
濡れたもの、
異臭があるものは、
使わない判断も必要です。

防災においては、
善意よりも安全が優先されます。


■⑦ ダンボールは“準備”で差が出る

災害が起きてから集めるのでは遅い。
これが現場の実感です。

・自治体の備蓄
・企業との協定
・地域倉庫での保管

こうした事前準備の差が、
避難所の質を大きく左右します。


■まとめ|ダンボールは防災の象徴

ダンボールは、
高価でも、最先端でもありません。

しかし、
・すぐ使える
・誰でも使える
・人を守れる

という点で、防災の本質を体現しています。

防災とは、
特別な装備ではなく、
身近な物を、正しく使う知恵

ダンボールはその象徴であり、
防災力の“見える指標”なのです。

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