【防災士が解説】防災×新たな気象情報|インバウンド急増時代の見落とされた課題

新たな防災気象情報は、
警戒レベルと行動を結びつけ、分かりやすさを重視した仕組みへと進化します。
しかし、防災士として強く懸念しているのが、
インバウンド(訪日外国人)への伝達問題です。

観光立国を掲げる日本において、
この課題は避けて通れません。


■① インバウンドは「防災前提」で行動していない

多くの訪日外国人は、
日本を「安全な国」と認識しています。

・災害が多いという実感がない
・警報文化に慣れていない
・避難行動の経験がない

そのため、
警戒レベルや危険警報が出ても、
それが“命に関わる情報”だと気づけません。


■② 新たな気象情報は「居住者向け」設計

警戒レベルや防災気象情報は、
日本で暮らす人を前提に作られています。

・地域名が前提
・避難所の存在を知っている前提
・自治体区分が分かる前提

観光客にとっては、
どこが危険で、どこに行けばいいのか分からないのが現実です。


■③ 観光地ほど「情報の空白」が生まれる

インバウンドが多いのは、
・観光地
・繁華街
・温泉地
・山間部・沿岸部

これらは災害リスクが高い場所でもあります。
しかし、

・ホテル任せ
・事業者任せ
・多言語表示が最低限

情報が分散し、
誰も「避難の主語」になっていません。


■④ 観光客はテレビも防災アプリも見ない

インバウンドの主な情報源は、
・SNS
・検索エンジン
・宿泊施設スタッフ

テレビ速報や日本語アプリは、
そもそも視界に入っていません。

つまり、
公式情報が出ていても、存在しないのと同じ状態です。


■⑤ 現場で起きる「判断停止」

災害時、観光客はこう考えます。

・外に出ていいのか分からない
・部屋にいていいのか分からない
・勝手に避難していいのか分からない

この迷いが、
避難の遅れや孤立につながります。


■⑥ 本当に必要なのは「即断できる行動情報」

インバウンドに必要なのは、
詳細な解説ではありません。

・Stay here
・Go up
・Go outside now
・Follow staff

短く、強く、行動に直結する言葉です。


■⑦ 事業者が“つなぐ人”になる必要性

インバウンド防災では、
・ホテル
・旅館
・飲食店
・交通機関

これらの事業者が、
実質的な防災の最前線になります。

防災気象情報を、
観光客の行動に変換できる人材育成が不可欠です。


■⑧ 自律型避難は観光客にも必要

自律型避難は、
住民だけの概念ではありません。

・迷ったら安全側に動く
・周囲の状況を観察する
・指示がなくても行動する

この考え方を、
観光の場面でも自然に伝える工夫が求められます。


■まとめ|インバウンド防災は国の信頼に直結する

新たな防災気象情報は進化しています。
しかし結論として重要なのは、

インバウンドが「理解できたか」ではなく「動けたか」。

防災士として強く感じます。
観光立国を続けるなら、
防災情報も「観光目線」で再設計しなければなりません。
それは安全対策であると同時に、
日本への信頼そのものを守る防災です。

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