災害時に最も被害を受けやすいのは、住まいが不安定な人々です。
世界では「ホームレス支援 × 防災」を強化する国が増えており、日本が学べる点は非常に多くあります。
■ 1. カナダ:避難所と福祉が“一体化”している
特徴
- 通常の生活支援施設が、災害時はそのまま避難所へ転用
- 生活保護担当スタッフが避難所に常駐
- ホームレスの人でも“身分証不要”で避難受入れ
日本に足りない点
- 福祉部局との連携が弱い
- 避難所利用に“申請”が必要な場合がある
- 生活困窮者の情報共有が不十分
日本が学ぶべきこと
- 「福祉避難所」を平時から街中に増やす
- 身分証明書がなくても入れる避難所の整備
- 福祉職員の避難所常駐モデル化
■ 2. オーストラリア:屋外避難の“テント支援”が非常に進んでいる
山火事が多い国ならではの仕組み。
特徴
- 災害時、行政が“個別テント”を即時配布
- ペット同伴エリアを必ず設ける
- 夜間照明や仮設トイレの整備が早い
日本に足りない点
- 屋外避難前提の体制がない
- テント配布の仕組みが弱い
- ペットスペースがほとんど無い
日本へのヒント
- 公園・広場での屋外避難の設計
- テントや簡易シェルターの全国備蓄
- ペット同伴エリアの標準化
■ 3. ドイツ:災害弱者リストの“精度”が圧倒的
特徴
- 高齢者・障害者・生活困窮者のデータベースを自治体が管理
- 各家庭を“個別訪問”して状況を把握
- 発災時は即座にリストを元に救助隊が動く
日本が改善できる点
- 名簿はあるが更新が追いつかない
- 自治会の担い手が不足
- 住所情報が実態と合わないケースが多い
日本への示唆
- 高齢者・障害者のデータ更新を“年1回必須”に
- 福祉職員との共同訪問の強化
- 災害要支援者プランの個別作成
■ 4. フィリピン:地域コミュニティの“助け合い”が災害対応の軸
台風が多いため、家族・親族・地域の支援網が強力。
特徴
- 隣人同士での情報共有が速い
- 家族単位での避難判断が早い
- コミュニティセンターが生活支援の拠点に
日本への学び
- 普段からの顔の見える関係づくり
- 隣近所の災害時サポート体制
- 地域内の“情報共有ネットワーク”の構築
■ 5. スイス:事前の“備蓄義務化”が最強
特徴
- 国家レベルで「家庭備蓄は義務」
- 水・食料を7日〜14日分準備するのが法律上の基本
- 国が標準備蓄リストを公表している
日本が学ぶべき点
- 備蓄の“義務化”は難しいが、自治体単位で推進可能
- 1週間分備蓄の普及
- リストを全国統一することで理解しやすくする
■ まとめ
世界の“災害弱者支援 × 防災”は、
- 福祉部門と一体化
- データ活用
- テント・屋外避難整備
- 地域コミュニティの強さ
- 家庭備蓄の義務化
など、日本が強化すべきヒントにあふれています。
“すべての人が助かる仕組み”を作るために、海外の成功事例から学ぶ価値はとても大きいです。

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