【防災士が解説】防災×事前防災|能登の復興が問いかける「備える力」を社会で共有できているか

能登半島地震から2年が経とうとしています。豪雨災害も重なり、被災地の復興は今なお険しい道のりを歩んでいます。復興の現実を前に、改めて社会全体で共有すべきテーマが「事前防災」です。


■① 復興の遅れが示す「備えの差」

能登では、地震に加えて豪雨という複合災害が地域を襲いました。
復旧・復興が長期化する背景には、地理的条件や人口構成だけでなく、平時の備えの難しさもあります。

災害は「起きてから対応するもの」ではなく、起きる前に被害を減らすもの
この視点が社会全体で十分に共有されていたかが、今まさに問われています。


■② 南海トラフは「想定」ではなく「前提」

南海トラフ巨大地震については、繰り返し被害想定が示されています。
しかし、その情報を「自分ごと」として捉えられているでしょうか。

実際に2024年には、巨大地震注意の臨時情報が初めて発表され、交通網が大きく乱れました。
これは警戒段階ではなく「注意」でしたが、それでも社会は混乱しました。

もし今後「警戒」が出た場合、
・企業はどう動くのか
・学校はどう判断するのか
・医療機関はどう対応するのか

具体的な想定がなければ、社会機能は簡単にまひします。


■③ 事前防災は「行動を決めておくこと」

事前防災とは、物を備えることだけではありません。

・いつ避難するのか
・誰が誰を支援するのか
・仕事や学校はどう判断するのか

こうした「判断」を平時に決めておくことが、事前防災の本質です。
災害時に即断できる人は、事前に考えていた人だけです。


■④ 防災情報は「分かりやすさ」が命を救う

災害時に取るべき行動が直感的に分かる、新しい防災気象情報の運用が始まります。
これは、これまでの「専門用語が多く分かりにくい防災情報」からの大きな転換です。

しかし、情報が整っても、
・見ていない
・意味が分からない
・行動につながらない

では意味がありません。
情報を「行動」に変える準備も、事前防災の一部です。


■⑤ 防災意識は「時間とともに薄れる」

災害直後は、多くの人が防災を意識します。
しかし、時間が経つと危機感は必ず薄れます。

これは個人の問題ではなく、人間の自然な心理です。
だからこそ、防災は「一時的な意識」ではなく、仕組みとして続ける必要があります。


■⑥ 情報弱者を取り残さない事前防災

外国人、高齢者、障害のある人など、災害時に情報を得にくい人は確実に存在します。

・どこに避難すればいいのか
・何を持って行けばいいのか
・誰に頼ればいいのか

これを災害発生後に考えるのでは遅すぎます。
平時から共有することが、事前防災です。


■⑦ 家庭と組織で「話す」ことから始める

事前防災は、大きなことから始める必要はありません。

・家庭で一度話し合う
・職場で想定を共有する
・地域で確認する

この小さな一歩が、命を守る力になります。


■⑧ 事前防災に近道はない

能登の復興は、私たちに重い問いを投げかけています。

「備えは足りていたのか」
「自分ごととして考えていたか」

事前防災は地味で、成果が見えにくく、即効性もありません。
それでも、一つ一つ積み重ねる以外に、多くの命を救う道はありません。

今この瞬間から、できることを始める。
それが、次の災害で後悔しないための、最も確実な防災です。

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