「公務員は副業禁止」──この常識が、いま大きく変わろうとしています。
2025年から2026年にかけて、総務省・人事院の通知により、公務員の副業・複業は原則禁止から「戦略的活用」へと舵を切りました。
この動きは、単なる働き方改革ではありません。
実は、防災・危機管理の分野においても、極めて重要な意味を持っています。
■① 公務員複業解禁は「制度革命」
2025年6月の総務省通知により、地方公務員は一定条件のもとで民間企業の従業員として働くことが可能になりました。
これは、これまで非営利・公益活動に限定されていた兼業の枠を大きく広げるものです。
任命権者の許可を前提に、
・職務に支障がない
・利害関係が生じない
・公務員の品位を損なわない
という3原則を守れば、複業は認められる方向に進んでいます。
■② 国と地方で異なるルールの背景
地方公務員法は、もともと国家公務員法より柔軟な設計でした。
しかし実際の運用は「前例がないから不可」という空気が支配的でした。
今回の通知は、「地域の実情に応じて、自治体が主体的に判断せよ」という強いメッセージです。
これは、行政文化そのものの転換点でもあります。
■③ なぜ今、複業が必要なのか
背景にあるのは、自治体の深刻な人材課題です。
・DXや防災、法務など専門人材の不足
・業務の高度化・複雑化
・若手・中堅職員の離職
「外で学びたい職員を辞めさせない」ための選択肢として、複業が位置づけられています。
■④ 防災分野と複業の相性
防災は、行政だけで完結できる分野ではありません。
民間、NPO、地域団体、企業との連携が不可欠です。
複業によって職員が外の現場を知ることで、
・現実的な支援スキーム
・民間目線のスピード感
・現場で本当に使える防災施策
を行政に還元できる可能性が高まります。
■⑤ 国家公務員も変わる(2026年4月〜)
国家公務員についても、2026年4月から自営兼業制度が見直されます。
企業に雇われる形ではなく、個人事業主としての活動が中心ですが、
・防災講師
・地域イベント運営
・専門知識を活かした発信
などは、防災分野とも強く結びつきます。
条件を超える場合は人事院承認が必要ですが、「全面禁止」ではなくなります。
■⑥ 複業は「稼ぐため」ではない
この制度改革は、「お小遣い稼ぎ」のためではありません。
自治体側の本音は、
外で鍛え、戻ってきてほしい
という一点にあります。
防災も同様で、机上の計画だけでなく、外の現場感覚が不可欠です。
■⑦ 制度を壊すのも活かすのも現場次第
制度は道具です。
使い方を誤れば、信用失墜や不祥事につながります。
実際に、立場を悪用した情報漏洩事件が起きれば、規制は一気に厳しくなります。
一方で、本業に支障なく、地域や社会に貢献する複業は、評価される時代に入りつつあります。
■⑧ 防災士として見た「越境」の価値
防災の現場では、行政視点だけでは解決できない課題が山ほどあります。
民間・地域・専門家との橋渡しができる人材は、災害時に極めて貴重です。
複業は、その「越境力」を育てる手段でもあります。
■まとめ|防災×働き方の新しい形
結論:
公務員の複業解禁は、地域防災力を底上げする可能性を持つ制度です。
防災士として現場を見てきた立場から言えば、
災害対応に強い人材とは、「制度を知り、現場を知り、人をつなげる人」です。
複業は目的ではなく手段。
本業を軸に、外で得た経験を地域に還元できるかどうか。
そこに、これからの公務員像と防災の未来がかかっています。

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