【防災士が解説】防災×避難訓練|東日本大震災から15年、いま本当に問うべき「避難の質」

防災

東日本大震災から、まもなく15年を迎えます。
この節目に、私たちは改めて「避難訓練は命を守る内容になっているのか」を問い直す必要があります。


■① 大川小学校の悲劇が突きつけた問い

2011年3月11日、東日本大震災。
石巻市立大川小学校では、地震発生から約51分後に津波が到達し、児童74名、教職員10名が犠牲となりました。

この悲劇の最大の教訓は、
「避難の遅れ」そのものではなく、避難の“質”が問われなかったことにあります。


■② なぜ避難が間に合わなかったのか

多くの避難訓練は、

  • 回数をこなすこと
  • 速く動くこと
  • 指示に従うこと

に重点が置かれてきました。

しかし、
どんな被害が起こり得るのか
どこが本当に危険なのか
を前提にした訓練は、十分に行われていなかったのが実情です。


■③ 日本の避難訓練が抱える構造的問題

NPO法人減災教育普及協会の調査では、
全国の避難訓練の約80%が、具体的な被害想定を伴わずに実施されています。

この状態では、

  • 実災害で誤った判断をする
  • 結果として人災を生む

というリスクが残ります。


■④ 避難の「量」から「質」へ|EQCという考え方

そこで提唱されているのが、
EQC(Evacuation Quality Concept)です。

避難訓練を「回数」や「形式」で評価するのではなく、
実際に命を守れる内容かどうかで評価する視点です。


■⑤ EQCを構成する2つの軸

QoE(Quality of Evacuation:避難の質)

  • 指示を待つ訓練から
  • 状況を見て判断する「思考型訓練」へ

QoP(Quality of Preparedness:備えの質)

  • 事前に災害リスクを正しく評価
  • 被害を最小限に抑える備えを行う

この両輪がそろって、初めて実効性のある避難が成立します。


■⑥ 「間違った避難訓練」を見直す

近年、多くの訓練で推奨されている
「ダンゴムシのポーズ」

しかし実災害では、

  • 天井の落下
  • 窓ガラスの飛散

といった被害が多発しています。
姿勢だけを守っても、危険から逃げなければ命は守れません。

重要なのは、
危険を見て、回避する判断力です。


■⑦ 「速さ」より「判断力」を育てる

抜き打ちで実施された地震避難訓練では、
校庭にいた多くの児童が、
緊急地震速報の音を聞いて無意識に校舎へ戻る行動を取りました。

これは、
「考える訓練」が不足していることを示しています。


■⑧ これからの避難訓練に必要なこと

東日本大震災の教訓は明確です。

  • 避難は速ければ良いわけではない
  • 正しい判断ができなければ、命は守れない

だからこそ、
避難の「質」を高める訓練が必要です。


■⑨ NPO法人の取り組み

  • 被害を起点にした避難訓練の導入
  • 「思考型の避難訓練」への転換
  • 教育現場・地域防災のアップデート

避難訓練を「形だけ」で終わらせない。
それが、この取り組みの根幹です。


■⑩ いま、私たちにできること

防災の目的は、
「訓練をやったこと」ではなく「命を守れること」です。

東日本大震災から15年。
大川小学校の悲劇を繰り返さないために、
いまこそ、避難訓練の「質」を問い直す時です。

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