森林火災対策は、世界的に「消す防災」から「起こさせない防災」へと大きく舵を切っています。
海外の先進国では、AI・ドローン・予防焼却を統合した事前介入型システムが主流になりつつあります。
被災地派遣や林野火災現場に関わってきた立場から見ても、
この流れは日本の今後の防災にとって無視できない変化です。
■① 海外林野火災対策のキーワードは「事前介入」
海外の共通点は明確です。
・火災を待たない
・人手に頼りすぎない
・データで判断する
日本では、煙を見てから出動するケースが多い一方、
海外では燃える前に介入する仕組みが整えられています。
■② AI駆動型検知システム(カナダ)
カナダでは、AIを活用した森林監視が進んでいます。
・カメラ
・空気センサー
・VOC(揮発性有機化合物)検知
これらを組み合わせ、
熱・煙・においの変化をリアルタイム解析。
数分以内に火災兆候を検知し、
誤警報をほぼ排除するレベルに到達しています。
現場経験上、
「初動5分の差」が被害を大きく左右することは明らかです。
■③ 大型ドローンによる植生管理と再生(アメリカ)
アメリカでは、火災後の対応も予防の一部です。
・大型ドローンで焼失地に一斉植林
・1日で数万本規模
・GPSで精密散布
これにより、
・裸地化を防止
・侵食・土砂災害を抑制
・次の火災リスクを低減
被災地派遣の際、
焼け跡が放置され二次災害につながる現場を何度も見てきました。
この技術は、日本でも非常に相性が良いと感じます。
■④ スマート林業機械による燃料除去(ヨーロッパ)
ヨーロッパでは、林業そのものが防災と直結しています。
・IoTハーベスタ
・枯れ木・倒木を自動検知
・燃料となる植生を計画的に除去
伐採情報はクラウドで共有され、
防火帯の配置や幅をデータで最適化。
消防の立場から見ると、
「燃える物がない場所」は最強の防火ラインです。
■⑤ 伝統×テクノロジーの融合(オーストラリア)
オーストラリアでは、
アボリジニの伝統的な「文化的火入れ」を現代化。
・低強度の火を定期的に入れる
・燃料だけを減らす
・生態系を壊さない
これを、
・ドローン監視
・気象データ
・AI解析
と組み合わせ、
人と自然が共存する防災を実現しています。
■⑥ 日本の林野火災と照らして見える課題
日本は、
・森林密度が高い
・集落が山に近い
・即応力は高い
一方で、
・燃料管理は後回し
・人手不足
・属人的判断が多い
被災地派遣の現場では、
「ここは燃える前提でしか止められない」と感じた場所も少なくありません。
■⑦ 日本で活かせるポイント
海外技術をそのまま導入する必要はありませんが、
・AIによる早期検知
・ドローン監視
・計画的燃料削減
この3点は、日本の高密度森林とも相性が良い分野です。
「消す消防」だけでなく、
「燃やさない防災」への転換が求められています。
■まとめ
海外の森林火災対策は、
・事前に手を打つ
・技術で人を補う
・自然を敵にしない
という思想で進化しています。
林野火災は、
現場対応だけでは限界があります。
これからの防災は、
火が出る前から始まっている。
その視点を、日本でも持つ時期に来ています。

コメント