【元消防職員・防災士が解説】防災×ISUT|“情報を整える力”が命を左右する

災害時、
最前線で本当に不足するもの。

それは物資でも人手でもなく、
「整理された情報」です。

救助要請が重なる。
同じ被害情報が複数経路から入る。
SNSでは真偽不明の投稿が拡散する。

混乱の中で、
誰がどこを優先するのか。

この判断を支えるのが
ISUT(災害時情報集約支援チーム)です。


■① ISUTとは何か

ISUTの正式名称は
「災害時情報集約支援チーム」。

内閣府と防災科学技術研究所が主導し、
大規模災害時に現地へ派遣されます。

役割は明確です。

・被害情報
・道路寸断状況
・ライフライン被害
・避難所情報
・物資状況

これらをGIS(地理情報システム)で
集約・地図化・可視化。

そして、
意思決定を支援します。

SIP4Dを通じて
SOBO-WEBとも連携し、
約1,900機関が共有できる体制で運用されています。

平成30年に試行開始、
令和元年から本格運用。

いまや国家防災DXの中核です。


■② なぜ“情報整理”が命を守るのか

令和6年能登半島地震。

山間部の孤立、
道路寸断、
通信障害。

私はLOとして現地に入りましたが、
初動は必ず情報が錯綜します。

・重複する救助要請
・対応済み情報の再拡散
・SNS由来の誤情報

電話は不通、
無線は混線。

現場は常に判断を迫られます。

「どこを先に救うか」
「どこに物資を回すか」

この優先順位を決めるために、
整理された地図情報が必要です。

ISUTは、
孤立集落・浸水範囲・道路状況を
一枚の地図上に重ねます。

見える化は、
命のスピードを上げます。


■③ 情報の壁を壊すGISの力

災害時の課題は、
情報が“散らばる”こと。

ISUTは、
SIP4Dを通じて
自治体・国・関係機関の情報を統合。

地図上で
・孤立地域
・通行可能道路
・インフラ被害
を可視化します。

これにより、

・無駄な重複対応を防ぐ
・救助の空白地帯をなくす
・物資の優先順位を即決

が可能になります。

システムは万能ではありません。

しかし、
整理された情報は判断を加速させます。


■④ 情報は武器であり責任でもある

災害時、
情報は“武器”になります。

しかし、
誤情報は“凶器”にもなります。

ISUTの存在意義は、
正確な情報を整え、
混乱を減らすこと。

現場では、
一つの誤判断が
数十人の命に影響します。

だからこそ、
情報の質が重要です。


■⑤ 住民が担う“情報の責任”

ISUTは行政の仕組みですが、
住民の行動も重要です。

・正確な位置情報を添えて通報
・SNSで未確認情報を拡散しない
・家族の連絡手段を平時から共有
・地域の危険箇所を把握

防災は情報戦です。

落ち着いている人が、
周囲を守ります。


■⑥ システムよりも“運用力”

強調したいのは、
システムそのものではありません。

鍵は「運用力」です。

・誰が入力するか
・誰が更新を管理するか
・平時にどれだけ訓練しているか

私は現場で、
訓練している自治体ほど
情報の立ち上がりが早いと感じました。

機械ではなく、
人が命を守ります。

ISUTはその人を支える仕組みです。


■まとめ

・ISUTは正式名称「災害時情報集約支援チーム」
・内閣府と防災科研が主導
・GISで被害情報を集約・可視化
・SIP4D経由でSOBO-WEBと連携
・平成30年試行、令和元年本格運用
・情報整理が意思決定を加速
・住民の正確な情報発信も重要

災害時、
強いのは力のある人ではありません。

「早く正確に判断できる人」です。

その土台をつくるのが、
情報整理。

ISUTは、
見えない場所で
命を支える存在です。


【出典】
内閣府 防災情報ポータル(ISUT関連資料)
https://www.bousai.go.jp/

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