【元消防職員・防災士が解説】防災×緊急防災・減災事業債|“今やるかどうか”が命を分ける

防災対策は必要だと分かっている。

しかし、最後に壁になるのは「財源」です。

・避難所の空調整備
・トイレの洋式化・多機能化
・非常用発電機
・防災倉庫
・トイレカー
・防災DX整備

やるべきことは明確でも、予算が足りない。

そこで重要になるのが
緊急防災・減災事業債です。


■① 緊急防災・減災事業債とは何か

これは自治体が防災・減災事業を実施する際に活用できる地方債制度です。

特徴は明確です。

・充当率100%
・元利償還金の70%が地方交付税措置
・実質自治体負担は約30%

つまり、

「必要な防災投資を、実質負担を抑えて実行できる制度」

令和7年度までの時限措置ですが、着手事業は継続適用されます。

目的は一つ。

迅速な防災投資を可能にすること。


■② なぜ今、この制度が重要なのか

令和6年能登半島地震。

現場で明確になったのは
“整備していた自治体”と“していなかった自治体”の差です。

・空調のある避難所
・発電機がある施設
・トイレが十分に確保されている環境

ここでは高齢者の体調悪化が抑えられました。

一方で未整備地域では、

・寒さ
・断水
・トイレ不足
・感染拡大

が重なり、災害関連死リスクが高まりました。

私は被災地にLO(地方自治体要員)として派遣されました。

調整の現場で痛感したのは、

「事前にやっていたかどうか」しか差は生まれない

という現実です。

防災は発災後に整備できません。


■③ 対象となる主な事業

緊急防災・減災事業債の対象は広範囲です。

・避難所空調・トイレ整備
・非常用発電機
・防災倉庫整備
・防災行政無線更新
・老朽インフラ補強
・トイレカー導入
・防災デジタルシステム整備

単なる設備投資ではありません。

「命をつなぐ基盤整備」です。


■④ 投資の差は、健康の差になる

能登では、整備済み避難所と未整備避難所で明確な差がありました。

整備済み:
・高齢者の健康維持
・感染症抑制
・生活リズム維持

未整備:
・床生活の長期化
・トイレ環境悪化
・関連死リスク増大

復旧後のコストを考えれば、

事前投資の方が経済的にも合理的です。


■⑤ 「借金=悪」は本当か?

「地方債=借金=悪」

この考えは理解できます。

しかし、防災は保険です。

やらなかった場合の損失は、

・命
・健康
・地域経済
・復旧費用

その全てに跳ね返ります。

災害リスク低減の観点では、
戦略的な財政活用は合理的判断です。


■⑥ 課題と現実

制度があっても、

・計画策定能力不足
・期限制約
・活用判断の遅れ

があれば意味がありません。

防災は制度ではなく“運用”です。

自治体の覚悟と準備力が問われます。


■⑦ 結論

・充当率100%
・70%交付税措置
・実質負担約30%
・迅速な防災投資を可能にする制度

そして何より、

事前投資の差が被害の差になる。

私は元消防職員として断言します。

防災はコストではない。

未来の命への投資です。

「仕方がない」を
「何とかなる」に変えるのは、

制度ではなく、決断です。


【出典】
総務省 地方財政措置資料
https://www.soumu.go.jp/

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