【防災士が解説】防災×罹災証明|発行迅速化が復興スピードを左右する理由

大規模災害が発生した直後、被災者が最初に直面する現実の一つが「罹災証明書」です。

住家の被害程度を証明するこの書類は、
・被災者生活再建支援金
・災害見舞金
・税の減免
・保険請求
など、公的・民間支援の入口になります。

つまり、罹災証明書が遅れる=生活再建が遅れる、ということです。

■罹災証明書とは何か

罹災証明書は、市町村が発行する「住家の被害認定結果」を証明する書類です。

全壊・大規模半壊・半壊・一部損壊などの判定は、
国が定めた被害認定基準に基づいて行われます。

しかし実際には、
・職員が不足する
・調査経験がない
・申請が殺到する
という課題が重なり、発行が大幅に遅れるケースが少なくありません。

■迅速化へ向けた新たな取り組み

内閣府は、罹災証明書の発行事務に精通した自治体職員を事前に登録し、災害時に派遣する仕組みを開始しました。

登録された職員は「罹災証明コーディネーター」として、
・住宅被害認定調査の支援
・事務手続きの整理
・調査体制の構築支援
などを担います。

今年1月末時点で、38人が登録されています。

過去に大規模災害が少なかった自治体では、実務経験が不足していることもあります。
そのギャップを埋める制度です。

■現場で見た“証明書待ち”の現実

私は元消防職員として、被災地にLO(連絡調整員)として派遣された経験があります。

災害発生直後、住民から最も多く聞かれるのは、

「いつ証明書が出ますか?」
「支援金はいつ申請できますか?」

という切実な声でした。

家は壊れている。
仕事にも行けない。
仮設住宅の話も進まない。

しかし証明書がなければ、何も始まりません。

現場で痛感したのは、
救助が終わった後も「行政対応」は続くという事実です。

復興は、書類から始まります。

■なぜ経験者派遣が重要なのか

罹災証明発行業務は、
・被害認定基準の理解
・調査手順の標準化
・住民対応スキル
が求められます。

慣れていない自治体では、
・判定基準のばらつき
・調査遅延
・住民とのトラブル
が発生しやすいのも事実です。

経験者が初動から関わることで、
調査の統一性とスピードが確保されます。

これは単なる事務支援ではなく、「復興速度を上げる支援」です。

■防災は“事後対応力”も含まれる

防災というと、
・備蓄
・避難訓練
・ハザードマップ
に目が向きがちです。

しかし本当の防災力とは、

発災後にどれだけ早く生活再建へ移行できるか

も含まれます。

罹災証明の迅速化は、
「心の不安」を減らす対策でもあります。

見通しが立つだけで、人は前に進めます。

■今日できること

・自分の自治体の罹災証明手続き方法を確認する
・被害認定基準の概要を知っておく
・写真撮影の重要性を理解しておく(発災直後の記録)

準備は、特別なことではありません。

情報を知ることも防災です。

■まとめ

防災×罹災証明とは、

「命を守る初動」から
「生活を立て直す制度」までを含めた総合力です。

迅速な発行体制は、被災者の再出発を早めます。

被災地で私が見たのは、

“書類一枚が、未来を動かす”

という現実でした。

防災とは、命だけでなく、その後の人生を守ることでもあります。

出典:内閣府(罹災証明制度関連発表)

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