【防災士が解説】家族の安否確認は「連絡する」より“合流ルール”が9割|災害時にバラバラを防ぐ決め方

はじめに

災害が起きた瞬間、家族の不安は一気に跳ね上がります。
その不安がピークになるのは、だいたいこの場面です。

  • 電話がつながらない
  • LINEが既読にならない
  • 子どもが学校にいる
  • 家族の居場所が分からない

元消防職員として現場に立ち、被災地派遣(LO)でも「家族と連絡が取れない不安」で判断が止まる人を何度も見てきました。
備蓄があっても、家族の合流ルールがないだけで、動けなくなります。

この記事では、家族の安否確認を“運用できる形”に落とし込みます。


■① 結論|安否確認は「連絡手段」より“会うルール”で決まる

結論はこれです。

  • 連絡は途切れる前提で考える
  • 「どこで合流するか」を先に決める
  • 誰が誰を迎えに行くかを固定する
  • 迷ったら動ける人が動く

家族防災で一番強いのは、道具ではなくルールです。


■② よくある失敗|「迎えに行く」が家族を危険にすることがある

災害時に起きがちな失敗がこれです。

  • 子どもが心配で学校へ迎えに行く
  • 家族を探して移動し続ける
  • 結果として渋滞・冠水・落下物で身動きが取れない

実際の現場では「迎えに行って戻れない」「途中で立ち往生」が起きます。
家族を守るつもりの行動が、家族全体の安全を下げることがあります。

だから“迎えに行く/行かない”も、事前にルール化が必要です。


■③ 安否確認の基本設計|家族の動きは3パターンで固定する

家族の安否確認は、次の3パターンだけ作れば十分です。

パターンA:家にいる(在宅)

  • まず安全確保(落下物・火気・ガス)
  • 次に家族へ短文連絡(テンプレ送信)
  • 連絡が取れなくても「合流ルール」で動く

パターンB:外出中(仕事・通勤)

  • まず自分の安全確保
  • 次に“帰宅する/しない”の判断
  • 帰宅困難なら「待機場所」を固定して共有

パターンC:学校・保育園にいる(子ども)

  • 学校の引き渡しルールに従う
  • 迎えに行く条件を事前に決める
  • 迎えに行けない時の合流先を決める

これで、災害当日の迷いが減ります。


■④ 家族の合流ルール|「第一集合」と「第二集合」の2段階が強い

合流先は1つだけだと詰みます。
現実的には2段階にします。

第一集合(近く・徒歩圏)

  • 自宅周辺の安全な場所(公園、広場、学校の外周など)
  • 家が危ない時でも集まりやすい

第二集合(広域・親族宅など)

  • 親族宅、知人宅、避難所など
  • 自宅が使えない場合の“生活拠点”

ルールはシンプルでいいです。

  • 連絡できない=第一集合へ
  • 第一集合に集まれない=第二集合へ

合流ルールがあると、通信が途切れても不安が暴走しません。


■⑤ 連絡テンプレ|短文でOK。情報は「今どこ/次どうする」だけ

安否確認の連絡は長文ほど失敗します。
短文テンプレにしておくと強いです。

例(LINEやSMS用)

  • 「無事。今〇〇(場所)。次は第一集合へ向かう」
  • 「無事。帰宅困難。〇〇(待機場所)で待つ」
  • 「無事。子どもは学校。引き渡しルール待ち」

ポイントはこれだけです。

  • 今どこ
  • 次どうする
  • どこで合流する

感情はあとでいい。まずは行動の共有です。


■⑥ 子どもがいる家庭|「迎えに行く条件」を先に決める

子どもがいる家庭で一番揉めるのは、迎えに行くかどうかです。
ここは“条件で決める”が正解です。

迎えに行く条件の例

  • 学校から「引き渡し要請」が出た
  • 徒歩で安全に行ける(危険が少ない)
  • 夜になる前に往復できる

迎えに行かない条件の例

  • 冠水・強風・落下物で危険
  • 渋滞が確実で、途中で詰む
  • 自分や家族が要配慮者で移動が危険

そして最重要なのは、

  • 学校のルールを最優先にする
  • 家庭の“例外条件”だけ決める

です。


■⑦ 現場で多かった“止まる不安”|連絡不能は「異常」ではなく「通常」

被災地派遣(LO)で特に多かったのは、連絡不能そのものが原因で判断が止まるケースです。

  • 連絡が取れないから、動けない
  • 連絡が取れるまで、様子を見る
  • 探しに行って、危険に近づく

でも災害時は、連絡が取れないのが普通です。
だから安否確認は「連絡を取る作戦」ではなく、「連絡できなくても合流できる作戦」にしておく必要があります。


■⑧ やらなくていい防災|家族を守るつもりで危険になる行動

次の行動は、家族を守るつもりで逆効果になりやすいです。

  • 連絡が取れないから探し回る
  • 迎えに行くことを優先して無理に移動する
  • 家族が揃うまで避難を遅らせる
  • 情報を追い続けて行動が遅れる

家族防災の基本はこうです。

  • まず自分が安全になる
  • 次にルール通りに動く
  • 合流は“あとから成立させる”

焦りでルールを崩すと、全員が危険になります。


■⑨ 今日の最小行動|「標準セット」から“自分セット”に仕上げる

今日やることは3つだけでOKです。

1) 第一集合(徒歩圏)を1つ決める
2) 第二集合(親族宅/避難所など)を1つ決める
3) 迎えに行く条件を1行で決める

これだけで、連絡不能になっても動ける家族になります。


まとめ

家族の安否確認は、連絡手段の勝負ではありません。
「合流ルール」を先に作った家庭が、最後に落ち着きます。

  • 連絡は途切れる前提で設計する
  • 合流は第一集合+第二集合の2段階
  • 連絡は短文テンプレで共有する
  • 子どもの迎えは条件で決める
  • 連絡不能は“通常”と割り切る
  • 今日の最小行動で“自分セット”が完成する

不安を減らすのは、気合ではなくルールです。

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