【防災士が解説】「自殺対策強化月間」から考える|心の不調を“災害化”させない相談の備え

心の不調は、ある日いきなり限界になることがあります。だからこそ、苦しくなる前に「相談先を知っている」こと自体が、命を守る備えになります。

ここでは、3月が「自殺対策強化月間」とされている背景と、迷わず相談につながるための具体策を整理します。


■① 「自殺対策強化月間」とは何か

自殺対策基本法では、3月を「自殺対策強化月間」と定め、国や自治体、関係団体が連携して相談事業や啓発活動を行うこととされています。

目的は、「誰も自殺に追い込まれることのない社会」を実現するために、相談先の周知や、支援につながる導線を増やすことです。


■② 心の不調は“我慢”で解決しない

心が限界に近づくと、判断力が落ちます。
「自分で何とかしよう」「迷惑をかけたくない」と思うほど、助けを求める一歩が重くなります。

防災の現場でも、ストレスの蓄積は体調悪化や睡眠障害、行動ミスにつながりやすく、本人が気づかないまま深刻化することがあります。


■③ 相談は「弱さ」ではなく「安全行動」

相談することは、弱さではありません。
災害時に避難するのが安全行動であるのと同じで、心が危ない時に相談するのも安全行動です。

被災地派遣(LO)でも、情報整理や役割分担ができた人ほど回復が早い傾向がありました。心も同じで、「抱え込まず外に出す」だけで状況が変わることがあります。


■④ 迷った時に“今すぐ使える”相談先を持つ

「どこに電話したらいいかわからない」が、最初の壁になります。
だからこそ、迷った時にすぐ使える窓口を、先に決めておくのが有効です。

福岡県内では、たとえば以下のような相談先があります。

・福岡自殺予防ホットライン:092-592-0783(24時間365日)
・きもちよりそうライン@ふくおかけん:LINE ID @469xxbam(月・木 16:00〜19:00)


■⑤ 「支援情報検索サイト」で“あなたに合う窓口”を探せる

相談先が多すぎると、逆に迷います。
そんな時は、「支援情報検索サイト」を使うと、悩み別・方法別・地域別で、自分に合う相談窓口を探すことができます。

「電話が苦手」「文章なら相談できる」「近くの対面窓口がいい」など、条件に合わせて選べることが大きな利点です。


■⑥ 家族や同僚の“変化”に気づく視点

本人が「大丈夫」と言っていても、危ない時があります。

・眠れない、食べられないが続く
・急に無口になる、逆に饒舌になる
・遅刻や欠勤が増える
・身だしなみが急に乱れる
・「消えたい」「迷惑をかけたくない」などの発言が出る

防災士として強く感じるのは、声かけは「励まし」より「確認」が有効だということです。
「最近どう?」「今、一番しんどいのは何?」と、状況を一緒に整理するだけでも違います。


■⑦ 相談の“ハードル”を下げる小さな工夫

いきなり深刻な相談をする必要はありません。

・「今日はしんどい」だけ伝える
・LINE相談など文章で始める
・時間を決めて短く相談する
・相談先の番号をスマホに登録しておく

災害時も、動ける人ほど「段取り」ができています。心の備えも同じで、ハードルを下げる準備が大切です。


■⑧ ひとりで抱え込まないための“備えの原則”

心の不調は、誰にでも起き得ます。
だからこそ、個人の努力だけに任せず、「つながり」を設計しておくことが防災です。

・相談先を1つ決める
・家族に「苦しい時の合図」を共有する
・支援情報検索サイトをブックマークする
・24時間窓口をスマホに登録する


■まとめ|心の備えは「相談先を知っている」ことから始まる

自殺対策強化月間が示しているのは、「助けを求めることは正しい」という社会のメッセージです。
心が限界の時に必要なのは、根性ではなく、つながる手段です。

結論:
相談先を知っていることは、命を守る“防災備蓄”と同じ価値がある。
被災地派遣(LO)で感じたのは、苦しさを言葉にできた人ほど回復が早いということでした。誰かに話すだけで、状況は必ず変わります。まずは一歩、つながれる準備をしておきましょう。

出典:厚生労働省「いのち支える自殺対策(広報の取組)」

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