消防学校に入ると、多くの人が一度は「辞めたい」と思います。これは珍しいことではありません。むしろ真剣に向き合っている証拠です。大切なのは、「その瞬間が来る」と知っておくこと。そして、その感情は永遠ではないと理解しておくことです。
■① 体力が追いつかないと感じたとき
周囲と比較して焦る瞬間があります。走力、懸垂、動作のキレ。入校直後は差がはっきり見えます。しかし体力は必ず伸びます。実際、半年後にはほぼ横並びになるケースがほとんどです。被災地での活動でも、最初に目立つのは体力より“落ち着き”。焦らず、毎日を崩さないことが一番の近道です。
■② 怒られたとき
指導は厳しく感じることがあります。ただし、多くは人格否定ではなく“修正”。感情ではなく行動に対しての指摘です。最初は心が折れそうになりますが、修正点が明確なほど伸びます。現場でも同じで、指摘を素直に受け止められる人ほど信頼を得ます。
■③ 集団生活がきついとき
プライバシーが少なく、常に周囲を意識する環境。これが一番のストレスになる人もいます。解決策は「完璧に好かれようとしないこと」。必要最低限の協調で十分です。集団生活は“仲良しごっこ”ではなく“任務遂行の基盤”。距離感を学ぶ場だと考えると少し楽になります。
■④ 座学が思ったより難しいとき
法令や専門用語で混乱することがあります。ですが試験は基礎中心。復習を積み重ねれば問題ありません。現場で本当に重要なのは「理解したことを使えるかどうか」。完璧を求めすぎず、毎日10分の見直しを続けるほうが結果につながります。
■⑤ 将来が不安になったとき
「自分は向いていないのでは」と考える瞬間があります。ここで大切なのは、一時的な感情と本質的な適性を分けること。疲れているときの判断は、だいたい間違います。被災地派遣でも、極度に疲労した隊員ほどネガティブな判断をしがちでした。まずは休む。それだけで思考は戻ります。
■やらなくていいこと
・その日の感情で将来を決めること
・他人と過度に比較すること
辞めたくなるのは成長過程の一部です。感情は波です。波に飲まれず、やり過ごす力が後に大きな武器になります。
■まとめ|辞めたくなる瞬間は「通過点」
消防学校で辞めたくなる瞬間は、ほぼ全員が経験します。それは失敗ではなく、通過点です。
結論:
辞めたいと思った日こそ、判断せず“今日だけ乗り切る”を選んでください。
元消防職員として言えるのは、「あのとき辞めなくてよかった」と後で思う人が圧倒的に多いということ。不安になるのは真剣だからこそ。その気持ちを否定せず、一日ずつ積み重ねてください。
出典:消防庁「消防職員の教育訓練の現状」https://www.fdma.go.jp/


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