消防学校で「辞めたい」と感じる瞬間は、誰にでも起こり得ます。厳しい指導、慣れない集団生活、体の疲労、同期との比較、思うようにできない悔しさ。そうした負荷が重なると、視野が狭くなり「今すぐ逃げたい」という判断に傾きやすくなります。
ただ、辞める・辞めないは人生を左右する決断だからこそ、感情の波の中で即断しないことが大切です。この記事では、辞めたくなった瞬間に“未来につながる判断”をするために、今すぐできることを5つに絞って整理します。
■① まず「48時間ルール」を決めて即断を止める
辞めたい気持ちが強いときは、判断の精度が落ちています。疲労や睡眠不足、緊張が重なると、普段なら選ばない決断を選びやすいからです。
だから最初にやるべきは、決断を止めるルールを自分に課すことです。
・辞める判断は48時間は保留する
・その間は「今を乗り切る」だけに集中する
これだけで、感情のピークを越えられます。辞めたい気持ちは波なので、波の頂点で結論を出さないことが重要です。
■② 「原因」を1つに絞って言語化する
辞めたいと感じるときは、頭の中で複数の問題が絡まっていることがほとんどです。
・体がきつい
・怒られるのが怖い
・同期との差がつらい
・自信がなくなった
このままだと不安が増幅します。そこで有効なのが、原因を1つに絞ることです。
「今いちばん辞めたい原因は何か」を1行で書く。1つに絞れると、対策も1つに絞れます。判断が軽くなるのはここからです。
■③ 体と睡眠を最優先にして「認知の回復」をする
辞めたい気持ちが強いときほど、実はメンタルより先に“体”が限界に近いことがあります。疲労が溜まると、思考がネガティブに固定されやすく、視野が狭くなります。
だからやるべきは、気合いではなく回復です。
・睡眠時間の確保
・食事を抜かない
・水分を落とさない
・入浴やストレッチで緊張を抜く
認知が回復すると、同じ状況でも「辞める以外の選択肢」が見えてきます。
■④ 相談は「結論」ではなく「状況共有」から始める
辞めたい気持ちを抱えたまま一人で耐えると、孤立して判断が極端になります。だから相談は必要です。
ただし、いきなり「辞めたい」と結論で話すより、状況共有から入る方が安全です。
・何が一番つらいのか
・いつからつらいのか
・睡眠や体調はどうか
・自分はどうなりたいのか
この順で話すと、相手も現実的な支援をしやすくなり、あなたの判断も整理されます。
■⑤ 「辞める」以外の出口を3つだけ用意する
辞めたい時に危ないのは、「辞めるか、我慢するか」の二択になることです。二択になると、どちらも苦しく感じて判断が荒れます。
だから出口は3つ用意します。例えば、
・一度ペースを落として回復を優先する
・苦手な部分だけ改善策を試す(相談・練習・手順化)
・期限を決めて様子を見る(1週間、2週間など)
選択肢が増えるだけで、心が落ち着きます。未来につながる判断をするための土台になります。
■⑥ 辞めたくなる時期は「実は普通」だと知っておく
消防学校では、辞めたい気持ちが出やすい時期があります。環境が変わり、緊張が続き、疲労が抜けないときに気持ちは揺れます。
だから「辞めたい=向いていない」と短絡しないことが大切です。辞めたい気持ちは、能力の証明ではなく、負荷が高い環境で自然に起きる反応です。反応を否定せず、対処の型を持つ方が社会人として強いです。
■⑦(一次情報)災害現場で見た「辞めたい」が出る瞬間と共通点
災害対応の現場でも、「もう無理だ」と感じる瞬間は必ずあります。被災地では、情報不足、疲労、責任感、焦りが重なり、判断が乱れやすくなります。そういうときに崩れる共通点は、睡眠不足と孤立でした。
逆に持ち直す人は、まず体を戻し、手順に戻り、誰かに状況共有をしていました。現場でも学校でも、折れない人より「戻れる人」が強いというのは同じです。
■⑧ 未来につながる判断は「感情」ではなく「手順」で守る
辞めたい気持ちは否定しなくていいです。問題は、感情のピークで人生の判断を確定させることです。
だから、判断を守る手順を持ちます。
・48時間保留
・原因を1つに絞る
・体を回復させる
・状況共有で相談する
・出口を3つ用意する
この手順があるだけで、社会人としての判断力が育ちます。今の経験は、消防の仕事だけでなく、人生の土台になります。
■まとめ|辞めたくなったら「戻れる型」で不安を減らし、判断を誤らない
消防学校で辞めたくなったら、①48時間ルールで即断を止める、②原因を1つに絞る、③睡眠と体調で認知を回復する、④状況共有から相談する、⑤辞める以外の出口を3つ用意する。この5つで不安が減り、未来につながる判断がしやすくなります。
結論:
辞めたい時に一番大切なのは、感情のピークで結論を出さず、「戻れる型」を使って判断を守ることです。
元消防職員として現場や災害対応を見てきた実感として、厳しい状況で強いのは、折れない人ではなく、乱れても手順に戻れる人でした。消防学校での揺れは、社会人としての判断力を鍛える機会でもあります。戻れる型を持てば、未来につながる選択ができます。
出典:総務省消防庁「消防学校・教育訓練(人材育成に関する情報)」

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