消防学校初任科は、体力だけでなく心も削られる場面があります。きつい状況になると、誰でも余裕がなくなり、本心が出る。本性が見える。これは避けられません。
結論から言うと、初任科で本心が出るのは悪いことではありません。むしろ、早い段階で互いの特性を知り、理解し合い、違いをチームの強さに変えるチャンスです。現場は多様な人間の集まりで動きます。初任科は、その“扱い方”を学ぶ期間でもあります。
- ■① 結論|きつい状況は「本性が出る」のではなく「余裕が消えて素が出る」
- ■② なぜ本心が出る?|疲労・睡眠不足・緊張で“仮面”が外れる
- ■③ 本性が見えるのは危険?|放置すると摩擦、扱うと武器になる
- ■④(誤解されがちポイント)「合わない人」がいるのは普通。むしろ現場では必要
- ■⑤ 理解し合うために効く行動|“決めつけ”を減らす一言
- ■⑥ 多様性をチーム力に変えるコツ|得意を見つけて、役割に落とす
- ■⑦(一次情報)被災地派遣で見えたのは、隊の強さは「人の扱い方」で決まるという現実
- ■⑧ 初任科でやるべきこと|本性を暴くのではなく、互いの“取扱説明書”を作る
- ■まとめ|きつい時に出る本心は、チームを壊す材料ではなく、理解の材料になる
■① 結論|きつい状況は「本性が出る」のではなく「余裕が消えて素が出る」
初任科できつい時に出るのは、性格の良し悪しではなく「余裕がなくなった時の反応」です。
・黙る人
・口が強くなる人
・自分を責める人
・笑ってごまかす人
・周りに気を配る人
この反応は、誰にでも起きます。大事なのは、反応を責めるのではなく、理解して扱うことです。
■② なぜ本心が出る?|疲労・睡眠不足・緊張で“仮面”が外れる
初任科は、運動負荷だけでなく、
・睡眠の質が落ちる
・緊張が続く
・ミスが許されない空気
が重なります。
この状態では、人は“普段の理性”より“素の反応”が先に出ます。だからこそ、初任科は人間理解の教材になります。
■③ 本性が見えるのは危険?|放置すると摩擦、扱うと武器になる
本心が出る場面を放置すると、
・悪口
・分断
・孤立
・我慢の連鎖
が起きます。
しかし、ここを扱えれば、隊は強くなります。
現場で必要なのは「同じ人間」ではなく「違う人間が噛み合って動くこと」です。
■④(誤解されがちポイント)「合わない人」がいるのは普通。むしろ現場では必要
初任科でよくある誤解は、
「全員仲良くないとダメ」
という思い込みです。
消防は、性格が違う人が集まってこそ強くなります。
慎重な人は安全を守る。勢いのある人は動きを作る。観察力がある人は異常に気づく。
合わないのではなく、役割が違うだけ、という見方が大切です。
■⑤ 理解し合うために効く行動|“決めつけ”を減らす一言
理解が進むチームは、次の一言を持っています。
・「今、余裕ない?」
・「一回深呼吸しよう」
・「ここ、代わるよ」
・「何が一番きつい?」
こうした短い声かけは、雰囲気を一気に変えます。
きつい時ほど、言葉は武器にも救いにもなります。
■⑥ 多様性をチーム力に変えるコツ|得意を見つけて、役割に落とす
多様性を活かす最大のコツは、性格を直そうとしないことです。
代わりに、
・この人は確認が丁寧
・この人は声が出る
・この人はまとめるのが上手い
・この人は手順が正確
と、得意を見つけて役割に落とします。
違いは摩擦にもなるが、役割に落ちれば武器になります。
■⑦(一次情報)被災地派遣で見えたのは、隊の強さは「人の扱い方」で決まるという現実
被災地派遣やLOの現場では、全員が疲れています。眠れていない。暑い。寒い。不安がある。
その中で本性が出るのは当たり前です。
強いチームは、誰かが荒れても“責める”より“役割で支える”ことができました。
「今は任せる」「休ませる」「交代する」「声かけする」。
人間は機械ではありません。だから、現場で最後に効くのは技術だけでなく、人の扱い方でした。初任科でそれを学べるのは大きいです。
■⑧ 初任科でやるべきこと|本性を暴くのではなく、互いの“取扱説明書”を作る
初任科で大事なのは、誰かの本性を暴くことではありません。
互いの“取扱説明書”を作ることです。
・疲れると黙る
・焦ると早口になる
・失敗すると落ち込む
・緊張すると表情が硬い
これを知っていれば、事故を減らせます。
そして最後に、全員に共通することがあります。量です。
訓練の量は質を凌駕する。
ただし、量は「仲間を壊す量」ではなく「隊を強くする量」。
それが初任科の価値です。
■まとめ|きつい時に出る本心は、チームを壊す材料ではなく、理解の材料になる
消防学校初任科がきついのは事実です。そして、きつい時に本心が出るのも自然な反応です。大切なのは、それを責めずに理解し、違いを役割に落としてチーム力に変えること。多様性は面倒ではなく、現場で事故を減らすための武器になります。
結論:
初任科で本心が出るのは“危険”ではなく“学び”。互いの特性を理解し合い、多様性を噛み合わせたチームが最後に強い。
元消防職員として現場を見てきた実感でも、強い隊は「技術が高い隊」ではなく「人を扱える隊」でした。初任科は、その土台を作る最高の期間です。
出典:総務省消防庁「消防職員委員会制度等に関する資料(職場環境・人材育成)」

コメント