【防災士が解説】避難所でスマホが使えない時に頼れる通信手段|中学校の無線訓練が「命をつなぐ」理由

東日本大震災から15年。南海トラフ巨大地震も「いつ起きてもおかしくない」と言われる中で、いま改めて課題になるのが通信の確保です。
「スマホがあるから大丈夫」と思いがちですが、大規模災害では回線混雑・基地局被災・停電・充電切れが重なり、避難所で情報が止まることがあります。そんな中、中学校で無線機を使う防災訓練が始まろうとしており、防災士として注目しています。


■① 結論|避難所で頼れるのは「電波が生きている前提のスマホ」ではなく「近距離で確実に通る通信」

避難所の現場で本当に困るのは、物資不足より先に「状況が分からないこと」です。
だから結論はシンプルです。

・スマホは災害直後に止まりやすい(回線制限・基地局ダウン・充電切れ)
・避難所内や近距離の連絡は、免許不要の無線機(トランシーバー)が強い
・通信は道具より先に「話し方」と「ルール」が命を守る


■② スマホ依存の落とし穴|「つながる前提」が崩れる3つの理由

災害時にスマホが頼れない理由は、主に3つです。

・回線パンクと通信制限:安否確認が集中し、通話もネットもつながりにくくなる
・停電による基地局ダウン:予備電源が尽きると、そもそも電波を受信できない
・公助の通信は万能ではない:衛星電話などは主に機関同士の連絡用で、避難所の細かな運営連絡には限界がある

誤解されがちポイントは、「圏外」ではなく「制限」で止まることです。電波表示があっても、送れない・つながらないが起きます。


■③ 無線機が必要な理由|避難所で強いのは「近距離・一斉・操作が単純」

避難所の運営は、遠くの誰かより「近くの誰か」との連携が重要です。

・同じ建物内、同じ校区内の連絡が主戦場
・ボタン一つで呼べる(高齢者や子どもでも扱いやすい)
・一斉連絡ができ、役割分担と状況共有が早い

スマホが万能なら、避難所で館内放送や掲示、口頭伝達が残り続ける理由がありません。通信の多重化は、防災の基本です。


■④ 中学校で始まる無線訓練がすごい点|「操作」ではなく「伝え方」を体験で叩き込む

今回の取り組みの価値は、無線機を配ることではなく、訓練設計にあります。

・ロールプレイング形式で、避難者探索・物資確保・本部連絡を実地で回す
・「どこに、誰が、何人いて、何が足りないか」を集約して優先順位を決める
・避難所運営の縮図を、授業の中で体験できる

避難所は、設備より「人が動けるか」で決まります。中学生のうちに「情報を集めて、伝えて、動かす」経験を積むのは大きいです。


■⑤ 命をつなぐ無線の作法|混乱時ほど効く3つの話し方

無線は、話し方で精度が決まります。訓練で身につけたいのはここです。

・大事なことは二度繰り返す:「大人5人。繰り返します、大人5人」
・短く、要件だけ:無線は一人が話すと他が話せない。結論→場所→人数→要望の順
・確認で閉じる:「了解」「復唱します」「以上」で通信を終わらせ、混線を防ぐ

通信はセンスではありません。型です。


■⑥ 家庭でできる「通信の備え」|特定小電力トランシーバー+家族ルール

家庭で現実的に備えやすいのは、免許不要の特定小電力トランシーバーです。

・家の中/近所での連絡に強い(停電でも乾電池で動く機種がある)
・高齢の家族にも教えやすい(操作が単純)
・「持っているだけ」では意味がないので、連絡ルールを先に決める

今日からの最初の一歩はこれです。
「スマホが使えない前提」で、家族の集合場所・連絡係・伝える順番(誰→誰)を紙に書いて冷蔵庫に貼る。これだけで判断が軽くなります。


■⑦(一次情報)現場で痛感したのは「情報が止まると、人は動けない」という現実

被災地派遣の現場でも、通信が不安定な状況は珍しくありませんでした。
情報が止まると、安否確認が遅れ、必要な支援が届かず、現場は無駄に疲弊します。逆に、短い連絡でも「要点が届く」だけで、判断と行動が一気に軽くなります。
道具より大事なのは、誰が・何を・どう伝えるかの型を、平時に持っておくことです。


■⑧ 導入を検討する学校・地域へのポイント|早めの計画と「運用の型」が鍵

学校や地域で無線訓練を導入する場合、押さえるべき点は次の通りです。

・実施時期から逆算して申し込む(教材・機材は準備が必要)
・役割分担を固定しない(毎回ローテして全員が本部役を経験する)
・訓練後レビューで「無線がなければ何が起きたか」を言語化する

教官達は上手です。しかし、センスがあるだけではありません。来る日も来る日も量をこなしてきたからです!
訓練の量は質を凌駕する。通信も同じで、「一度やった」より「型を反復した」が強さになります。


■まとめ|スマホが止まる前提で、避難所の通信を「型」として備える

避難所でスマホが使えない状況は、回線制限・基地局ダウン・充電切れで現実に起こります。
その時に頼れるのは、近距離で確実に通る通信手段と、混乱下でも伝わる話し方の型です。中学校で無線訓練が始まる流れは、未来の避難所運営を強くする可能性があります。

結論:
通信は「スマホ一本化」をやめ、無線+家族ルール+伝え方の型で多重化すると、災害時の判断が一気に軽くなる。
防災士としての実感でも、道具があっても運用の型がなければ宝の持ち腐れです。まずは「スマホが止まったら、誰が、どこで、何を伝えるか」を決めるところから始めてください。

出典:https://www.icom.co.jp/sustainability/next-generation/transceiver-experience/

コメント

タイトルとURLをコピーしました