【防災士が解説】JDA-DATとは?災害時の「食と栄養」を守る支援チーム8つの役割

大規模災害では、水や電気が止まり、温かい食事が取れず、避難生活が長引きます。
そのとき問題になるのは「お腹が空く」だけではありません。高齢者が噛めない、持病で食事制限がある、乳幼児のミルクが足りない、アレルギーで食べられない――食の条件が違う人ほど、体調を崩しやすくなります。
こうした“見えにくい命綱”を支えるのが、日本栄養士会災害支援チーム「JDA-DAT」です。


■① JDA-DATとは?

JDA-DATは、大規模災害時に被災地の医療・福祉・行政などと連携し、栄養・食生活支援を行うためのチームです。
物資の配布そのものだけでなく、「誰に」「何を」「どう届けるか」を整えて、食による二次被害を減らすことが目的です。


■② なぜ必要?|避難所の食は“平等”でも“公平”ではない

避難所の食事は、配布が簡単なものに偏りやすくなります。
しかし、同じものを配れば解決ではありません。

  • 噛めない・飲み込みにくい人(高齢者・要介護)
  • 透析、糖尿病、高血圧など食事制限が必要な人
  • 乳幼児、妊産婦
  • 食物アレルギーがある人

この差を放置すると、体力低下、脱水、便秘、誤嚥、血糖悪化などが起き、避難生活が一気に苦しくなります。


■③ JDA-DATの支援の中心|「栄養の視点」で現場を回す

JDA-DATが強いのは、食を“栄養”として捉え、現場で回る形に落とし込む点です。

  • 避難所の食事状況の把握(何が足りないか)
  • 要配慮者の把握(特別食が必要な人の見える化)
  • 食事提供の改善提案(不足栄養、提供方法の工夫)
  • 物資の選定支援(配れば効果が出る物の優先順位)
  • 調理環境・衛生の助言(食中毒リスクの低減)

「食が回る」と、避難所の体調不良が確実に減ります。


■④ 現場で効く支援|“特別食”は早いほど命を守る

災害時に遅れがちな支援が、特別な食の対応です。

  • きざみ食・やわらか食
  • 低たんぱく・減塩などの治療食
  • アレルギー対応食
  • 乳幼児のミルク・離乳食

ここが遅れると、本人は我慢して食べない→体力が落ちる→医療負荷が増える、という流れが起きます。
JDA-DATは、この“食の詰まり”を早期に外す役割を担います。


■⑤(一次情報)被災地で見た「食の弱点」は、後から必ず効いてくる

被災地派遣(LO)で避難所の声を聞くと、最初は皆「水が欲しい」「毛布が足りない」と言います。
ただ、数日〜1週間ほど経つと、目立たないところで差が出ます。

  • 噛めない人がパンやカップ麺を食べられず体力が落ちる
  • 糖尿病の人が甘い補食で血糖が乱れて動けなくなる
  • 乳幼児のミルクが合わず、家族の不安が増える
  • 便秘や脱水で受診が増え、医療側も疲弊する

防災士として強く感じたのは、食は「元気の燃料」であり、避難所運営を持続させる“土台”だということです。


■⑥ 誤解されがちポイント|「カロリーがある=大丈夫」ではない

災害時は「とにかくカロリー」が優先されがちですが、それだけでは守れません。

  • たんぱく質不足で筋力が落ちる
  • 野菜不足で口内炎や体調不良が増える
  • 水分不足で脱水・便秘が増える
  • 塩分過多で血圧が上がる人が出る

重要なのは、限られた物資でも“偏りを小さくする工夫”です。ここに専門性が必要になります。


■⑦ 家庭でできる備え|「家族の条件に合う備蓄」を作っておく

家庭の備えは、量より“自分に合うか”が重要です。

  • 噛みにくい家族がいるなら、やわらか食・レトルト粥
  • アレルギーがあるなら、食べられる非常食を固定化
  • 乳幼児がいるなら、ミルク・離乳食・スプーン等
  • 持病があるなら、減塩・低糖質など無理のない備蓄

「みんなが食べられる」ではなく「自分の家族が食べられる」を基準にすると、災害時の不安が減ります。


■⑧ 今日できる最小行動|「食べられない物」を先に確認する

今日できる最小行動は、家族で次を確認することです。

  • 災害時に“食べられない”条件は何か(噛む、アレルギー、制限)
  • 代替できる備蓄は何か(粥、ゼリー、やわらか食品)
  • 水分を取る手段はあるか(経口補水液、ゼリー等)

足りない備蓄を増やすより、ミスマッチを減らすほうが効きます。


■まとめ|JDA-DATは「食と栄養の二次被害」を減らす重要な支援

JDA-DATは、災害時に被災地で栄養・食生活支援を行い、医療・福祉・行政と連携しながら、食の偏りや要配慮者の食の断絶を減らすチームです。
食は、避難生活を持続させる力であり、静かに命を支えるインフラです。

結論:
災害の備えは「食べ物を用意する」だけでなく、「自分が食べられる形で継続する」まで含めて完成します。
防災士として被災地を見てきた実感でも、食が整うと体調不良が減り、避難所全体の空気が落ち着きます。食は、復旧のスピードを底上げします。

出典:公益社団法人 日本栄養士会「日本栄養士会災害支援チーム(JDA-DAT)について」https://www.dietitian.or.jp/jdadat/about/

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