【防災士が解説】JDATとは?避難所で口の健康を守る「災害歯科支援チーム」8つの役割

大規模災害の避難所では、「ケガ」や「感染症」だけでなく、実は“口のトラブル”がじわじわ効いてきます。
歯が痛い、入れ歯が壊れた、口が乾く、歯みがきができない。こうした状態が続くと、食事が取れず体力が落ち、誤嚥性肺炎のリスクも上がります。
この「見えにくい健康被害」を支える仕組みの一つが、JDAT(日本災害歯科支援チーム)です。


■① JDATとは?

JDATは、災害時に被災地の避難所などで、応急的な歯科医療や口腔衛生を中心とした支援を行い、被災者の健康と地域の歯科医療の回復を支えるためのチームです。
歯科医師だけでなく、歯科衛生士などの専門職が連携し、「口から崩れる二次被害」を防ぐ役割を担います。


■② なぜ必要?|口が崩れると、全身が崩れる

災害時の口の問題は、単なる不快感では終わりません。

  • 噛めない・痛い → 食べられない → 体力が落ちる
  • 口の乾燥・汚れ → 口内炎・感染リスクが上がる
  • 口腔ケア不足 → 誤嚥性肺炎のリスクが上がる
  • 入れ歯の破損 → 食事も会話も減り、気持ちが沈む

避難生活が長引くほど、「口の問題」は健康の土台を崩します。


■③ JDATがやること|避難所の“口の困りごと”を減らす

JDATの支援は、痛みの対応だけでなく、避難所環境の中で続く形に整えることが強みです。

  • 応急歯科医療(痛み、腫れ、外傷などの初期対応)
  • 入れ歯の破損・不具合への対応支援
  • 口腔ケアの指導と実践支援(歯みがきが難しい人への工夫)
  • 口の乾燥対策(水分・口腔保湿の考え方)
  • 要配慮者(高齢者・要介護・持病)の口腔リスクの把握
  • 避難所での衛生環境改善(洗口・清拭・物資活用)
  • 医療・福祉チームとの連携(肺炎・栄養・嚥下とのつながり)
  • 住民への周知(「口の相談」ができる場所を作る)

口の支援が入ると、体調不良の連鎖が減っていきます。


■④ 避難所で効くポイント|歯みがきできない前提で工夫する

避難所では、歯ブラシがあっても「水がない」「場所がない」「気力がない」ことがあります。
だからこそ現実的な工夫が重要です。

  • 少量の水でもできる口すすぎの習慣化
  • ウェットティッシュやガーゼでの清拭
  • 食後でなくても「寝る前だけは口を整える」
  • 口が乾く人は、こまめな少量水分+口を動かす

完璧を目指すより、続くやり方が勝ちます。


■⑤(一次情報)被災地で感じた「口の問題は、後から大きくなる」

被災地派遣(LO)で避難所の生活を見ていると、最初は誰もが命を守る行動で精一杯です。
ところが数日〜1週間ほど経つと、疲れと乾燥と衛生の乱れが重なって、「口が気持ち悪い」「歯が痛い」「入れ歯が合わない」といった訴えが増えてきます。

防災士として実感したのは、口の不調は“静かに体力を削る”ということです。
食べられない、眠れない、話したくない。これが積み重なると、避難生活そのものが苦しくなります。だから口腔支援は、地味でも確実に効く支援です。


■⑥ 誤解されがちポイント|「歯は後でいい」は、後で効いてくる

災害時に「歯は命に直結しないから後回し」と思われがちです。
しかし実際は、口の問題がきっかけで次が起きます。

  • 食事量が減り、回復が遅れる
  • 口腔内が不衛生になり、肺炎リスクが上がる
  • 痛みで睡眠が崩れ、メンタルが落ちる

口の支援は「今すぐ助ける」だけでなく「悪化を防ぐ」意味が大きいです。


■⑦ 家庭でできる備え|口の備えは“軽いのに効く”

家庭の備えで、効果が大きくて負担が小さいのが口の備えです。

  • 歯ブラシ(家族分+予備)
  • 歯みがき粉(なくても磨けるがあると楽)
  • マウスウォッシュや洗口液(少量でも使える)
  • 入れ歯ケース・洗浄用品(必要な人は必須)
  • 口腔ケア用のウェットティッシュやガーゼ

軽量で場所も取らず、避難生活の質を上げます。


■⑧ 今日できる最小行動|「口の持ち出し袋」を1つ作る

今日できる最小行動は、家族の防災袋に「口の小袋」を作って入れることです。

  • 歯ブラシ
  • 小さな洗口液(またはガーゼ)
  • 入れ歯用品(必要なら)
  • 予備のマスク(口の乾燥・衛生にも効く)

これだけで、避難生活のストレスが確実に減ります。


■まとめ|JDATは避難所の「口から始まる二次被害」を減らす

JDATは、災害時に避難所等で応急歯科医療と口腔衛生支援を行い、食・栄養・肺炎リスク・生活の質を守るための支援チームです。
口が整うと、食べられる。眠れる。回復が進む。避難生活が少し前に動きます。

結論:
口のケアはぜいたくではなく、避難生活を持続させるための“健康インフラ”です。
防災士として被災地を見てきた経験でも、口の不調は後から大きく効いてきます。だからこそ、支援も備えも「早めに」整える価値があります。

出典:日本歯科医師会「災害歯科保健医療対策(JDAT)」https://www.jda.or.jp/dentist/disaster/

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