【防災士が解説】AI時代の「つながり」は災害に強くなる|自治体DXと次世代モビリティが変える避難・支援の形

AI時代のコミュニケーションは、「便利」だけで終わりません。
結論から言うと、人と人のつながりがオンラインで太くなるほど、災害時の“情報・手続き・支援”が途切れにくくなり、逃げ遅れや孤立を減らせます。
自治体DXや次世代モビリティの進化は、日常の暮らしを良くするだけでなく、非常時の社会インフラを底上げします。


■① なぜ今「つながり」がテーマなのか:災害は“分断”から始まる

災害で本当に怖いのは、揺れや風雨だけではありません。
その後に来るのが、連絡が取れない、情報が届かない、手続きが進まない、支援が途切れる——という分断です。

  • どこに避難すればいいか分からない
  • 家族と連絡が取れない
  • 生活再建の手続きが進まない
  • 相談先が分からず我慢してしまう

AI時代の「つながり」は、こうした分断を“前提から減らす”方向に進化します。


■② 自治体DXが防災を強くする:窓口のオンライン化は“平時の効率化”ではなく“非常時の代替”

オンライン窓口が整うと、平時は便利になります。
しかし防災目線では、価値はそこではなく、災害時に「市役所に行けない」「行っても混雑する」状況でも相談・申請・案内が継続できる点にあります。

  • 罹災証明・各種支援の案内が早く届く
  • 避難所・給水・支援物資の情報が迷いなく取れる
  • 電話がつながらない時の代替手段になる

被災地派遣(LO)で感じたのは、現場は“正しい制度”があっても、住民がそこに到達できないと意味がないという現実です。だからこそ、窓口の形を複線化しておくことが、住民の命と生活を守ります。


■③ 重要ポイント:DXは「市民体験」で評価する

DXはシステム導入がゴールではありません。
防災の現場で効くDXは、次の問いに答えられるものです。

  • 住民は“迷わず”必要情報に届くか
  • 平常時に使い慣れているか(非常時に初めて使う設計は弱い)
  • 多言語・やさしい日本語に対応しているか
  • 停電・通信障害時の代替があるか(紙・掲示・ラジオ等の併用)

災害時に強いのは、平時から使っている仕組みです。


■④ 次世代モビリティが防災に効く:移動が“情報の拠点”になる

モビリティが「移動手段」だけでなく、映像・対話が融合する空間へ進化すると、災害対応の選択肢が増えます。

  • 移動中でも、状況共有・指示・相談ができる
  • 現場と本部をつなぐ“簡易指揮所”になり得る
  • 避難支援・搬送・巡回の質が上がる

大災害では「現場が点在」します。点在する現場をつなぐのは、道路だけではなく、通信と運用です。


■⑤ AIが支える「新しい社会インフラ」:分断を埋めるのは“人+仕組み”

AIは万能ではありませんが、災害時に強い使い方があります。

  • 問い合わせ集中時の一次受付(迷子・避難所・支援制度)
  • 案内の自動化(同じ質問を減らし、人は個別ケースへ)
  • 言語の壁の軽減(多言語案内の整備)

ただし大前提は、AIの裏側に人がいる設計です。
困っている人ほど、最後は人に話したい。だから、AIは人を置き換えるのではなく、人が届く範囲を広げるために使うのが防災的に強いです。


■⑥ 住民側が得する“受け取り方”のコツ:災害時だけ動くと遅れる

住民側の現実的な備えは、難しくありません。

  • 自治体の公式情報の取り方を1つ決めておく(LINE・メール・サイト等)
  • 家族で「集合・連絡」の型を決める(誰が誰に、どこで)
  • 困ったら“相談先”を先に押さえる(市の窓口、消防本部、地域包括など)

災害時は、判断が遅れるほど不利になります。
平時に「型」を作るだけで、迷いが減ります。


■⑦ 行政・組織側の最重要:情報管理と運用ルールがないと逆に危ない

つながりが増えるほど、情報管理が重要になります。

  • 個人情報の扱い
  • 現場写真・動画の扱い
  • 業務連絡の公式ルート
  • 端末・アカウント管理

被災地派遣(LO)でも、情報が拡散しすぎて混乱する場面は現実にあります。
「つながる力」=「守る力(情報管理)」がセットで整って初めて、災害時の安心になります。


■⑧ 今日できる最小行動:あなたの“つながりの避難経路”を1本だけ作る

今日やることは1つで十分です。

  • 自治体の公式情報を受け取る手段を1つ登録する
  • 家族に「災害時はこれで連絡する」を共有する
  • 困ったときの相談先をメモしておく(スマホ+紙)

AI時代の防災は、装備よりも「つながりの設計」が効きます。


まとめ

結論:AI時代のコミュニケーションは、自治体DXと次世代モビリティの進化によって“情報・手続き・支援”を途切れにくくし、災害の分断(孤立・混乱・逃げ遅れ)を減らせる。重要なのは、平時から使える運用設計(市民体験)と、情報管理のルールをセットで整えること。
防災士として、そして元消防職員としての実感ですが、災害で一番強いのは「迷わず相談できる仕組み」です。つながりは、命を守るインフラになります。


出典

奈良市とZVC JAPAN、AIを活用した電話業務の高度化に向けた連携協定(PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000120.000046792.html

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