消防団員の減少が続く中で、地域防災力の低下が現実のリスクになっています。
結論から言うと、消防団は「災害が起きた直後の空白時間」を埋める地域防災の中核であり、人数が減るほど“初動対応の厚み”が薄くなります。
福岡県がYouTube動画で加入促進に踏み込んだのは、南海トラフ地震など大規模災害を見据えた、非常に実務的な一手です。
■① なぜ今、消防団員確保が「防災の最優先」なのか
大災害では、消防・救急・警察・行政の力だけで全てをカバーできません。
被害が広域化すると、現場は同時多発になり、支援が届くまで“時間差”が生まれます。
その空白を埋めるのが、地域に根ざした消防団です。
- 初期消火(延焼を防ぐ)
- 安否確認(取り残しを減らす)
- 避難支援(高齢者・要配慮者の支援)
- 情報伝達(地域の状況を集めてつなぐ)
- 水防・警戒(豪雨・浸水時の対応)
元消防職員として感じてきたのは、災害の初動は“装備”より“人”がものを言うという現実です。人が足りなければ、どれだけ計画が良くても、動ける現場が減ります。
■② 消防団の価値は「発災直後の数時間」にある
大規模災害の現場は、発災直後が最も混乱します。
- 火災が同時多発する
- 道路が寸断される
- 通信が不安定になる
- 119番が集中し、到着が遅れる
この時間帯に、地域で動ける体制があるかどうか。
ここで差が出ます。
被災地派遣(LO)でも、支援が本格化するまでの間に、地域内でどう持ちこたえたかが、その後の被害拡大や住民の疲弊に直結していました。消防団は、その“持ちこたえる力”そのものです。
■③ 福岡県の取り組み:YouTube動画で加入促進を強化
福岡県は、消防団の充実強化を図るため、消防団加入促進のYouTube動画を作成し、配信を行います。
- タイトル:HKT48の福岡撮影中。
- 配信日:令和8年2月27日(金)16:00~
- 配信先:YouTubeチャンネル「ふくおかインターネットテレビ」再生リスト
「知らない」「きっかけがない」ことで加入につながらない層に、動画は強い手段です。
災害時に強い地域は、平時から“参加の入口”が分かりやすい地域です。
■④ 消防団に対する誤解:入れば“特別な人”になるわけじゃない
消防団は、誰かが突然ヒーローになる仕組みではありません。
地域の中で、できる範囲を持ち寄って、初動の穴を埋める仕組みです。
- 全員が同じ役割を担うわけではない
- できることから少しずつ覚える
- 組織として動くから、個人に無理を背負わせない
だからこそ、人数が必要です。
人数がいるほど、一人当たりの負担が減り、継続しやすくなります。
■⑤ 市町村・消防本部が“広報”する意味
今回の通知では、各市町村・各消防本部(局)に対して、広く広報し、消防団員確保に取り組むことが求められています。
広報の価値は、募集を出すことではなく、次の3つを住民に伝えられる点です。
- 何をする組織なのか(役割の明確化)
- どんな人が向いているのか(入口の安心)
- どこに相談すればいいのか(行動の導線)
加入促進は「根性論」では動きません。
“分かりやすい導線”がある地域ほど、団員確保は現実的になります。
■⑥ 住民側の視点:地域防災力は「誰か」ではなく「自分ごと」
災害は、必ず“地域の中”で起きます。
消防団が機能する地域は、結果的に次が強くなります。
- 初動が早い(火災・浸水・要救助の拡大を抑える)
- 情報が集まる(避難判断が速くなる)
- 弱い人に手が届く(孤立を減らす)
地域防災力は、行政の努力だけでは完成しません。
地域が少しだけ参加できる形を作ることが、最も堅実な備えです。
■⑦ 今日できる最小行動:まずは“動画を見る”で十分
消防団に興味があっても、いきなり加入を決める必要はありません。
まずは、今回の動画を見て、イメージを持つことが最初の一歩です。
- 自分の市町村の消防団の情報を調べる
- 相談窓口(役場・消防本部)を確認する
- 家族や職場で「地域の防災参加」について一度話す
災害時に強い地域は、平時の会話が多い地域です。
まとめ
結論:消防団は大規模災害時の“発災直後の空白”を埋める地域防災の中核であり、団員減少は初動対応の厚みを直接削る。福岡県がYouTube動画で加入促進を強化したのは、南海トラフ地震等を見据えた現実的な地域防災力強化策であり、市町村・消防本部の広報と住民の理解が鍵になる。
まずは動画を見て、消防団の役割を“自分の地域の防災”として捉えることが、最も確実な一歩です。
出典
福岡県「ふくおかインターネットテレビ」YouTube再生リスト
https://www.youtube.com/user/fukuokaitv/playlists

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