【元消防職員が解説】クラウド型12誘導心電図伝送システム「SCUNA」とは?救急搬送の“時間短縮”が命を守る

胸の痛みや息苦しさが出たとき、本当に怖いのは「病院に着くまでに状態が変わる」ことです。特に急性心筋梗塞などは、治療開始までの時間が短いほど助かる可能性が上がります。そこで重要になるのが、救急隊が現場で測った12誘導心電図を、搬送先の医療機関へ先に共有する仕組みです。クラウド型12誘導心電図伝送システム「SCUNA」は、救急現場と病院を“情報で先につなぐ”ことで、到着前から準備を進められるようにする考え方です。


■① SCUNAとは何か(何をクラウドで共有するのか)

SCUNAは、救急現場で取得した12誘導心電図を中心に、必要に応じて動画像や位置情報なども含めて、クラウド上で安全に共有する仕組みです。救急隊が測定した情報を病院側が早期に把握できるため、到着前から診療体制の準備を進めやすくなります。


■② なぜ12誘導心電図の“事前共有”が重要なのか

救急搬送では、病院に着いてから検査が始まると、準備が後手になります。12誘導心電図を事前に共有できると、
・重症の可能性が高いかどうかを早く判断できる
・専門医やカテーテル治療の準備を前倒しできる
・受入先の調整が早くなる
といった効果が期待できます。結果として、治療開始までの時間が短くなりやすいのが強みです。


■③ 救急隊側のメリット(現場の判断が軽くなる)

救急隊にとっては、「搬送してから相談」ではなく「搬送前から相談」ができる形になります。
・搬送先の選定が迷いにくい
・病院側の受入準備が進む
・到着後の引き継ぎが短くなる
こうした積み重ねが、現場の焦りを減らし、判断を軽くします。


■④ 病院側のメリット(到着前にチームが動ける)

病院側の強みは、到着前に動けることです。
・初療室や検査の段取りを整える
・必要なスタッフを招集する
・重症度に応じて導線を決める
患者さんが到着してから慌てるのではなく、到着時点で“次の手”が準備されている状態を作れます。


■⑤ 被災地派遣(LO)で感じた「災害時ほど医療は“前倒し”が効く」

被災地派遣(LO)で避難所や災害対応拠点に入ると、病院側も救急側も人手と情報が不足しがちになります。道路事情が悪く搬送が遅れたり、複数の救急要請が重なったりすると、現場は「後追い対応」になりやすいです。そんな場面で効くのは、情報を先に共有して、受入の準備を前倒しできる仕組みです。災害時は“装備より運用”が結果を分けますが、医療連携も同じで、前倒しできるほど救命の確率が上がると実感しました。


■⑥ 災害時の注意点(通信障害を前提にした設計が必要)

クラウド型の強みがある一方で、災害時は通信が不安定になります。
・停電
・基地局の停波
・回線混雑
が起きる前提で、代替手段や運用の優先順位を決めておくことが重要です。システムは導入よりも「止まった時にどう回すか」まで含めて初めて現場で役に立ちます。


■⑦ 個人情報と安全性(共有は早く、管理は堅牢に)

医療情報の共有は便利な反面、適切な管理が不可欠です。
・誰が見られるか
・どこまで共有するか
・記録をどう残すか
現場のスピードと、情報管理の堅牢さは両立させる必要があります。仕組みが明確なほど、現場が安心して使えます。


■⑧ 住民側ができる最小の備え(救急が迷わない情報を準備)

住民側の備えは難しくありません。救急搬送の質を上げるのは、最初の情報です。
・症状の始まった時間(いつからか)
・既往歴、服薬、アレルギー
・かかりつけ病院
・家族の連絡先
この情報があるだけで、救急隊も病院も判断が軽くなります。災害時こそ、紙で一枚にまとめておくと強いです。


■まとめ|SCUNAの価値は「到着前に準備が進む」こと。救急の時間短縮が救命につながる

クラウド型12誘導心電図伝送システム「SCUNA」は、救急現場で取得した12誘導心電図などをクラウドで共有し、病院が到着前から準備できるようにする考え方です。救急隊は搬送先選定が迷いにくくなり、病院側はチームと導線を前倒しで整えられます。災害時は通信障害を前提にした運用設計が必要ですが、情報共有を前倒しできる仕組みは、限られた資源の中で救命の確率を上げる力になります。

結論:
救急搬送で命を守る鍵は「到着してから」ではなく「到着前から」動けること。12誘導心電図の事前共有は、救命の時間を短縮する強力な武器です。
元消防職員として、被災地派遣(LO)の現場でも、前倒しで準備できた現場ほど混乱が減り、助かる確率が上がる場面を見てきました。医療連携も同じで、情報が先に動くほど、命が守られます。

出典:https://www.medi-aid.jp/products/scuna/

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