災害時に差が出るのは、知識量よりも「情報を整理し、他者と共有し、判断につなげる力」です。ジグソー法は、本来は教育現場で使われる協働学習法ですが、防災教育や地域防災訓練に応用すると非常に効果があります。一人で抱え込まず、分担して学び、つなぎ直す。これは災害対応の現場そのものの構造に近い考え方です。
■① ジグソー法とは何か
ジグソー法は、参加者がそれぞれ異なるテーマを担当して学び、その後に持ち寄って全体像を組み立てる学習方法です。パズル(ジグソー)のように、一人ひとりの知識が合わさって完成します。
特徴は、
・分担学習
・再編成
・相互説明
という3段階にあります。
■② なぜ防災と相性がいいのか
災害対応は、
・救助
・医療
・避難所運営
・物資調整
・情報発信
など役割分担で動きます。ジグソー法は、この“分担→共有→全体理解”の構造と非常に似ています。防災教育に取り入れると、受け身ではなく「自分が担う」意識が育ちます。
■③ 防災訓練での具体的な活用例
例えば地域防災訓練で、
A班:初期消火
B班:避難誘導
C班:情報収集
D班:高齢者支援
と分け、それぞれが学んだ後に再編成して教え合う。すると、全体像が立体的に理解されます。単なる講義より、定着率が高まります。
■④ 情報の偏りを防ぐ効果
災害時は情報が偏りがちです。ジグソー法では、
・一人が持つ情報は一部だけ
・共有しないと全体が完成しない
という構造なので、自然に「伝える力」が鍛えられます。これは避難所運営や地域連携で大きな武器になります。
■⑤ 被災地派遣(LO)で実感した“分担と再共有”の強さ
被災地派遣(LO)の現場では、情報を抱え込むと機能不全が起きます。各部署が情報を持ち寄り、再整理して共有できた時に、初めて全体が動きます。ジグソー法は、まさにこの構造を平時から体験できる方法です。分担し、持ち寄り、再構築する。この流れができている現場は強いです。
■⑥ 子ども防災教育への効果
子ども向け防災教育でも効果的です。
・地震の備え
・火災時の行動
・台風時の注意
を分担させ、発表させる。自分が“教える側”になると理解が深まります。これは家庭防災にも波及します。
■⑦ 地域コミュニティ再建にも応用できる
災害後のコミュニティ再建でも、
・役割を分担
・課題を共有
・再編成して解決策を作る
というプロセスは有効です。みなし仮設住宅などで分散した住民が再びつながる場づくりにも応用できます。
■⑧ 今日できる最小の実践
家庭や職場でできる簡易版はこれです。
・家族で役割を分ける(通報、消火、避難誘導)
・一度共有する
・全体像を再確認する
この小さなジグソーで、災害時の迷いが減ります。
■まとめ|ジグソー法は「分担→共有→再構築」で判断力を育てる防災技術
ジグソー法は、協働学習の手法ですが、防災教育や地域訓練と非常に相性が良い方法です。分担して学び、持ち寄って再構築することで、受け身ではなく主体的な防災力が育ちます。災害対応の現場と同じ構造を平時から体験できる点が最大の価値です。
結論:
防災は一人で抱え込まない。“分担して、持ち寄る”力が、現場を強くします。
防災士として、被災地派遣(LO)の現場でも、情報を共有できる組織ほど立ち上がりが早いと感じました。ジグソー法は、その力を平時から育てる現実的な方法です。
出典:https://www.mext.go.jp/

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