【元消防職員・防災士が解説】小学生に“火災から身を守る力”をつける家庭の防災教育

火災は地震以上に“小学生だけの時間”に起きやすい。
特に調理中の不始末、コンセントのトラッキング、ストーブの接触など、家庭に潜む危険は多い。

だからこそ、小学生にも「火災から命を守る行動」を事前に教えておくことが、家庭の防災力を大きく高める。


■① 最優先は“煙から逃げる”という理解を持たせる

火災で命を奪うのは炎ではなく煙。
小学生でも、このポイントを理解できれば避難行動が速くなる。

● 低い姿勢で避難(煙を吸わない)
● ハンカチや袖で口・鼻を覆う
● 上へ逃げない(煙は上にたまる)

動画を一緒に見て「煙の怖さ」を理解させると効果的。


■② 火を見つけたら“三つの行動”だけ教える

小学生は初期消火をさせる必要はない。
やるべきことはシンプルでいい。

● ① 大声で知らせる
● ② すぐに逃げる
● ③ 119番は大人がする(できるなら通報)

「自分で消そうとしない」ことを徹底して伝える。


■③ 留守番時の火災ルールを必ず決めておく

火災教育で特に重要なのは“留守番時のルール化”。

● ガスコンロは絶対に使わない
● 電子レンジも長時間の加熱はしない
● ストーブ・ファンヒーターは触らない
● コンセントを抜く・差す作業はしない

「やってはいけないこと」を明確に伝えるのが安全の第一歩。


■④ 火災が起きやすい場所を一緒に確認する

家庭内の火災ポイントを知れば、子どもの防災力は一気に強くなる。

● キッチン周り(油・火・家電)
● 電源タップ・延長コード
● 暖房器具・加湿器・布団
● ベランダ(可燃物・ゴミ置き場)

実際の場所を歩きながら「ここが危険」と教えると理解が深い。


■⑤ 火災警報器の意味を教え、鳴ったら“作業中止”を徹底

火災警報器の音を知らない子どもは多い。
実際にテストボタンを押して、

● 音の種類
● 鳴ったらどう行動するか

を体験させると、火災時の行動がぶれない。


■⑥ 自分の部屋から安全に逃げるための“避難動線”を作る

小学生はパニックになりやすいため、事前の準備が重要。

● 出口を塞がない習慣をつくる
● ぬいぐるみ・本で散らからないようにする
● 逃げながら靴を履く習慣づけ
● 夜間はライトを枕元に置く

“逃げ道を確保しておく力”が命を守る。


■⑦ マッチ・ライター・アロマキャンドルは“触らない”と覚えさせる

火を扱う道具は大人でも危険。
小学生には以下だけで十分。

● 見つけても触らない
● 遊ばない
● 帰宅後に大人へ伝える

特に冬場はアロマやキャンドルによる火災が増えるため要注意。


■⑧ 119番のかけ方をイメージだけでも教えておく

実際に電話をかける必要はないが、
“119番の内容”を知っておくと落ち着いて行動しやすい。

● 住所
● 何が起きているか
● どれくらい燃えているか

暗記ではなく「こういう風に説明するんだよ」と話すだけでOK。


■⑨ 学校・友達の家・習い事先でも火災が起こる前提で話す

自宅だけでなく、子どもが活動するあらゆる場所で火災は起きる。

● 逃げる方向
● 安全な場所
● 危険な場所
● 大人の指示に従う重要性

“どこにいても自分で判断できる力”を育てる。


■まとめ|小学生の火災防災力は“家庭の習慣”で大きく伸びる

火災時に必要なのは、難しい知識ではなく“行動の速さ”。
その行動は、家庭での積み重ねによって身につく。

● 煙から逃げる
● 初期消火はしない
● 留守番ルールを徹底
● 家の危険ポイントを理解
● 非常時の動線を確保

火災は予防でほぼ防げる災害。
今日から家庭で一つずつ教えていくことで、子どもの命を守る力は確実に高まる。

コメント

タイトルとURLをコピーしました