【防災士が解説】事業継続計画のテスト訓練は何から始める?事例集から逆算する判断基準

事業継続計画(BCP)は、作っただけでは実際の災害時に動きません。中小企業庁の「中小企業BCP策定運用指針」では、BCPは策定後に教育・訓練・見直しまで含めて運用していくことが重要とされ、机上訓練や初動対応訓練、安否確認訓練などを通じて実効性を高める考え方が示されています。さらに、中小企業庁の「BCP等の取組事例集」では、平時からの訓練により、東日本大震災時に顧客の安全確保や早期事業継続につなげた企業事例が紹介されています。
https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/
https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/2018/180420BCPshiryo2.pdf

つまり、事業継続計画のテスト訓練で大切なのは、「大規模な訓練を一回やること」ではなく、止められない業務が本当に動くかを、小さな訓練で順番に確かめることです。この記事では、事例集から逆算した現実的な訓練の組み立て方を整理して解説します。

■① まず結論として、BCPテスト訓練で最優先にすべきことは何か

結論から言うと、最優先にすべきことは、BCP全体を一気に試そうとせず、最重要の初動から試すことです。

中小企業庁の指針では、BCP運用の中で教育・訓練を継続的に行い、改善していくことが示されています。つまり、訓練は「完成版の確認」ではなく、「弱いところを見つける作業」です。
元消防職員として感じるのは、災害時に止まりやすいのは計画書そのものではなく、最初の30分〜数時間の動きです。私なら、BCP訓練では
まず安否確認
次に指揮命令
最後に重要業務の再開手順
この順で試します。
https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/

■② なぜテスト訓練が必要なのか

理由は、書いてある手順と、実際にできる手順は違うからです。

中小企業庁の指針は、BCPを作成した後も教育や訓練、診断、維持・更新を含めて回すBCMの考え方を示しています。つまり、訓練しないBCPは、現場で本当に動くか確認できていない状態です。
被災地派遣の現場でも、強かった組織は「立派なマニュアルがある組織」より、「一度でも試していた組織」でした。だから私は、BCPは作成より運用訓練の方が実務的に重いと考えます。
https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/download/bcppdf/bcpguide_04-2.pdf

■③ 最初に試すべき訓練は何か

最初に試すべきなのは、安否確認と連絡体制の訓練です。

災害時は、従業員が無事か、出社できるか、誰が指揮を執るかが分からないと、その先の業務再開に進めません。中小企業庁の指針でも、初動対応として連絡網や安否確認、復旧手順を定めることが重視されています。
私なら、最初の訓練は
誰が誰へ連絡するか
何分以内に確認するか
連絡が取れない時にどうするか
の3点に絞ります。その方が改善点がはっきり見えます。
https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/

■④ 机上訓練は意味があるのか

はい。かなり意味があります。机上訓練は、小さく始めるBCP訓練として現実的です。

中小企業庁の参考事例でも、BCPを策定し、机上訓練や初動対応訓練を実施している企業の例が示されています。つまり、実地訓練だけが正解ではなく、まずは会議室でシナリオを使って役割確認するやり方でも十分価値があります。
元消防職員としても、現場では「まず頭で流れを通した組織」の方が、実動に入った時に混乱が少ない印象がありました。私なら、最初の1回は机上訓練で十分だと考えます。
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/kyoujin/2019/190131kyoujin02.pdf

■⑤ 事例集から学べる“訓練の効果”とは何か

事例集から分かるのは、訓練は災害時の初動を速くするということです。

中小企業庁の「BCP等の取組事例集」では、株式会社藤崎の事例として、平時からの訓練により、東日本大震災の際に顧客の安全確保を行い、店舗が使えない中でも路上店舗を設置するなどして事業継続と早期復旧につなげたことが紹介されています。
つまり、訓練の価値は「やった感」ではなく、非常時の判断速度を上げることです。私なら、訓練の成果は参加人数より「初動が何分早くなったか」で見ます。
https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/2018/180420BCPshiryo2.pdf

■⑥ どんな訓練メニューが現実的か

現実的なのは、短く区切ったメニューを分けて試すことです。

たとえば、
安否確認訓練
代行者決定訓練
停電時の紙運用訓練
重要顧客への連絡訓練
代替拠点・在宅勤務切替訓練
などです。

中小企業庁の指針は、BCP運用を継続的なサイクルとして示しており、一度に全部やるより段階的に改善する考え方と相性が良いです。私は、「年1回の総合訓練」より「四半期ごとの小訓練」の方が現場に残りやすいと考えます。
https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/download/bcppdf/bcpguide_04-2.pdf

■⑦ 訓練後に必ずやるべきことは何か

必ずやるべきなのは、できなかった点をBCPへ戻すことです。

訓練は、うまくやることより、どこで止まるかを見つけることに意味があります。中小企業庁の資料でも、定期訓練で改善すべき事項が判明した際には、BCPの改訂作業を実施する事例が紹介されています。
私なら、訓練後は
うまくいった点
止まった点
次回までに直す一点
の3つだけでも残します。その方がBCPが少しずつ強くなります。
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/kyoujin/2019/190131kyoujin02.pdf

■⑧ 迷った時の判断基準

迷ったら、次の順番で考えてください。

「最初の初動を試せているか」
「机上訓練でも一度流れを通せているか」
「小さく区切って継続できる訓練になっているか」
「訓練結果をBCPへ戻しているか」

この4つが整理できれば、事業継続計画のテスト訓練としてはかなり現実的です。防災では、「立派な訓練を一度すること」より「小さく試して直し続けること」の方が大切です。

■⑨ まとめ

事業継続計画のテスト訓練で大切なのは、最重要の初動から順に、小さく区切って試し、止まったところをBCPへ戻して改善することです。中小企業庁の「中小企業BCP策定運用指針」は、BCPを策定後も教育・訓練・見直しまで含めて運用していくことを示しており、「BCP等の取組事例集」では、平時からの訓練が東日本大震災時の安全確保や早期事業継続につながった企業事例も紹介されています。

私なら、BCP訓練で一番大事なのは「大規模な訓練を見せること」ではなく「本当に止められない業務が動くかを一つずつ確かめること」だと伝えます。現場では、完璧なマニュアルより、一度試した手順の方が強いです。だからこそ、まずは初動、次に小分け訓練、最後に見直し。この順番で整えるのがおすすめです。

出典:https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/2018/180420BCPshiryo2.pdf(中小企業庁「BCP等の取組事例集」)

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