【防災士が解説】子どもと一緒の避難は何を先に判断する?迷った時に外さない安全確保の基準

子どもと一緒の避難で一番大切なのは、「早く動くこと」そのものではなく、子どもを連れても安全に動けるタイミングで判断することです。内閣府の「避難情報に関するガイドライン」では、避難に時間を要する人は警戒レベル3「高齢者等避難」で避難を開始することが示されており、この「等」には乳幼児連れなど避難に時間がかかる人も含まれます。気象庁も、警戒レベル3相当の情報が出た段階で、高齢者や障がいのある方、乳幼児などとその支援者は避難開始と案内しています。つまり、子どもと一緒の避難では、「みんなと同じタイミング」で考えるのではなく、一段早く動く前提で考えることが重要です。内閣府「避難情報に関するガイドライン」 気象庁「防災気象情報と警戒レベルとの対応について」

また、東京都の防災ブックでは、非常用持ち出し袋は一般向けの基本形だけでなく、妊産婦や高齢者、基礎疾患がある人など、それぞれの事情に合わせて中身を調整することが大切だと示されています。子ども連れの避難でも同じで、避難所へ行くことだけを考えるのではなく、子どもの年齢、移動力、必要物品、夜間かどうか、天候、移動距離まで含めて判断する方が現実的です。被災地派遣でも感じたのは、子どもがいる家庭で危険なのは「避難が遅いこと」だけでなく、「大人だけの感覚で避難を決めてしまうこと」でした。私は、子どもと一緒の避難判断では、まず今いる場所の危険、次に子どもを連れて移動する危険、最後に一番安全な避難方法、この順で考えるのが現実的だと考えます。東京都「東京くらし防災」

■① まず結論として、子どもと一緒の避難で最初に判断すべきことは何か

結論から言うと、最初に判断すべきことは、今いる場所にとどまる方が危険かどうかです。

内閣府のガイドラインは、避難が必要なのは「危険な場所にいる人」であることを前提にしています。つまり、子どもと一緒だからといって、必ず避難所へ向かうのが正解とは限りません。浸水想定区域、土砂災害警戒区域、河川の近く、低い土地など、今いる場所の危険度をまず見なければいけません。私は、子どもと一緒の避難では「とにかく動く」より「ここにいていいのか」を先に考える方が安全だと思います。

■② なぜ子どもがいると避難判断を早めるべきなのか

理由は、子ども連れの移動は大人だけより時間がかかり、途中で状況が悪化しやすいからです。

気象庁は、乳幼児など避難に時間を要する人とその支援者は、警戒レベル3相当の段階で避難開始と案内しています。これは、抱っこや手つなぎが必要だったり、移動途中に疲れたり、トイレや体調の問題が起きたりしやすいからです。気象庁「防災気象情報と警戒レベルとの対応について」

元消防職員としても、子どもがいる家庭ほど「まだ大丈夫」が危ないと感じます。私は、子どもと一緒の避難は「早すぎるくらい」がちょうどよい場面が多いと考えます。

■③ 子どもと一緒なら、どんな時に避難を強く考えるべきか

まず避難を強く考えたいのは、危険区域にいて、天候や水位、土砂災害の危険が上がっている時です。

たとえば、
川の近くの低地、
土砂災害警戒区域、
浸水想定区域、
海の近くで津波の危険がある場所、
こうした所では、子ども連れは早めの判断が必要です。内閣府のガイドラインでも、危険な場所にいる人は避難が必要とされています。私は、子どもと一緒なら「もう少し様子を見る」を短くする方が安全だと考えます。

■④ 逆に、無理に外へ出ない方がいい場合はあるのか

あります。外へ出る方が危険な場合です。

内閣府のガイドラインでは、立退き避難が危険な場合には、近くの堅固な建物への移動や、上階への移動、屋内安全確保といった行動が示されています。つまり、夜間の豪雨、すでに冠水が始まっている時、強風が極端に強い時などは、子どもを連れて無理に遠くへ移動するより、今より安全な場所へ移る方が現実的なことがあります。内閣府「避難情報に関するガイドライン」

被災地派遣でも、子どもを抱えて夜に無理に移動すると、転倒や水流への巻き込まれの危険が高まりました。私は、「避難する」と「避難所へ行く」を同じにしない方が現実的だと考えます。

■⑤ 子どもと一緒の避難で先に準備しておきたいことは何か

先に準備しておきたいのは、両手が使える避難の形です。

東京都の防災ブックでは、非常用持ち出し袋は、避難所に行くことも考えて、背負いやすく持ち運びやすいバッグを用意するよう案内しています。子ども連れならなおさら、片手で大きな荷物を持つより、背負える形にして、もう一方の手で子どもを支えられる方が安全です。東京都「東京くらし防災」

私は、子ども連れ避難では「荷物を多く持つ」より「転ばずに動ける」方が優先だと思います。

■⑥ 持ち物は何を優先するべきか

子どもと一緒の避難では、一般の持ち出し品に加えて、子どもに必要な物を絞って足すのが基本です。

たとえば、
飲み物、
おむつやおしりふき、
着替え、
常用薬、
ミルクや離乳食、
安心できる小さなおもちゃ、
などです。東京都の防災ブックでも、非常用持ち出し袋は自分に合わせてアレンジすることが大切だと示されています。私は、子ども連れの避難では「全部持つ」より「今すぐ必要な物を落とさない」方が現実的だと考えます。

■⑦ 夜の避難はどう考えるべきか

夜の避難は、子ども連れなら特に危険が増すと考えた方が安全です。

暗い中では、冠水や段差、飛来物、停電による信号停止などが見えにくくなります。内閣府のガイドラインでも、夜間や暴風時の立退き避難には危険が伴うとされています。だから、子どもと一緒なら、暗くなる前に避難判断を終えるのが理想です。内閣府「避難情報に関するガイドライン」

私は、子どもがいる家庭ほど「夜に避難しないための早い判断」が重要だと考えます。

■⑧ 迷った時の判断フロー

迷ったら、次の順番で考えてください。

「今いる場所は子どもと一緒にいて危険か」
「子どもを連れて今から移動する方が危険ではないか」
「警戒レベル3相当の段階で早めに動けるか」
「避難所だけでなく、上階移動や親戚宅など他の安全確保手段はないか」

この順で見ると、「とりあえず避難所へ行く」より安全な判断になりやすいです。防災では、「みんなと同じタイミングで動くこと」より「子どもを無事に連れて動けるタイミングで動くこと」の方が大切です。

■⑨ まとめ

子どもと一緒の避難判断で大切なのは、今いる場所の危険、子どもを連れて移動する危険、そして一番安全な避難方法を順番に考え、一段早く動くことです。内閣府の避難情報に関するガイドラインは、危険な場所にいる人の避難を前提とし、危険な移動を避けるために屋内安全確保などの考え方も示しています。気象庁は、乳幼児など避難に時間を要する人とその支援者は警戒レベル3相当で避難開始と案内しています。東京都の防災ブックも、非常用持ち出し袋は個人事情に応じて調整することが重要だと示しています。

私なら、子どもと一緒の避難で一番大事なのは「避難所へ行くこと」ではなく「子どもを連れて一番安全な行動を選ぶこと」だと伝えます。被災地でも、助かったのは早く走れた家庭だけではなく、子どもの条件を踏まえて無理のないタイミングで動けた家庭でした。だからこそ、まずは今いる場所、次に移動の危険、最後に一番安全な避難方法。この順番で整えるのがおすすめです。

出典:https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/alertlevel.html(気象庁「防災気象情報と警戒レベルとの対応について」)

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