【元消防職員が解説】火災でエレベーターは使えるのか|使ってはいけない判断基準

火事が起きた時、
「階段よりエレベーターの方が早いのでは」
「上の階だから使った方が助かるのでは」
「火元が遠ければ乗っても大丈夫では」
と考える人は少なくありません。

結論から言えば、火災時は原則としてエレベーターは使わず、階段で避難するのが基本です。
千葉市消防局は、火事の時にエレベーターへ乗ってはいけない理由として、火事による停電や機械の故障でエレベーターが動かなくなるためと案内しています。
東京消防庁の放送文例でも、火災時は繰り返し「エレベーターは使用できません」「エレベーターは使わないでください」と周知しています。 (city.chiba.jp) (tfd.metro.tokyo.lg.jp)

元消防職員として率直に言えば、火災時にエレベーターが危ないのは、遅いからではありません。
途中で止まる、閉じ込められる、煙の流れに巻き込まれる
可能性があるからです。
東日本大震災当時に東京で被災し、その後の被災地派遣やLO対応でも強く感じるのは、命を守る判断は「楽そうな方」より「止まっても逃げられる方」を選ぶべきだということです。
火災時の避難でも同じです。

■① 火災時にエレベーターを使ってはいけない一番の理由

一番大きい理由は、途中で止まる可能性があることです。

千葉市消防局は、火事による停電や機械の故障でエレベーターが動かなくなってしまうため、使ってはいけないと明確に案内しています。 (city.chiba.jp)

つまり、
・火災による停電
・熱や煙の影響
・安全装置の作動
・設備トラブル
で、エレベーターが停止する可能性があります。

元消防職員として率直に言えば、火災時のエレベーターは「早い避難手段」ではなく、
止まったら逃げ場を失う箱
になるおそれがあります。
だから、原則として使わない方がいいです。

■② 閉じ込められると何が危ないのか

火災時のエレベーターで怖いのは、単に動かなくなることだけではありません。

もし途中で停止すると、
・すぐには外へ出られない
・煙の広がり状況が分からない
・救助まで時間がかかることがある
・火災や停電が重なると心理的にもかなり追い込まれる
という危険があります。

国土交通省の地震時エレベーター対策資料でも、閉じ込め事故は火災などの二次災害と重なると危険性が増すため、発生をできるだけ少なくし、起きた場合には迅速に覚知・救出する必要があるとしています。 (mlit.go.jp)

防災士として言えば、火災時の避難で大切なのは、
自分で動ける状態を保つこと
です。
エレベーターに閉じ込められると、その自由を一気に失います。

■③ 「火元が遠いから大丈夫」は危ない考え方

よくある誤解がこれです。

「自分の階じゃない」
「反対側の部屋だ」
「下の階で火事なら上からエレベーターで下りられる」
と思うことがあります。

でも火災は、炎だけでなく、
煙、停電、設備停止
が問題になります。
火元から離れていても、建物全体の設備が影響を受けることがあります。

東京消防庁の火災時放送文例でも、火災時は一律に
「エレベーターは使わないでください」
と案内しています。 (tfd.metro.tokyo.lg.jp)

元消防職員として率直に言えば、火災時のエレベーターは「火元との距離」で安全判断しない方がいいです。
建物全体の避難ルールとして使わない
と覚える方が現実的です。

■④ 火災時に使うべきなのは「階段」

火災時の避難で基本になるのは、やはり階段です。

東京消防庁の訓練マニュアルでも、
「火事のときはエレベーターを使わない」
「階段で逃げる」
ことが明示されています。 (tfd.metro.tokyo.lg.jp)

階段なら、
・途中で設備停止して閉じ込められる危険がない
・煙や熱を見ながら判断できる
・引き返す判断もできる
という強みがあります。

防災士として言えば、階段はきついですが、
自分で状況を見て動ける避難手段
です。
元消防職員としても、火災時に命を守る行動は、便利さより確実さを優先した方がいいです。

■⑤ ただし高齢者や車いす利用者では課題もある

ここは正直に言った方がいいです。
火災時にエレベーターを使わないのが原則でも、
高齢者や車いす利用者など、階段避難が難しい人には大きな課題があります。

消防庁の調査研究でも、火災時に階段避難困難者が安全にエレベーター利用避難できる仕組みの必要性が示されています。 (fdma.go.jp)

つまり、一般的な建物利用者については「使わない」が基本ですが、
将来的には避難用エレベーターの整備や運用が課題になっています。

防災士として言えば、だからこそ今の段階では、
階段避難が難しい人ほど、事前に避難支援の段取りを決めておく
ことが大切です。

■⑥ 「非常用エレベーターなら使っていいのか」は一般利用者では別問題

ここも誤解されやすいです。
建物によっては「非常用エレベーター」があります。

ただ、一般の避難者が自己判断でそれを使ってよい、という話とは別です。
東京消防庁の放送文例でも、火災時の避難案内では一律にエレベーターは使用できませんとしています。 (tfd.metro.tokyo.lg.jp)

元消防職員として率直に言えば、火災時に「たぶんこのエレベーターは大丈夫だろう」で乗るのが危険です。
防災士としても、
一般の火災避難ではエレベーターは使わない
と覚える方が安全です。

■⑦ もしエレベーターに乗っている時に火災警報が出たらどうするか

もし火災発生時にたまたまエレベーターへ乗っていた場合は、
まずは落ち着いて最寄りの停止階で降り、階段へ切り替えるのが基本です。

そこで大切なのは、
・煙の有無を見る
・口と鼻を覆う
・低い姿勢を意識する
・非常口や階段方向へ進む
ことです。

東京消防庁は、火災時は低い姿勢で避難し、煙を吸わないようにすることを案内しています。 (tfd.metro.tokyo.lg.jp)

元消防職員として率直に言えば、火災時は「乗り続ける」より、
早く降りて階段へ切り替える
方が現実的です。

■⑧ まとめ

火災時は原則としてエレベーターを使わず、階段で避難するのが基本です。
千葉市消防局は、火事による停電や機械故障でエレベーターが動かなくなるため、階段や避難器具を使って避難するよう案内しています。
東京消防庁の火災時放送文例でも、繰り返し「エレベーターは使用できません」「使わないでください」と示されています。 (city.chiba.jp) (tfd.metro.tokyo.lg.jp)

元消防職員として強く言えるのは、火災時に命を守るには、
早そうな手段より、止まっても閉じ込められない手段を選ぶこと
だということです。
迷ったら、
・火災時はエレベーターを使わない
・階段へ向かう
・煙対策をしながら低い姿勢で避難する
この順番で考えるのが一番現実的です。

出典:千葉市消防局「火事の時はどうしてエレベーターに乗ってはいけないのですか?」

参考:東京消防庁「放送設備放送文例<火災の場合>」

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