【元消防職員が解説】火災時の避難経路の考え方とは|助かるルートを選ぶ判断基準

火事が起きた時、
「どこから逃げるのが正解か」
「玄関に向かえばいいのか」
「煙が来ている時はどう判断するのか」
と迷う人は少なくありません。

結論から言えば、火災時の避難経路は“いつもの出口”ではなく、“煙が少なく、最後まで逃げ切れるルート”を選ぶことが基本です。
消防庁は住宅防火対策として、避難経路と避難方法を常に確保して備えることを挙げています。
東京消防庁も、火災の煙は天井からたまるため低い姿勢で煙の下を逃げることを示しており、さらに避難行動の実験では、図面で避難経路を確認し、実際に歩いて確認することが迷わず短時間で避難するために必要としています。

元消防職員として率直に言えば、火災で危ないのは、火を見てから経路を考え始めることです。
東日本大震災当時に東京で被災し、その後の被災地派遣やLO対応でも強く感じるのは、命を守る判断はいつも「事前に考えていた人」が強いということです。
火災の避難経路も同じです。

■① 避難経路は「玄関一択」で考えない

多くの人は、逃げる時は玄関へ向かうと考えます。
もちろん玄関が使えるなら、それが最も自然です。

ただし火災時は、
・玄関方向に煙がたまっている
・火元が玄関側にある
・廊下に熱気がある
・ドアの向こうが危ない
ということがあります。

だから避難経路の考え方で一番大切なのは、
「いつもの出口」ではなく「今、安全に通れる出口」
を見ることです。

元消防職員として率直に言えば、助かる人は「玄関へ行く人」ではなく、
煙と熱を見て出口を変えられる人
です。

■② 基本は「煙が少ない方向」を選ぶ

東京消防庁は、火災時の煙は天井からたまるので、床に近い低いところの方が比較的見通しがきくと説明しています。
つまり、避難経路を考える時は、まず
煙が少ない方向
を見るべきです。

たとえば、
・廊下に煙が充満していないか
・玄関方向よりベランダ方向の方が安全か
・階段室に煙が入っていないか
を確認します。

防災士として言えば、火災時のルート選びは
距離の短さ
より
煙の少なさ
の方が大切です。
元消防職員としても、近い出口でも煙に突っ込めば危険です。

■③ 低い姿勢で通れるかまで考える

避難経路は、見た目の通路幅だけで決めるものではありません。
火災時は煙を吸わないことが最優先なので、
低い姿勢で通れるか
まで考える必要があります。

東京消防庁は、煙を吸い込まないように口と鼻を覆い、低い姿勢で煙の下を逃げるよう示しています。
階段でも同じです。

つまり、
・通路が狭すぎないか
・障害物がないか
・低い姿勢でも進めるか
を意識した方がいいです。

元消防職員として率直に言えば、避難経路は「歩ける道」ではなく、
煙の中でも進める道
で考える方が現実的です。

■④ できれば「2方向」で考える

火災時の避難経路は、一つだけで考えない方が強いです。
東京消防庁の資料でも、建物の火災避難では複数方向の避難経路の確保という考え方が出てきます。

家庭なら、
・第1避難経路=玄関
・第2避難経路=ベランダ、掃き出し窓、別の出口
のように、二つ考えておく方が現実的です。

防災士として言えば、火災時に一番危ないのは
一つの出口に執着すること
です。
元消防職員としても、出口が使えない時に次の手がある家は強いです。

■⑤ マンションでは「階段」を中心に考える

マンションや集合住宅では、避難経路を考える時に特に重要なのが
階段
です。

千葉市の避難訓練資料でも、火災時はエレベーターを使わず、階段等へ誘導することが示されています。
つまり、マンション火災の避難経路の基本は、
エレベーターではなく階段
です。

そのため普段から、
・自分の部屋から最寄りの階段
・反対側の階段
・非常口
を把握しておく方がいいです。

元消防職員として率直に言えば、マンションで助かる人は、
「エレベーターは使わない」と知っているだけでなく、
どの階段へ行くかまで頭にある人
です。

■⑥ 出口の前に物を置かない

避難経路の考え方は、火災時の判断だけではありません。
普段の家の状態もかなり重要です。

千葉市の消防計画資料では、避難口や避難階段等に通ずる出入口付近に障害物はないかを確認項目に入れています。
つまり、避難経路は「ある」だけでは足りず、
すぐ使える状態
である必要があります。

たとえば、
・玄関に大量の荷物
・廊下に段ボール
・ベランダ避難口の前に物干しや収納
があると、いざという時に遅れます。

元消防職員として率直に言えば、火災時に数秒を奪うのは、火より先に
日常の片づけ不足
だったりします。
防災士としても、避難経路は普段から空けておく方がいいです。

■⑦ 実際に歩いて確認しておくと強い

東京消防庁の避難行動実験では、図面で避難経路を確認し、さらに実際に歩いて確認することが、迷わずに短時間で避難するために必要と示されています。

これはかなり重要です。
頭で知っているだけと、実際に歩いたことがあるのとでは大きく違います。

防災士として言えば、
・玄関まで何歩か
・階段までどれくらいか
・夜に暗いとどこで曲がるか
を知っているだけでもかなり違います。

元消防職員として率直に言えば、避難経路は
知識
より
体で覚えていること
の方が強いです。

■⑧ 逃げられない時は「その場で助かる経路」に切り替える

避難経路の考え方で忘れてはいけないのが、
外へ出る道だけが避難経路ではない
ということです。

もし玄関も廊下も危険なら、
・火や煙のない部屋へ移る
・ドアを閉める
・窓から助けを求める
・119番で場所を伝える
という対応が必要になります。

つまり、
逃げ切るルート
がなければ、
耐えて知らせるルート
へ切り替える考え方も必要です。

元消防職員として率直に言えば、火災時は「とにかく外へ」だけが正解ではありません。
防災士としても、煙の中へ突っ込むより、
煙から離れて閉じこもる
方が助かることがあります。

■⑨ まとめ

火災時の避難経路の考え方で最も大切なのは、“いつもの出口”ではなく、“煙が少なく最後まで逃げ切れるルート”を選ぶことです。
消防庁は住宅防火対策として避難経路と避難方法を常に確保して備えることを挙げており、東京消防庁は低い姿勢で煙の下を逃げること、さらに実際に歩いて避難経路を確認することが有効だと示しています。

元消防職員として強く言えるのは、火災時に命を守るには
近い道
より
安全な道
を選ぶことだということです。
迷ったら、
・煙が少ない方向を選ぶ
・低い姿勢で通れるかを見る
・一つの出口に執着しない
・普段から2方向を考えておく
この順番で考えるのが一番現実的です。

出典:消防庁「住宅防火 いのちを守る10のポイント」

参考:東京消防庁「避難行動に関する実験結果について」

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