【元消防職員が解説】車の防災は“移動手段の確保”だけでなく“運転中の地震対応と車中避難の準備までしておくべき”理由

車の防災というと、「ガソリンを入れておく」「非常時の移動手段を確保する」といった備えを思い浮かべる人が多いと思います。もちろんそれは大切です。ですが、本当に大事なのはそれだけではありません。地震は運転中に起きることもありますし、自宅に戻れず車で過ごすこともあります。だから、車の防災は“移動のための備え”だけでなく、“止まり方・避難の仕方・車中での備え方”まで含めて考えたほうが現実的です。

元消防職員・防災士として感じるのは、災害時に強い人は「便利な物を持っている人」より、「その場でどう動くかを先に決めている人」だということです。被災地派遣や現場対応でも、車があること自体より、運転中にどう止まるか、車を置いて避難する時にどうするか、車中で無理をしすぎないかが大きな差になりました。だから、車の防災は“持ち物”だけでなく“動き方”まで備えておくべきだと思います。

■① 地震中に運転していたら、まず“急ブレーキを避けて左へ寄せる”のが基本です

地震で大きく揺れると、とっさに強くブレーキを踏みたくなります。ですが、それは追突や単独事故につながることがあります。まず大切なのは、慌てて急に止まらないことです。周囲を確認しながら徐々に減速し、できるだけ安全な形で道路の左側に寄せて停止する意識が重要です。

元消防職員として感じるのは、揺れた瞬間に一番怖いのは地震そのものと同じくらい、急操作による二次事故です。後続車との接触や、ハンドルを切りすぎての逸脱を防ぐためにも、まずは落ち着いて減速することが命を守る行動になります。

■② 止まった後は“すぐ動かず、情報を取る”ことが大切です

いったん車を止めたあと、「早く移動したほうがいいのでは」と思う人もいます。ですが、地震直後は道路の損壊、信号停止、落下物、渋滞、通行止めなどが起きていることがあります。見た目で大丈夫そうに見えても、先で危険が起きていることは珍しくありません。

元消防職員・防災士として感じるのは、災害時は“早く動くこと”より“間違って動かないこと”のほうが大事な場面が多いということです。カーラジオやスマートフォンで地震情報や交通情報を確認し、周囲の状況を見てから次の行動を決めたほうが安全です。

■③ 車を置いて避難する時は“邪魔にならない置き方”が必要です

避難のために車を置いて離れる必要がある場合もあります。この時に気をつけたいのは、自分の車が救急車、消防車、警察車両、避難する人たちの動きを止めないことです。やむを得ず車を置くなら、できるだけ道路外、難しい場合は道路の左側に寄せて置く意識が大切です。

元消防職員として感じるのは、災害時に路上に残された車が、救助活動そのものの障害になることがあるということです。自分の安全確保と同時に、緊急対応の妨げにならない置き方まで考えておくとかなり違います。

■④ 津波のおそれがある地域では“車より高い場所への避難”を優先すべきです

海沿いを走っている時に強い揺れや長い揺れを感じた場合は、車をどうするかより先に、自分がどこへ逃げるかを考える必要があります。津波は車の移動速度より速く迫ることがあり、渋滞や立ち往生が起きると一気に危険が高まります。

元消防職員・防災士として感じるのは、津波避難では“車を守る”より“時間を守る”ことが重要だということです。海沿いを通ることが多い人は、普段から「地震が来たらどこへ上がるか」を決めておくと行動がかなり速くなります。

■⑤ 車中避難は便利ですが、“長く続ける前提の準備”が必要です

車は、一時的な避難場所としてとても役立ちます。雨風をしのげて、荷物も置けて、スマホ充電の助けにもなります。ただし、便利だからといって何日も無理をすると、体への負担が大きくなります。エコノミークラス症候群、トイレ不足、睡眠不足、情報不足など、車中避難ならではの問題があるからです。

元消防職員・防災士として感じるのは、車中避難は“短期のしのぎ”には強いけれど、“長期前提”になると急にきつくなるということです。だからこそ、毛布、水、簡易トイレ、モバイル電源、常備薬、履き替えの靴など、最低限の車載備蓄はしておいたほうが安心です。

■⑥ 悩みを少し軽くするなら、“3つだけ準備”でもかなり違います

全部を完璧にそろえようとすると負担が大きいです。まずは次の3つだけでも十分意味があります。

1つ目は、運転中に地震が起きた時の止まり方を家族で共有しておくこと。
2つ目は、車内に簡易トイレ・水・充電手段を置くこと。
3つ目は、自宅周辺や通勤ルートの津波・土砂・道路寸断リスクを確認しておくことです。

元消防職員として感じるのは、防災で強い人は“全部知っている人”ではなく、“大事なことを先に決めている人”です。車の防災も、それだけでかなりスタートしやすくなります。

■⑦ “ガソリンを減らしすぎない”のも大切な備えです

車の防災では、持ち出し品ばかりが注目されがちですが、燃料もかなり大事です。災害時は給油渋滞や販売制限が起こることがあり、車を安全な場所に移動したり、充電や冷暖房の補助に使ったりするためにも、ある程度の余裕は安心につながります。

元消防職員として感じるのは、燃料は“移動のため”だけでなく、“その場をしのぐため”にも使うことがあるということです。だから、普段から半分を大きく下回る前に給油する習慣をつけておくと、災害時の不安がかなり減ります。

■⑧ 最後は“車をどう使うか”を先に決めておくことが一番大事です

車は、災害時に移動手段にも、一時待機場所にも、情報確保や充電の拠点にもなります。便利だからこそ、「自分は運転中に地震が来たらどう止まるか」「海沿いなら車を置いてどこへ逃げるか」「車中避難になったら何でしのぐか」を、平時に少し決めておくことが大切です。

元消防職員・防災士として感じるのは、防災は“便利な物を持つこと”ではなく、“迷う時間を減らすこと”です。車の防災も、装備だけでなく、動き方まで決めておくとかなり強くなります。

■まとめ|車の防災は“運転中の地震対応と車中避難の準備までしておくべき”です

車の防災は、単に「移動できるようにしておくこと」では足りません。運転中に地震が起きた時の止まり方、情報の取り方、車を置いて避難する時の判断、津波地域での行動、車中避難を続けるための最低限の備えまで考えておくことが大切です。

結論:
車の防災は、“移動手段の確保”だけでなく、“運転中の地震対応と車中避難の準備までしておくべき”と考えます。

元消防職員・防災士として感じるのは、車は災害時にとても役立ちますが、使い方を決めていないと逆に迷いの原因にもなります。だからこそ、物だけでなく動き方まで備えておくことが大切です。

出典:
警察庁「大地震が発生したときに運転者がとるべき措置」

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